日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 「木原事件」を取り上げない新聞テレビ

国会で追及されるべき「木原事件」を取り上げない新聞テレビの目は節穴というしかない

国会で追及されるべき「木原事件」を取り上げない新聞テレビの目は節穴というしかないの画像1
国会議事堂(「Wikipedia」より)

今週の注目記事・第1位「木原事件 妻の取調官(捜査一課刑事)実名告白18時間」(週刊文春8/3日号)

同・第2位「札幌『頭部切断殺人』逮捕三名はいびつな親子 共産党系『精神科医』の父が娘を守る盾は『精神障害』」(週刊新潮8/3日号)「札幌首狩り家族祖父激白『突然、感情が…』多重人格孫娘の発火点」(週刊文春8/3日号)

同・第3位「『大阪“維新”万博』大混乱の“戦犯”」(週刊新潮8/3日号)

同・第4位「尾上菊之助(45)踊る大不倫!」(週刊文春8/3日号)

同・第5位「実利のみで考える! 原発処理水『海洋放出』は日本にとって得か損か?」(週刊プレイボーイ8/14日号)

同・第6位「6代目Mステ司会人気アナの同棲愛をキャッチ 番組で再会『憧れの同

同・第7位「辞任でも『ビッグモーター』大爆発“院政”支配の成金社長『私の履歴書』」(週刊新潮8/3日号)

同・第8位「娘に下剤で『共済金』を吐き出させた 大阪『34歳シンママ』は“鬼畜”以下」(週刊新潮8/3日号)

同・第9位「独走レポート 広末涼子 鳥羽周作シェフとも別れ、子供たちと海外移住の『青写真』」(FRIDAY 8/11日号)

同・第10位「ChatGPTで相続税が安くなる」(週刊ポスト8/11日号)

同・第11位「断末魔の『朝日新聞』で何が起こっているのか」(週刊新潮8/3日号)

【巻末付録】ポストのSEXYグラビア採点!

 

 今週現代はお休み。今週は何といっても文春の木原誠二官房副長官の妻の疑惑報道が、新たな段階を迎えたことが一番の話題だろう。次々に繰り出す「新事実」は、確実に木原と彼の妻を追い詰めているに違いない。失礼を省みずにいわせてもらえば、洪水のように出版される凡百のミステリーより百倍も面白い。 こんな面白い話をまったく取り上げないテレビ、新聞の眼は節穴というしかない。

 これについては後でじっくり語りたいと思うが、今週は、その新聞の“親玉” 朝日新聞の内情を報じている新潮からいこう。新潮によれば、今年1月のABC調査によれば、朝日新聞の部数は今や380万部しかないという。かつては840万部を誇ったが、読売新聞が今でも653万部で踏みとどまっているのだから、見る影もないといっていいだろう。

 2021年3月期決算では約442億円の大幅赤字を計上し、200人規模の希望退職者を募ったが、そのためにエース級の記者たちが辞めていってしまった。最近では、有望株の若手3人が8月までに同時退職してしまうそうである。

 今年5月30日に、朝日新聞Digitalが、自らを“ジョーカー議員”と称する河合悠祐草加市議を紹介する記事を配信したが、それが女性支援団体のシンパたちから批判を受けると、朝日は記事を削除してしまったというのである。詳しいことは省くが、朝日新聞というのは、外からの批判に弱いというのは定説になっている。

 だが、ジャニー喜多川問題のように、自分たちがずっと沈黙してきた問題でも、BBCが報じると、われは正義の味方とばかりに連続追及し、自分たちはずっとこの問題を報じてきたかのような顔をして恥じることがない。“ジョーカー議員”の記事でも、事前の取材が甘すぎて、河合議員さえ呆れているのである。そうした体質を元朝日新聞の政治部記者だった鮫島浩はこういう。

 「(幹部たちが誰も事前に問題点を指摘しなかった=筆者注)そのことに衝撃を受けます。そして一旦トラブルが起こるとトカゲの尻尾切りのごとく記事を取り消してうやむやにして、編集局長も部長もデスクも、自分が責任を問われないことしか頭にない。こういうモラルハザードが起こっていると、現場の記者も、官公庁や捜査機関などの発表をそのまま流す“発表モノ”などの差し障りのないことしかやらなくなります」

