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『バッド・インフルエンサー』SNSと“虚言癖”の相乗効果で成功した女性と、メディアの大問題

罪を個人になすりつけ、距離をとったメディアの問題

 ベル・ギブソンとはどういう女性なのか。彼女を詐欺師と呼ぶのは適当ではない。彼女が患っているのは虚言癖という病である。

 12歳で家出をし、友人たちと生活していた10代の頃のベル。当時の彼女と親交があった1人の女性が証言してくれた。

「わかっていると思いますが、あの子の言うことは何も信用できないんです。ベルが片腕を吊って教室に現れても、骨折なんかしていません。次の週には『自分は体外受精で生まれた』って言い出すんです。だから、みんな『あぁ、そう』ってあしらっていました。あの子はウソをつくのが好きなんだと最初から知ってました。
 2年ぐらい前、フェイスブックの動画に見覚えのある顔を見つけました。ベルが考案したアプリの話をしていたんです。とっさに嫌な予感がして、思ったんです。『あの子、またやらかしてる? しかも、こんな大々的に?』」

 アプリを手掛け、本も出版した。つまり、出版社もAppleも彼女を後押ししたメディアも、ベルの身辺調査を行っていなかったということ。東京オリンピック開会式の件で「組織委員会は小山田圭吾やのぶみの身辺調査は行わなかったのか!?」とチェック体制の甘さを指摘する声が多かったが、これは世界共通の問題かもしれない。

 こぞってメディアが取り上げ、大企業からのお墨付きだってある。信者が続出してもおかしくはないだろう。ベルの元フォロワーたちは語った。

「私が怒りを感じているのはベルに対してじゃありません。ウェルネス業界全体に怒っているし、誤った情報がチェックを受けずに拡散してしまう隙のあるSNSに腹を立てています。それに、人の弱みにつけ込んで金儲けをする舞台をベルに与えた出版社にも怒っています」

「ベルをサポートしている顔ぶれからして彼女を疑うことはありませんでした。Appleだけでなく、ペンギン・ブックスやコスモポリタンも彼女を支持していたんです。事実確認を怠ったのは私じゃありません」

 このドキュメンタリーで、Appleとペンギン・ブックスは取材に一切応じなかった。ベルを担ぎ上げ、利益を稼いだにもかかわらず、ベル1人に罪をなすりつけ距離を置いたのだ。本当に悪質なのは、こっち側という気がしないでもない。代替療法を選び、治療が遅れたスティーブ・ジョブズのことをAppleは忘れてしまったのだろうか。

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