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『ブラフマーストラ』は『RRR』の監督も大絶賛! インド発、ヒンドゥー神話×アメコミヒーローの新ユニバース

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『ブラフマーストラ』© Star India Private Limited.

『Wake Up Sid』(2009)、『若さは向こう見ず』(13)のアヤーン・ムカルジー監督が、ヒンドゥー神話とアメコミヒーローを掛け合わせたファンタジー作品『ブラフマーストラ』が、いよいよ日本でも5月12日から公開される!!

 インド映画史上初の全米ボックスオフィス初登場2位を記録し、インド映画音楽の巨匠プリータムによる作中曲『ケサリヤ』は、YouTubeで公開後、約4カ月で4億回以上再生された。これは『RRR』の『ナートゥ・ナートゥ』が1年かけて再生された回数の約2倍だ。

 主演のランビール・カプールとアーリヤー・バットが実生活でも交際しており、のちに結婚したこともメタ的に機能し、インドでは『ケサリヤ』がラブソングの新たな定番に。Bollywood Life Awardsではベストソング賞を受賞しているし、今後開催される国際インド映画アカデミー賞などの映画賞にもノミネートされている。

 また今作『ブラフマーストラ』は、新たな神々の物語「アストラバース」と名付けられたユニバース(世界観を共有した)作品でもある。2026年12月、27年12月に新作の公開を予定しており、今後も世界観が拡張されていくはずだ。サイドストーリーはアニメやコミック化もされるかもしれない。

 今作の監督アーヤン・ムケルジーは、ほかにも、リティク・ローシャン主演の「YRF スパイ・ユニバース」の新作で、『RRR』のビーム役N・T・ラーマ・ラオ・ジュニアや、『Pathaan』のジム役ジョン・エイブラハムも参加する予定の『ウォー2』でもメガホンを取る。アヤーンは、今後ふたつのユニバース作品を手掛けることになり、ボリウッドでは大注目監督のひとりだ。

 カメオ出演といいながら、冒頭から結構な尺でボリウッドのスーパースター、シャー・ルク・カーンのアクションシーンが展開されるのも見どころ。このシャー・ルクが演じるモハン・ガルバブというキャラクターは、ある秘密を持っている。それは、アヤーンが初めて脚本・助監督として参加した『Swades: We, the People』(04)で、シャー・ルクが演じていた役名と設定がまったく同じになっていることだ。

「アストラバース」だけだと単なる3部作企画のように思えるかもしれないが、こういった遊びを入れてくるところからも、今後アヤーンが監督する作品から目が離せない。こうなると、もはや「アヤーン・ムカルジー・ユニバース」と言ったほうがいいのかもしれない。

 ほかにも、アヤーンの作品に関わりのある女優が出演していたりと、インド映画マニアにしかわからないような演出や細かいギミックも隠されており、遊び心が満載の作品ともいえるだろう。

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『ブラフマーストラ』© Star India Private Limited.

 これまで、インド映画の“続編もの”というと、『Golmaal』シリーズや『女神は二度微笑む』のように、作品ごとにリセットされた内容だったり、『Dhoom』シリーズのように、なんとなく感覚的にはつながっているのかもしれないけど~みたいな扱いになることが多かった。だが今回、『Pathaan』と『Tiger3』がつながり『Pathaan Vs Tiger』に、そして『ウォー2』にもつながっていく「YRF スパイ・ユニバース」のように、ハリウッドのユニバース化の流れを受けて、インドでも直接的につながっている作品が年々増えてきている。

 インドで21年に制作された映画本数は約1800本にもなる。米国の約1000本、日本の約500本と比べると驚異的な数字だ。しかし日本国内では、劇場で一般公開されているインド映画は年間で10本にも満たない。アメリカやイギリスに比べてインド作品の公開数が極端に少ない日本だが、インド映画界の目覚ましい躍進ぶりもあり、そろそろ定期的にインド映画の新作を入れる体制を築いていかなければならないはずだ。『ブラック・ウィドウ』(21)以降、検閲によってMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品が中国で公開されず、MCU難民が増えてきているのも、事情こそ違えど他人事ではない。日本でも、インド映画のユニバース難民が出てしまうだろう。

