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『関ジャム』“夜”の名曲特集! シティポップの最高峰、松原みき「真夜中のドア」

シティポップの最高峰「真夜中のドア」の歌詞を考察

 松尾の選曲が続く。極めつけは、松原みき「真夜中のドア~stay with me」である。これはガチ! 完璧に夜の曲だ。というか、これを作曲した林哲司の曲はほとんど夜に合いそうな気がする。

 松原みきの人気がスゴい。今、「真夜中のドア」はシティポップの最高峰と認識されている。同曲は特に海外で人気を博しており、一連の“ジャパニーズ・シティ・ポップ”ブームの立役者は韓国人DJのNight Tempoのようだ。まったく、何が流行るかわからないものである。「真夜中のドア」について、関ジャニ∞の丸山隆平は「この曲のベースを聴いてた」と告白したが、無理もない。この曲でベースを弾いているのは、あの後藤次利なのだ。

 松尾は「真夜中のドア」の歌詞に言及した。注目はサビに登場する以下の箇所だ。

「stay with me… 真夜中のドアをたたき 帰らないでと泣いた
 あの季節が 今 目の前」

 松尾の考察は以下だ。

「女性の部屋を出ていった男性を、その女性は追いかけずに内側からドアをたたいている……。内側から? どういうこと?」
「『帰らないで』と言う人が、なんでドアたたくんだろう? ドアたたくときって『入れてくれよ』じゃないですか。どうやら、内側からたたいてる。意味わかんない……と思ったんだけど、よくよく考えてみると内側からドアたたいててもドアを開かない瞬間ってのがあるんですね」(松尾)

 はっきり言って、考えすぎだと思う。思い浮かぶシチュエーションは大きく2つある。

・車で帰りそうな男性を追いかけた女性が、外側から「帰らないでと」と車のドアを叩いている。
・帰ってほしくないのに帰ってしまった男性を想い、いなくなった後に「なんで一緒にいてくれないのよ」と女性がドアをたたいている。

 他にも考察は各々あるだろう。しかし、「『真夜中』というドアがあり、ドアを挟んで手前に常識・秩序が、外側に非常識・無秩序がある」という松尾の解釈は、さすがに行き過ぎという感じがした。

泰葉「フライディ・チャイナタウン」は本当に流行っていたのか?

 Awesome City ClubのPORINが選んだのは、泰葉の「フライディ・チャイナタウン」だった。彼女にとって一世一代の名曲である。イントロが異常にカッコ良く、泰葉の作曲というより井上鑑の編曲を意識して聴きたい曲。もちろん彼女自身の歌唱も素晴らしく、しかもピアノ弾き語りで歌っていたのだから恐ろしい。「曲はいいのに、本人のキャラクターが……」と思う向きもあるだろうが、それを言ったら鬼束ちひろや玉置浩二はどうなる? と、フォローできなくもない。

 番組が紹介したのは、L.A.のクラブで2000人の観客が「フライディ・チャイナタウン」を大合唱する映像であった。確かに中華街はどの国にもあるから、世界中で通用する世界観だ。日本のシティポップが海外でウケている理由は、AORを魔改造した日本独自の音楽性が物珍しいからかもしれない。妙なガラパゴス現象を起こした80年代の日本の音楽は、漁ると非常に面白い。しかし、過去を美化しすぎな面がないわけでもない。

横山 「泰葉さんの歌がすっごい(耳に)残るよね。新太さん、あの曲メチャクチャ流行ったんですか?」
古田 「メッチャクチャ流行った、『フライディ・チャイナタウン』は。泰葉さんが出てきた頃の曲ですよね」

 いや、メッチャクチャ流行ってはいない。1981年にリリースされた同曲のオリコン最高位は69位である。海外の好事家が日本のシティポップを漁り、ジャンルの代表曲として改めて注目された……という印象のほうが強い。というか、今回はいっそのこと「シティポップ特集」でよかったのでは? という気がするのだが。

 そんな中で最後に紹介されたのは、ビートたけしの「浅草キッド」だった。確かに、これは夜だ。たくさんのミュージシャンがこの曲をカバーしたものの、どのバージョンも残念な出来になるという事実がたけしの存在感を際立たせている。Netflixが映画『浅草キッド』を配信し、それを機に再評価をされた曲でもある。

 たけしの夜曲といえば、作曲:坂本龍一の「TAKESHIの、たかをくくろうか」も外せない。『ビートたけしのオールナイトニッポン』エンディングテーマとして、ファンの思い入れも深い一曲。たけしの持つ哀愁が、木曜深夜が終わる物悲しさにそのまま転換される屈指の名曲だ。

 振り返ると、キリンジ「エイリアンズ」もフラカン「深夜高速」も選ばれなかった今回。この辺に物足りなさを感じなくもなかったが、思い入れが深い夜曲が多いことは再確認させてくれた。コロナが明けたら、“夜縛り”でカラオケに行きたいと思わせてくれる好企画だった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/03/06 20:00
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