 さらにこういう。

 「朝日のOBやOGが所属する会の会報で社長は、これからは稼げる会社になりましょう、と言い、収益の三本柱はデジタル、イベント、不動産だとしていました。ジャーナリズムはどこへ行ったと批判が巻き起こったのは当然です。笑い話なのは、儲けることばかり考えているのに儲かっていないこと。もはやビジネスマンとしてもジャーナリストとしても失格です」

 こんな新聞に、木原誠二官房副長官“事件”を扱う勇気などないことは自明の理である。

 

 お次はChatGPTで相続税が安くなるというポストの記事。スマホのLINEで、「親が現金をたくさん持っているが、効果的な節税対策には何がある?」と入力すると、30秒ほどでこんな答えが返ってくるという。

 「生前贈与は年間110万円までの贈与は非課税だから、これを利用する。死亡保険や死亡退職金の非課税枠を活用。事前承継税制を活用する」

 などと30秒ぐらいで答えてくれるのだ。親が弟に多く相続させようとしているがと問いかけると、「それは大変な状況ですね」というねぎらいの言葉から、「親が健在であれば、家族全体で話し合いを持つことを勧める。また、遺言がある場合、遺言によって法定相続分を侵害する内容の場合、遺留分侵害の主張が可能です」と答えてくれる。

 生成AIではないが、遺言書自動作成サイト「遺言書AI」は、岡高志行政書士事務所が提供しているが、ホームページから遺言書AIに進み、必要なことを書き入れると、遺言書の文言がPDFで送られてくるという。遺言書か、早く書こうと思っているのだが、なかなか手がつかない。ChatGPTに頼んで、考えてもらおうか。

 

 さて、W不倫で大騒ぎした広末涼子とシェフの鳥羽周作だったが、文春が報じられてから、2人は会っていないという見方が多いようだ。まあ、会わなくても今は連絡が取れるから、没交渉というわけではないだろうが、広末のほうがあっという間に離婚し、子供たちの親権を確保してしまうなど、動きが急である。

 FRIDAYによると、もともと広末は海外志向が強く、とくにフランスがお気に入りだそうだ。それは20代の時に、フランスを舞台にした映画を撮り、その時の生活が忘れられないという。最近では、女優の杏がフランスへ移住したが、それを羨ましがっていたそうである。

 一方の鳥羽のほうは5億円ともいわれる賠償金を抱え、今は村おこしの古民家をレストランにし、日銭を稼ぐ日々だという。鳥羽は「彼女と絶対結婚する」と周囲にいい張っているそうだが、広末の心はもはや彼のほうを向いていないのではないか。だってそうだろう。知り合ってたった2ヶ月で恋に落ちたんだから、醒めるのも早いに違いない。不倫で損をするのは女性だというのは昔の話で、今は、男のほうが惨めになる時代かもしれない。

 

 ところで残忍な母親がいたものだ。自分の娘に下剤を飲ませて入退院を繰り返して、支払われる共済金や保険金を何と570万円も詐取していたというのである。その“鬼母”は大阪の大東市に住む、パート従業員・縄田佳純(34)。新潮によれば、2018年から、娘に十分な食事を与えず栄養不足によるケトン性低血糖症にさせていたというのだ。

 8歳だった少女に必要とされる熱量は1日1800キロカロリーなのに、彼女が入院前の3日間で口にできたのは90キロカロリーの駄菓子だけだったという。 今年2月に再入院した娘は、その際、助けてのサインだったのだろうか、スマホをスピーカー状態にして、母親との会話を流し、それを聞いた病院側が、府の中央子ども家庭センターへ連絡したという。

 「縄田は電話で『食うなよ、寝とけ』『泣くなって、うっとうしいから』などと語気を荒げていました。これを受けて9日には家庭センターが娘を保護。通報を受けた府警は3月末、娘に食事を摂らせないようにした強要未遂容疑などで縄田を逮捕します。続いて4月、自身が処方されていた下剤を娘に飲ませた傷害容疑で再逮捕。さらに6月には低血糖症に至らせた傷害容疑で3度目の逮捕となり、本件逮捕へと繋がりました」(府警担当記者)

 縄田は“稼いだカネ”をエステなどの遊興費に充てていたそうだ。こんな母親いらない! そう娘は叫びたかったのだろう。娘はすっかり回復して、家庭センターから元気に通学しているという。彼女のこれからが、明るく実り多いものになることを祈りたい。

