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橋下徹語るウクライナ侵攻の「ヤクザ的政治」と「核シェア論」の是非

プーチンと「終末の日の大統領機」「死の手」

 ウクライナ戦争で今一番の焦点になったのは、プーチンが核を使うかということにあるようだ。私はそんなバカなことがと思うが、週刊誌の世界では、悪夢が直前まで来ているようだ。
「膠着状態が続けば、プーチンは『ウクライナは生物兵器を使うとんでもない国だ』と主張し、生物兵器を使うにとどまらず、核兵器も使用する恐れがあります」(東大先端科学研究センターの小泉悠専任講師)

 一橋大学の秋山信将教授もこう解説している。

「二十年にロシアが定めた『核抑止の分野におけるロシア連邦国家政策の基礎』は、国家の存続が脅かされた場合などに核兵器を使用できると定められている。この指針に基づいて核攻撃に踏み切ることはあり得ます」

 プーチンの体調も心配だという。

「顔の浮腫みについて、トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)の欧州ロシア担当の上級部長を務めたフィオナ・ヒル氏は二月二十八日、米メディアに次のように語っている。
『ステロイドを大量に飲んでいる可能性もある。この件には緊急性があるようだ』
英国紙『デイリーメール』は、ステロイドの副作用として、判断力が低下し、突然怒りを爆発させる間欠爆発性を伴う脳疾患などに言及。パーキンソン病の治療との関連を指摘している」(文春)

「核による反撃を受けたとしても、プーチンには“切り札”がある。最高機密の軍用機『イリューシン80』だ。操縦室以外に窓はなく、核攻撃を受けても搭乗者の生命の安全を守ることができ、『終末の日の大統領機』の異名を取る。
『数日間、空中に滞在できる機能などを持つ、いわば“空飛ぶ攻撃司令部”です。徹底的なコストカッターで知られた前国防相のセルジュコフは『第三次世界大戦の時にしか使わない飛行機は廃止しろ』と主張したものの、軍が猛反発して存続しました』」(同)

 それだけではないという。ロシアには核戦争に向けた“最終兵器”があるというのである。

「核攻撃を受けた場合に自動報復を行う『ペリメートルシステム』。万が一、プーチンが死亡しても作動する通称『死の手』だ。

 ロシア西部、コスピンスキー山の地下基地にあるとされている。

『これは世界でロシアしか保有していません。一定期間大統領や参謀本部と連絡が取れず、かつ、地震計や放射線計などのデーターから『核攻撃を受けた』とシステムが判断すると、一発のロケットが領土を横断するように飛行。そのロケットが、各地の核ミサイル部隊に『報復攻撃せよ』と命令を出すんです』(小泉専任講師)

 では、攻撃が行われるとすれば、一体いつなのか。国際ジャーナリストの春名幹男がこう語る。

「キエフ包囲から二週間が経ちますが、戦線は膠着している。次第に食料や弾薬の補給が難しくなりロシア軍の士気は下がっています。今後、ロシア軍の死者が増え、一ヵ月経っても目に見えた成果がなければ危ない。四月末にも最悪の事態を迎える可能性があります」

 慶應義塾大学の神保護教授もこう指摘する。

「簡単に交渉がまとまる見込みはありません。仮に交渉が決裂し、ロシアの侵攻によって人道的危機が高まれば、西側諸国が軍事介入を余儀なくされるかもしれない。NATO諸国の介入によってロシア軍の劣勢が決定的になれば、プーチンが核の使用を決断してもおかしくないのです」

 中村逸郎筑波大名誉教授は、ロシアによるウクライナ侵攻を事前に予測した数少ない専門家だが、その中村教授もまた、
「ロシアは三月十六日に期日を迎えたドル建て国債の利払いを完了し、デフォルト危機を一旦は回避しました。ただ、今後も巨額返済の期限が次々訪れます。SWIFT(国際銀行間通信協会)から排除された影響もあり、ロシア国内では4月末にデフォルトを迎えることが懸念されています」

