日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > パンドラ映画館  > 古田新太と松坂桃李が演じる不寛容社会『空白』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.653

モンスタークレイマーとヘタレ店長との壮絶戦!古田新太と松坂桃李が演じる不寛容社会『空白』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

モンスタークレイマーとヘタレ店長との壮絶戦!古田新太と松坂桃李が演じる不寛容社会『空白』の画像1
娘を失った添田(古田新太)は、怒りを店長の青柳(松坂桃李)に向ける。

 どうしようもないダメ人間だけど、憎めない一面も持っている。人間は多面性を持った生き物であり、そんな人間の多面性まで全否定してしまうと、社会はとても息苦しくなってしまう。犯罪映画『ヒメアノ~ル』(16)などで巧みな心理描写を見せてきた吉田恵輔監督と、『新聞記者』(19)や『ヤクザと家族 The Family』(21)といった硬派な作品で知られる制作会社「スターサンズ」とのタッグ作『空白』は、不寛容さが増す現代社会に一石を投じた社会派サスペンスとなっている。

 物語の舞台となるのは、とある小さな地方都市。スーパーマーケットの店長・青柳(松坂桃李)は、地元の女子中学生・花音(伊東蒼)がマニキュアを万引きしようとするのを見つける。青柳が注意すると、花音は店外へと逃げ出した。追い掛ける青柳。すると花音は車道へと飛び出し、運悪く車に撥ねられてしまう。あまりにもあっけない、ひとりの少女の人生の幕切れだった。

 小さな町で起きた事件を、マスコミは「店側の対応に行き過ぎた行為はなかったのか?」と世論を煽る。怒りが収まらないのは、シングルファーザーの添田(古田新太)だった。厳しく育てた自分の娘が、万引きなどするはずがない。花音の通夜に現われた青柳の胸ぐらをつかみ、「いたずら目的で、万引き犯に仕立てたんじゃねーのか?」と詰め寄る。その様子がテレビで流れ、青柳は「ロリコン野郎」とバッシングを浴びることになる。

 娘の死が納得できない添田は、花音の通っていた中学校にも怒鳴り込む。花音は亡くなる前夜、話したいことがあると言っていたのを、添田は聞くことができなかった。きっと、おとなしい性格の娘は学校でいじめに遭っていたに違いない。怒りの捌け口を求める添田を、誰も止めることはできなかった。

 モンスタークレイマーとして怪物化していく添田を、ブラックコメディ『小森生活向上クラブ』(08)以来の映画主演となる古田新太が怪演。土下座して謝罪する青柳役の松坂桃李は、『孤狼の血 LEVEL2』(公開中)でのマル暴刑事役とのギャップが激しい。日本刀も拳銃もないが、主演男優ふたりの暑苦しい激突ぶりが物語をぐいぐいと引っ張っていく。

123

モンスタークレイマーとヘタレ店長との壮絶戦!古田新太と松坂桃李が演じる不寛容社会『空白』のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

[呂布カルマ]ゲオの骨伝導ワイヤレスイヤホン体験インタビュー

グラビアディガーが○○鑑賞中の“まさか!?”を回避できる骨伝導ワイヤレスイヤホン
写真
人気連載

水川あさみと窪田正孝夫妻への懸念

 10月期の月9ドラマ『ラジエーションハウス...…
写真
インタビュー

蝶野正洋が教える自然災害×コロナ回避法

 プロレス界を代表する悪役(ヒール)として活躍し、現在はアパレルブランド「ARIST...
写真