 

 お次は「ビッグモーター」という成り上がりのトンデモ中古車販売会社の成金ぶりを、新潮が報じている。

 「東京・目黒区青葉台の高級住宅地の中でもひと際目立つ、敷地面積約500坪の大邸宅。高さ8メートルの外壁の中に立つ地上2階、地下1階の家屋はエントランスに噴水、玄関正面には滝が流れ、庭には茶室が備わっている。

 絵に描いたような大豪邸の主は兼重宏行氏。渦中の『ビッグモーター』の創業者にして前代表取締役だ。自ら代表を務める資産管理会社の名義で2016年に土地を購入し、20年に建物を新築。ちなみにこの地はそれ以前、ソニーを世界的企業に育て上げた盛田昭夫氏と一族が住んでいた」(新潮)

 そのほかにも、山口県岩国市内にも豪邸。軽井沢にも950坪の別荘を持ち、同じ年にさらに1600坪を超える土地を購入したそうだ。熱海には豪華なクルーザーが泊めてあり、月に1度は利用して釣りをしているという。

 一体いくら金を持っているのかと呆れるほどの金満ぶりだが、それを成し遂げたのが兼重宏行(71)という人間で、一代で作り上げたというから驚くほかはない。

 兼重の家は岩国市内にあり、車いじりの好きな少年だったという。それが23歳の時に地元でトタン屋根のバラックのような整備工場を始めた。だが、それから3年後に「兼重オートセンター」として法人化し、1980年には現在の「ビッグモーター」と社名を変更した。

 時まさに、中古車の売買が拡大し、様々な同様の会社が出ては消えたが、大量のCMを打ち、中古車売るならと大宣伝をして業績を伸ばしていったという。岩国の小さな会社が今は、年商5200億円、従業員6000人というガリバー企業に成長していったのである。

 だが、その会社の内情は、修理に来た車をゴルフボールで叩いたり、傷をつけたりして、修理費を水増しするという“詐欺行為”が、社長やそのバカ息子の副社長の命令によって日常的に行われていたというのだ。

 7月25日、兼重は会見で辞任を表明したものの、その際も「車を傷つけた従業員を告訴する」などと述べて世間をあぜんとさせた。しかも100%の社の株は兼重が持っているため、社長の座を辞してもビッグモーターのオーナーであることには変わりはない。当然だが、客は激減し、損保会社は契約を打ちきり、損害賠償を求めるといっている。

 競争の激しい業界だから、「ビッグモーター」に取って代わる会社はすぐに現れるのではないか。成り上がり、世をなめていた親子に世間の風は、夏なのにうそ寒いに違いない。

 

 お次はFLASH。子供の頃に抱いた「初恋」というのは、いくつになっても甘酸っぱい香りを伴って思い出されるものである。私も、中学時代に同学年の女の子を好きになり、その子の写真を友人からもらい受け、毎晩寝る時に、「お休み」と写真に口づけしたものだった。だが、初恋は遠きにありて思うもの、そして悲しく歌うもので、実際に、初恋の人と結婚するというケースはそれほどはないだろう。

 FLASHが報じている、テレ朝の並木万里菜アナの初恋は、独協埼玉中学時代の同級生で、慶応大学ではラクロスで日本代表に選ばれた男性だったという。21年5月に放送された「あいつ今何してる?」に出演した並木が、調査してほしいと頼み、10年ぶりに再会を果たしたそうである。男と女。2人が交際し、一緒に暮らすまでにそう時間はかからなかったのだろう。おめでとう。そういってやりたいな。

 

 ところで、福島第一原発でたまった汚染水を海に流すことを、この夏に実施すると政府は発表しているが、漁業関係者はもちろんのこと、中国や韓国などの周辺諸国も反発を強め、もし実行すれば、大きな反発を呼ぶことは間違いない。 

 週刊プレイボーイは、この問題に鋭く切り込んでいる。中国は「処理水が安全だというのなら、日本人の飲み水やプールに使ったら」といっているが、一理ある。政府や東電は、IAEAからお墨付きをもらったかのように喧伝しているが、実は、この包括報告書というのは、IAEAも「包括的なレビューではない」と断っていっているように、これは日本政府が海洋放出を決定したことを受けて、海洋放出の決定プロセスがIAEAの安全基準に整合しているかどうかを確認したに過ぎない。