 さらに鍵となるのは、ロシアの記念日だという。

「五月九日に独ソ戦の戦勝記念日を迎えます。その前にデフォルトを招き、国が破綻することはプーチンとしては絶対に避けたい。デフォルト直前の四月末から五月頭にかけて、東欧諸国にある米軍基地などを核攻撃する。『米国に勝利した』と宣言し、経済面での敗北を隠そうとするのではないか。これまでの言動を精査する限り、それぐらいのことをやりかねません」

 プーチンは開戦の際の演説で、世界各国に「宣戦布告」をしている。

「あなた方を、歴史上直面したことのないような事態に陥らせるだろう」

 それに対して、“不屈の男”ウクライナのゼレンスキー大統領の支持率は一時下がったものの、戦争が始まってから、今では90%台に回復していると国際部記者が語っている。

 侵攻が苛烈さを増す中、現在は大統領官邸の地下壕や地下室で、側近と共に過ごしているといわれているようだ。

 文春は、ロシアの悪名高いKGBの後継組織であるFSBの秘密文書が次々に表に出ていると報じている。

「電撃的なキエフ占領は完全に失敗した。ロシアは追い詰められている」
「ロシアの諜報機関FSB (連邦保安局)の分析官が書いたとされる内部文書が世界中を騒がせている。この文章を次々に入手し、公開を続ける男性は一体何者なのか」(文春)
「六月になれば経済が崩壊し、ロシアには何もなくなる。勝利の選択肢はなく、敗北のみだ」
「今秋、中国の台湾侵攻計画があったが、ロシアの侵攻が長引いて実現不可能に」

 文章を公開しているのはロシアの人権団体の代表で、人権派弁護士として活動するウラジミール・オセチキン(40)だという。現在はフランスに住んでいるという。文春が彼にZOOMで直撃した。

 これらの文書が本物だと確信している根拠は?

「昨年末、彼らから『ロシアがウクライナ侵攻の準備を進めている』というメッセージが届きました。さらに二月十九日、『ウクライナが刑務所内で受刑者に拷問しているという捏造情報を、FSBが拡散し始めている』と警告されたのです。私は当初、彼らの話を信じていませんでしたが、実際にウクライナの刑務所内での拷問に関する匿名情報が映像付きで寄せられ、その数日後には戦争が始まったのです。それらの情報は全て正確だったので、私は彼らを信じるようになりました」

 バイデン大統領は、プーチンが権力の座に留まり続けてはいけないなどと、過激な言葉は発するものの、具体的にロシアと対峙する行動はとっていない。それはEUも同じである。

「実はウクライナ侵攻以降、EUのロシア産天然ガスの輸入量は減るどころか一・三倍ほどに増加していた」(商社関係者)というのである。

 この背景について一橋大学の福富満久教授が解説している。

「プーチンにとって西側諸国に勝利するための“政治的武器”がエネルギーです。EU諸国は現在も天然ガスの約五割、原油の約三割をロシアに依存しています。ロシアからの天然ガスパイプラインは欧州津々浦々に張り巡らされ、EU経済の“血液”を掌握することでプーチンは事実上の欧州包囲網を敷いているのです」

 新潮も、プーチンの力は侮るなかれという。

 東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠専任講師はこういう。

「プーチンに忠誠を誓っていれば、石油や天然資源から上がる莫大な利益の分配を得られる。逆に言えば、プーチンはこの山分けの利益を与えることによって、何百人ものエリートを鼓舞し、従わせてきたのです。しかし、今回の経済制裁を受けて、このシステムが他ならぬプーチン自身の暴走によって、崩壊の危機に瀕している。今後、政権内部から、“もう彼を担ぐメリットはない”という動きが出てくるかどうか。そしてその場合、プーチンがかつてのスターリンのように、そうした動きを徹底的に粛清するかどうか。いずれにせよ、プーチンがこのまま安穏と権力の座を維持していられないことは間違いありません」

 新潮がいうように、その先にあるのはクーデターかプーチン暗殺である。それを心底怖れているので、プーチンはさらなる破壊工作を始めるのではないか。

 バイデン大統領は、口先では強気なことをいっているが、内心では、プーチンの死をも覚悟したかのような傍若無人ぶりに恐れをなしているのではないか。

 ウクライナ戦争はロシアの勝利に終わるかもしれない。そうなれば次には中国、北朝鮮も動くかもしれない。困った世の中になったものだ。

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