日刊サイゾー トップ > エンタメ > 連載  > 蛙亭イワクラ&吉住の“地声”トーク

「テレビ見なくなった」への処方せん 蛙亭イワクラ&吉住の“地声”トーク、と阿佐ヶ谷姉妹

文=飲用てれび(いんよう・てれび)

「テレビ見なくなった」への処方せん 蛙亭イワクラ&吉住の地声トーク、と阿佐ヶ谷姉妹の画像1
『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日系)

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月8~14日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

吉住「私、食レポとかしないんですいません」

 テレビのバラエティ番組のあり方が「いじめ」問題などと絡めて社会的に話題になったりする際に、Twitterなどでよく見る定型的な文字列がある。「大阪の芸人がたくさん画面に映るようになってから、テレビをあまりみなくなった」みたいな声だ。

 こういった文面からなによりも伝わってくるのは、「大阪の芸人がテレビにたくさんでるようになった」ことでも、「そういった理由でテレビを見ない人が増えた」ことでもない。「この人はそういうかたちで自分のアイデンティティをアピールしたがる人なのだ」という点である。

 けれど、そんな皮肉はここではおいておこう。批判よりも対案を。そんな言説が好まれるようになって久しいし。実際には「批判よりも対案を」みたいに言う人が対案を出してくるケースはあんまりなくて、「批判よりも対案を」と言いたいだけの批判になっていることが多いわけだけれど――って、いけない。また皮肉になってしまった。私はこういうかたちで自分のアイデンティティをアピールしたがる人なのだ。

 ということで対案を。「大阪の芸人がたくさん画面に映るようになってから、テレビをあまり見なくなった」みたいなことを言いたい人にこそ見てほしいバラエティ番組がある。

 蛙亭のイワクラと吉住、2人の芸人のトークバラエティ『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日系)。テレ朝が深夜に展開するバラエティの放送枠「バラバラ大作戦」のなかの1番組で、今年の4月から放送が始まった。これまで、2人が日常で感じた話題でトークしたり、イワクラがお菓子のパッケージを愛でたり、東京03の飯塚悟志をゲストに迎えてコントについて語ったりといった内容が放送されてきた。

 2人の会話は実にロートーンだ。口調が淡々としているし、その会話内容は必ずしも世間的な意味で「ポジティブ」ではない。

 10日の放送では、吉住が「なんかこないだちょっと遊びに……」と話しはじめると、某テーマパークでおみやげを購入するさいの悩みを語り始めた。地方の銘菓や特産品であれば、あげる相手にも喜ばれるだろう。でも、テーマパークのおみやげのお菓子はそういうものじゃない。自分が思い出をつくってきました、という報告でしかない。「それって、年賀状に子どもの写真を載せる人と何がちがうんだろうって考えはじめて、動けなくなっちゃって」と吉住は語る。ここから、おみやげは誰まであげればよいのか、結婚式にはどの範囲まで呼べばいいのか、そんなことを考えると結婚したくなくなる――2人はそんな会話を展開する。

 先ほど、2人の会話はロートーンだ、と書いた。それは口調が淡々としているといった比喩的な意味だけはない。実際に2人の声は低い。女性は「社会的にイメージされる女性的な声」にあわせて、意識的か無意識的か地声よりも声が高くなりがち、みたいな話を聞いたことがある。そういう「女子」的な磁場から意識的か無意識的か距離をとってきたのだろうか。低い音域でやりとりされる会話からは、そんな2人の歩みも想像してしまう。

 一方で、2人はカワイイものを「カワイイ」と口にする。今回、2人の前に出てきたのはカヌレ。吉住が好きなスイーツらしい。2人はカヌレを見て「カワイイ」と言う。カヌレを食べて笑みを浮かべる吉住を見て、イワクラが「カワイイ」と言う。そんな吉住は「私、食レポとかしないんですいません」と笑う。言葉だけではない。指先だけで拍手をするといった、先達の女性芸人がネタにしてきたような「女子」的な動作もふつうに見せる。

 無自覚に寄りかかるわけでもなく、積極的に拒否の構えをとるわけでもなく。「女子」的であることからの自然な距離感。声の低い2人は、そういう意味でも地声に近いところで語る。女性の芸人がMCを務める番組として、これはあまりなかったことではないか。あえて「女子」から距離をとり、「男」のできることは私にもできるといったスタンスを示す。そういう女性芸人のあり方はいままで必要とされていたのだろうし、いまも必要なシーンはあるだろう。が、それとは異なるスタンスで画面に映る2人。そんな2人を映す番組。こういう番組もひとつのかたちとしてありになったのだ、という変化も感じる。

 いや、女性の芸人は「ゴリゴリのお笑い」にも取り組むべきだ、という声もあるかもしれない。安心してほしい。同じ「バラバラ大作戦」の枠には、福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)が「ゴリゴリのお笑い」をやる『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレビ朝日系)も放送されている。同時期にそんなバリエーションがあるのが、なにより豊かだ。

 え? 若い芸人のお笑いなんて見てられるか、ですって? そんな偏狭な人も、安心してほしい。テレ朝の「バラバラ大作戦」では、40歳を超えてブレイクした阿佐ヶ谷姉妹の2人がお届けする『阿佐ヶ谷ワイド!!』が放送中である。(【1/2】 2ページ目はこちら

12

「テレビ見なくなった」への処方せん 蛙亭イワクラ&吉住の“地声”トーク、と阿佐ヶ谷姉妹のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る
トップページへ

アイドル・お笑い・ドラマ…ディープなエンタメニュースなら日刊サイゾー

  • facebook
  • twitter
  • feed
イチオシ企画

セブンにファミマ、ローソン…コンビニ飯オススメは?

セブンにファミマ、ローソン、各社が外食チェーン顔負けの新商品を続々投入中。気になる消費を紹介
写真
特集

『旅サラダ』KAT-TUN・中丸を見守りたい

『朝だ!生です旅サラダ』の「発掘!ニッポン なかまる印」リポーター・中丸雄一の奮闘記
写真
人気連載

『水ダウ』“陰口ドッキリ”のずるさ

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週...…
写真
インタビュー

森達也監督が初の劇映画に挑む理由

 ゴーストライター事件で騒がれた佐村河内守氏...…
写真