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今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識51

『アルマゲドン』NASAがテストに使うほど間違いだらけ!ツッコミどころ解説

『アルマゲドン』NASAがテストに使うほど間違いだらけ!ツッコミどころ解説の画像1
金曜ロードショー『アルマゲドン』日本テレビ 公式サイトより

 地球に小惑星が接近、このまま直撃すれば地球は破壊される!? 未曾有の危機から人類を救うため、小惑星を核爆弾で破壊するミッションが発動。人類の未来は8人の石油掘削員に託された! 1998年に大ヒットを記録したSF超大作『アルマゲドン』が、日本テレビ系『金曜ロードショー』を直撃!

 隕石が宇宙空間で作業中のスペースシャトルを破壊し直後、流星雨がNYに降り注ぎ、市民は大パニック! 観光客の松田聖子(ゲスト出演)が「わたしはショッピングに行きたいの!」ってそれどころじゃないよ!

 NASAの分析により、さらに巨大な小惑星が地球に接近していることが判明。直撃すれば地球は破滅、人類滅亡は免れない。激突までのタイムリミットは18日間。世界最高のブレーンたちが知恵を振り絞った結果、小惑星に穴を掘り、穴の中で核を爆破させて破壊するという唯一無二の計画を立案。この作戦遂行のために穴掘りのプロたち――南シナ海で石油を掘削している会社社長のハリー(ブルース・ウィリス)を含む8名の男たちが選ばれた。その中にはハリーの一人娘グレース(リブ・タイラー)と恋仲であることから、ハリーの怒りをかっている若者A・J(ベン・アフレック)も居た。

 NASAの宇宙飛行士たちによる訓練を受けた8人は人類の未来を背負って旅立つが、宇宙で彼らを待っていたのは想像を絶するトラブルと、政府が彼らに隠匿していた極秘の作戦だった。

『トップガン』のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーと『バッドボーイズ』『ザ・ロック』の二本でありとあらゆるものを吹き飛ばした「爆発野郎」ことマイケル・ベイ監督による本作は世界中で大ヒットを記録した。特にこの映画を愛しているのは日本で、なんと14週連続トップという不動の記録を今も保持している。

 全世界で5億ドルのヒットとなった映画だが、内容は……どうしようもなくスッカラカン。NASAは管理職研修の一環としてこの映画を見せているという。NASAが協力、監修した映画のすばらしさを伝えるためではない。

「この映画の科学的誤りを指摘せよ」

という課題のためにだ。150分の上映時間の中には168の誤りがあるとされている。1分に最低ひとつ、穴がある!

 例えばテキサス州に匹敵する大きさの小惑星を最初に発見するのは天体マニアのおっさん。NASAが素人に負けてどうする? 情けない(ダジャレ)。

 地球に降り注ぐ隕石はニューヨーク、パリ、上海といった都市群を破壊するが、地球の70%は水だからそのほとんどは海に落ちるといわれており、都市群を狙い撃ちはしない!

 直径1000キロの小惑星を破壊する爆弾は映画の中に出てくるようなサイズでは花火程度にしかならず、爆破のタイミングはもっと早い段階、太陽系外でなければ間に合わない。衝突まで18日間という時点で不可能。

 しかも宇宙に送り出すのはズブの素人たち。それより宇宙飛行士に穴掘りの技術を教えたほうがいいよ!(この穴掘りの男たちは、小惑星に降り立つとほとんど何の役にも立っていなかった。クライマックス直前に起こる悲劇は、メンバーのひとりがイカれて機関銃を撃ちまくったせい)

 この素人たち、地球滅亡まであと数日なのに「最後に休暇を取らせろ」と言い出し、そのうち数人はバーでどんちゃん騒ぎをやらかし、逮捕される(ひどい)。そのうちひとりはどんちゃん騒ぎのために大金を、NASAから金利6割で借りていた。こいつは、作戦がどうせ失敗すると思っていて、「返さなくていい」から金を借りたことが後でわかる。最低だよあんた!

 スペースシャトルは2台打ち上げるのだが、この2台を並べて打ち上げる。もし片方が事故を起こしたら巻き込まれて大惨事だ。そしてブースターを全部まとめて切り離す。多段式の意味を教えてやれ。ロシアの人工衛星とドッキングする場面は、超高速で合体! そんなスピードじゃ衝撃で破壊されるよ!

 しかもロシアの人工衛星にドッキングしたのは燃料補給のため。ガソリンスタンドじゃないんだよ!

 一基のスペースシャトルが事故を起こして小惑星に墜落するが、メラメラと燃えている。空気がないのに?

 小惑星の質量は地球の千分の一といわれているのに、みんな地上と変わらない状態で歩行している!

 宇宙空間では予測不能なトラブルが頻発する。それはこちらの想像を超えている、とかいう話ではなく「それぐらい事前に予想しておけよ!」レベルの話で、NASAってこの程度の人たちしかいないの?

 小惑星を破壊するミッションが失敗に終わったためにNASAはウィリスたちにも教えていない「第二案」を実行。穴を掘らずに小惑星表面で爆発させる(ほとんど意味がない)のだが、ウィリスやNASAの一部メンバーの抵抗によって、爆弾の時限起爆装置を解除する。それは赤と青のコードどちらかを切るというもので『ジャガーノート』(時限爆弾を解除するために赤青どちらのコードを切るか、というネタの元祖)じゃないんだから、そんな核爆弾見たことないよ!

……とまあ、この10倍の突っ込みどころがあるのだけど、これぐらいにしといたるわ! こんな突っ込みどころだらけのダメ映画がどうして大ヒットしたのか?

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