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「死にたい」「学校 行きたくない」検索…学生・児童の自殺が増加傾向

著名人の自殺も影響『ウェルテル効果』とは

 20年の学生・児童の自殺者数の推移を1週間区間(20年1月5日から12月26日まで)で集計したグラフに、学生・児童の自殺に影響を与える可能性のある社会的事象の日付等を重ねて見ると、3月2日に一斉休校の要請が出された直後には自殺者数が大きく減少していることがわかる。

 だが、5月25日に緊急事態宣言が全面解除となり、全国で学校が再開された6月には、一転して児童・生徒の自殺者数が急増している。また、9月も夏休み明けと著名人の自殺報道が相次いだことの影響もあって、断続的に自殺者数が増加している。

「死にたい」「学校 行きたくない」検索…学生・児童の自殺が増加傾向の画像4

 さらに、次年度の進路を検討し始める時期とされる11月にも、自殺者数が大きく増加している。

 この著名人の自殺と自殺報道後に自殺が増える現象「ウェルテル効果」については、「自殺対策白書」でも分析が行われている。別稿を掲載しているので、ご覧頂きたい。

https://www.cyzo.com/2021/11/post_295466.html

 また、学生・児童の自殺者数の推移とインターネットによる検索ワードの推移について分析している。分析には、自殺念慮の発露の可能性がある代表的なワードとして「死にたい」を、学校の運営状況等に関連したワードのうち最も関連がみられた「学校 行きたくない」ついて分析を行った。

 1月後半かが2月初旬にかけた自殺者の増加では、検索ワード「死にたい」「学校 行きたくない」の両方との関連性が疑われる。また、5月から7月の自殺者の増加では「学校 行きたくない」との強い関連性が、7月以降の自殺者の増加では「死にたい」との関連性が見られた。

「死にたい」「学校 行きたくない」検索…学生・児童の自殺が増加傾向の画像5

 社会的事象と検索ワードとの関連性を見ると、学校への登校が学生・児童の自殺者数と強い関連があることが示唆されている。

 社会的な環境変化はもとより、根強く残るいじめ問題など、教育の改善は急務だ。少子化が進む中、子どもたちが健やかに育つ環境を作るのは、政治と大人たちに課せられた大きな義務である。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

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最終更新:2021/11/15 07:00
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