『ハウルの動く城』若い子大好き宮崎駿監督が老人愛に鞍替え!?
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
宮崎駿が「妖婆同士のイケメン獲得バトルロイヤル」に込めた皮肉
ハウルが「動く城」にこもっているのも、サリマンや荒地の魔女、国といったハウルを利用しようとする者から逃げるためである。こもっているのに「動く城」に住むのは、責任は取りたくないけど、自由でいたいという二律背反だ

サリマンはハウルよりも高い力を持つ魔法使いでその上、権力者として国の政治の中枢に絡んでおり、国王や総理大臣とも対等に話せる。サリマンの思い通りにならないのはハウルぐらいで、なんとかして彼を自分のもとに置こうとする

同じくハウルを狙う荒地の魔女は、ハウルの美しさに魅入られている。高齢の魔女は魔法の力でなんとか自分の姿を維持しており中盤、サリマンに力を奪われただの老婆にされてしまう。醜い自分の姿を直視できず、ハウルの美に惹かれるのはあまりにもグロテスク。
サリマンも荒地の魔女も同じようなもので、ハウルといういいなりになるイケメンを、そばに置いておきたいという欲求だけが肥大化している。現実世界にもこういう人、いますね。サリマンなんて従者と呼ばれる同じ顔、同じ格好の美少年を多数、侍らせているんだから。ハウルを手に入れたら絶対同じことさせるよ! そんな人間が一国の戦争を左右しているって怖くない?
権力者と欲求が肥大化した妖婆同士のイケメン獲得バトルロイヤルに参加させられるのは自己肯定感の低い純朴なヒロイン、ソフィーである。ほかの二人はハウルの美しさだけに目を奪われているが、彼女だけはハウルの内に潜む闇に気づき、その穢れをとってやろうとする。ソフィーが城を掃除するのは、ハウルの心の穢れを綺麗にするということだ。

終盤、崩壊する城の中でソフィーは、子供のころのハウルが流星となって降り注いだ火の悪魔、カルシファーを飲み込むことで、彼の心臓と交換する契約を果たすのを目の当たりにする。なぜソフィーが時空をとびこえられたのかの説明はまったくなく、中盤~終盤の展開は駆け足に進んでいき、観客の理解を超えている。タイトルにもなっている「動く城」にしたって、後半ではデザインが変わってしまっている(!)。
強引に戦争には幕が引かれ、サリマンに「ハッピーエンドってことね?」と言わせて終わりという強引の上に強引を重ねて終わらせている、製作途中にはイラク戦争が勃発し、宮崎監督は本作に影響を受けたそうだが、継続中の戦争なので、勧善懲悪の中で幕引きをするのに躊躇したようで、そういう戸惑いや悩みが随所に見られる。
曖昧に戦争が起きている(理由すら説明されない)世界で、曖昧な性格の主人公が曖昧なままに物語を終わらせるって、普通はありえないよ!
曖昧すぎる主人公と物語に比べて、ヒロインであるソフィーだけには明確な魅力が表現されている。それは映画のキャッチコピーにもある
「生きる楽しさ。」
「愛する歓び。」
である。ソフィーは自己肯定感の低いヒロインで、長女だからという理由で流行りもしない帽子屋で働いている。明るく気立ての良い妹に比べれば、自分は地味で魅力がないと思っている(でもよく見ると美人なんだけど)。そんなソフィーは呪いで老いたことではじめて、外の世界に出かける。しかもイケメンと恋までする。老いたことは終わりではない、まだまだ、人生はこれからだ!
これまで「若いって素晴らしい」という視点で作品を作ってきた宮崎監督、この時62歳。老いの境地になってついに「老いって素晴らしい」に至ったのである。それをそのまま書くと説教臭くなるので、曖昧なファンタジーにすることで説教臭さを無くしたというわけですよ。
そんな巨匠の最新作は『君たちはどう生きるか』って……ちょっと! なんか説教臭くなってる気がするんだけど大丈夫?
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