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世界は映画を見ていれば大体わかる#18

『Qアノンの正体』トランプを崇拝し“トム・ハンクスは小児性愛者”を本気で信じる集団の真相にせまった傑作HBOドラマ

『カプリコン・1』ほか陰謀系映画にはちゃんとオチがある

 Qがトリップ(個人を識別するための暗号)をつけて投稿する文章に秘められた謎(とQアノンらが思い込んでいる)を解く、QブロガーやQチューバ―が現れ「こういう意味なのでは?」という分析がさらに拡散される。Qアノンらの分析の中でも秀逸なものを集めた、まとめサイトを管理する人間が現れるが、彼らはまともな仕事についているようには見えない。要するにサイトやYouTubeの広告収入が目当てなのだ。

 QとQアノンは日時を指定し大事件の発生や、「嵐が起きる日にはディープステートの犯罪者たちが一斉に検挙される」などを予言したが、ほとんどの予言は外れ何も起きなかった。

 彼らの陰謀論が聞くに堪えないのは、オチがまったくないから。

 筆者は陰謀論映画(というジャンルが存在する)が大好きでよく見るのだが、決して陰謀論を信じているのではなく、それらの映画にはきちんとオチがついているからだ。

 有人火星探査船カプリコン1号が打ち上げられるが、直前に不具合が発見され計画は中止せざるをえなくなった。だが、中止になればNASAの予算が削減されてしまうことから、政府は無事宇宙船打ち上げを成功させたと「やらせ」を企むことになる……という映画『カプリコン・1』は捏造のため無人の宇宙船を打ち上げるが、地球に帰ってきた宇宙船は事故で破壊。政府は事故まで隠すことができず、計画の失敗を公表。やらせを演じるはずだった3人の宇宙飛行士は、秘密保持のため命を狙われる。

 この話は人類で初めて月に着陸したアポロ11号が本当は月に行っておらず、公開された映像は、スタンリー・キューブリックによってつくられた……という有名な陰謀論がモチーフになっている。宇宙飛行士のひとりがO・J・シンプソンで、彼が政府の追撃から逃げ回るのだがシンプソンはその後、妻とその愛人を殺して逃げる彼を追跡する警察とカーチェイスをやらかしていたのを見た多くのアメリカ人が『カプリコン・1』を思い返したという……。

 タクシー運転手を演じるメル・ギブソンは乗ってきた客に自分が製作・編集している陰謀論新聞の記事を聞かせてうっとうしがられている。だが、彼の正体はCIAによって行われた洗脳研究の被験者だった! ……というトンデモにもほどがある『陰謀のセオリー』も、ストーリーは荒唐無稽だが、物語の背景にある洗脳の研究「MKウルトラ計画」は、CIAが実際にやっていた人体実験であった。

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