 せっかく公開してくれた『ブラフマーストラ』も、『RRR』のように超積極的にプロモートしてもらわないと、先行きは非常に不安である……。

【ストーリー】
ムンバイに暮らす天涯孤独の青年シヴァは、ダシェラ祭で出会った女性イーシャと恋に落ちる。それと時を同じくして、見知らぬ科学者が何者かに襲われ、ある物体を奪い去られるという不思議な幻視を見たシヴァは、科学者がその名を口にしていた芸術家のアニッシュ・シェティを探すことに。バラナシでアニッシュに出会うことができたシヴァとイーシャだったが、そこには幻視の中で科学者を襲ったジュヌーンらの姿があった。アニッシュが食い止めることで辛くも逃げ切ったシヴァたちは、すべてを知るというグルの寺院へと向かう。そこで追っ手が手に入れようとしているのは、神々から授かった武器“アストラ”と、その中でも最強の武器とされる“ブラフマーストラ”であることを知らされる。ブラフマーストラが目覚めることで世界は滅びてしまう…。しかもシヴァはそれらの武器を守護する役割を担う秘密組織“ブラフマンシュ”に属していた人物の息子であり、偉大なる火の力“アグネヤストラ”を宿していると告げられる。果たして、シヴァは自らの運命を受け入れ、世界を救うことができるのか……。

アヤーン・ムカルジー監督はアメコミオタク!? 実はずっと前から企画していた!?

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『ブラフマーストラ』© Star India Private Limited.

 どれもこれもというわけではないが、マーベルやDCコミックスから出版されている主要なコミックはインドでも流通しており、04年には「スパイダーマン・インディア」というインドオリジナルのスパイダーマンも誕生した。

 同作はのちにアメリカにも逆輸入されたほどで、日本でも6月に公開される『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』でも、スパイダーマン・インディアが登場することになっている。それに合わせて、アメリカでは新作コミックが出版されるほどカルト的な人気もあるのだ。

 近年はアメコミ映画もインドのボックスオフィスで1位を獲ることが多く、昨年公開された『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』なども1位を記録しているほど。また配信サービスの普及も手伝って、より多くの人にとってアメコミヒーローが身近な存在となりつつある。

 近年、さまざまなインド映画を観ても、その影響というものは感じられる。例に挙げたたらキリがないほどだが、例えばタイガー・シュロフ主演の『シャウト・アウト』(20)では『キャプテン・アメリカ』に似た戦闘スタイルで敵に立ち向かうシーンがあるし、タイムパラドックスを描いたタープシー・パンヌ主演の『Dobaaraa』(22)では、マルチバースの説明に『ドクター・ストレンジ』が引用されている。

『プラフマーストラ』は、そういったアメコミヒーロームーブメントの影響をド直球に受けた作品だと思うかもしれないが、実は、トレンドを狙ったというわけでもない。

 それはアヤーン・ムカルジーの初監督作品『Wake Up Sid』(※日本のNetflix環境下では、言語設定を英語にすると視聴可能)を観ると、なんとなく理解できるはずだ。

『Wake Up Sid』の主人公シドは、コミックオタクという設定。特にシドの着ているTシャツや部屋に散らばっているコミック、パソコンの壁紙を見ても、マーベルよりもDCのほうが好きというのが伝わってくる。ほかにも「怪力アント」や「ブラック魔王」「スクービー・ドゥー」など「ハンナ・バーベラ・プロダクション」のカトゥーンTシャツを着ていることから、ワーナー関係から小道具を提供されているのか? とも思う部分もあるが、「スタートレック」(パラマウント)や「インクレディブル・ハルク」(MCU)のTシャツも着ているのだから、どうもそういうことではなさそうだ。

 主人公シドはおそらくアヤーン監督自身の投影であり、彼の趣味嗜好が強く表れたキャラクターだといえる。つまりこの頃、いやもっと前から、アヤーン監督はいつかはヒーロー映画(DC寄りの)を撮りたいと思っていたのではないだろうか。

 そう考えると、今作の能力エフェクトが「グリーンランタン」に似ているような気もしてくるし、ヴィラン側が赤色なのも、レッドランタンを意識しているような感じもしてこないでもない……。

 実際に、今作の企画が発表されたのは約8年前で、主演のランビールのスケジュールの都合や新型コロナの影響など、なんだかんだで今になってしまったわけだが、本当は発表されるかなり以前から企画自体は動いていたのだろう。

 いずれにせよ、アメコミヒーローブームだからといって、突発的に企画されたものではないことは確かだ。

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