 他の処分の仕方や、海の生態系や漁業への長期にわたる影響についてもIAEAは評価していないというのである。単に、お前たちがやると決めたプロセスについては認めるが、それ以外は知らないよという程度の低い信頼性しかないようだ。

 この特集の中で、私が一番納得した意見を紹介しておきたい。福島第一原発4号機の圧力容器の設計者で国会事故調査委員会委員も務めた科学ジャーナリストの田中三彦がこういう。

 「政府・東電は処理水に含まれるトリチウムばかりに世界の注目を集めようとしているように見えます。

 ただ、トリチウムは通常運転時の原発の冷却水等にも含まれており、世界には福島第一原発の排出基準である年間22兆ベクレルをはるかに超えるトリチウムを排出する原発はたくさんある。そこでトリチウムの扱いを強調することで、規制値を超える濃度で処理水に含まれる可能性があるストロンチウム90など、ほかの危険な核種に人々の目が向かないようにし、『日本は他国と同じように原発で発生したトリチウム水を海に流しているだけ』と釈明もできる、と計算してるのではないでしょうか」

 とにかく、原発汚染水を海に流すのはまだ止めるべきだ。それは間違いない。

 

 文春砲がまた歌舞伎界にさく裂した。父は人間国宝の尾上菊五郎(80)、母は女優の富司純子(77)、姉は女優の寺島しのぶという、梨園のサラブレッドと呼ばれている尾上菊之助(45)が、大阪ミナミにある高級ホテルに、黒いワンピースで身を包んだ美女を招き入れたというのだ。

 それを文春は目撃撮。お相手は19歳下の日舞の師範資格を持つ女性だそうだ。彼女が部屋から出てきたのは約6時間半後の午前8時半だったという。菊之助が結婚しているのはやはり人間国宝の二代目中村吉右衛門の四女。不倫をしていたことも問題だが、歌舞伎界が市川猿之助の一家心中未遂事件で大揺れにゆれているこの時期、歌舞伎界を背負っている人間にしては意識がなさすぎるという批判が歌舞伎関係者からも聞こえてくる。

 2人は文春の直撃に、女性のほうは、

――昨年九月頃から親密な仲だと聞きました。

「いや、私じゃないと思います。全く覚えがないので。申し訳ない。別の方だと思うんですけど。私じゃないと思います」

 菊之助のほうは、

――朝八時半まで六時間半、一緒に過ごしていました。

「あぁ、そうですか」

――女性は誰でしょう?

「全然、記憶にないです」

 こりゃ駄目だ。歌舞伎界は崩壊するな。

 

 駄目なのは歌舞伎界だけではない。大阪万博も未だにパビリオンなどの建設が間に合わず、延期やむなしという声まで出ているというのである。新潮の取材に語気を強めるのは、清水建設代表取締役会長・宮本洋一(76)だ。スーパーゼネコンのひとつである清水建設は、つい先日には日本館を請け負うことが発表されるなど、2025年の大阪・関西万博の当事者にあたる人間である。

 「正直に申し上げて、いま図面をもらっても、間に合うかわからないくらいですよ。万博は2025年4月開幕なので、その年の1月か2月には完成させないといけない。あと1年半しかないんです」

 ここへきて運営主体である「2025年日本国際博覧会協会」の様々な準備不足が露呈し、開催すら危ぶまれる事態に陥っていると新潮が報じている。

 「あの小さな夢洲で“年末までに”一斉に工事がスタートしたら、大変なことになります。アクセスは夢舞大橋と夢咲トンネルの2カ所だけ。短期間で一体どうやって多くの人と資材を運ぶのでしょうか。前回のドバイ万博が1年延期した影響で、次の万博に向けて、各国がそこまで真剣になり切れていないという面はあるかもしれません。しかし、協会に対し、“各国にちゃんと説明してください”と申し上げている。その上で図面を出してもらわないと、アバウトな状態で“どうだ?”と言われても困るんです」(宮本会長)

 「あらゆる動きが遅きに失しています」と呆れかえるのは、大阪府政に詳しいジャーナリストの吉富有治。

 「もっと前からわかっていた問題なのに、5月になってようやく、吉村知事が国に泣き付いた格好です。万博の準備が進まない原因は大きく分けて2つあります。1つは建築資材の高騰などの外部の問題。もう一つは内部の問題です。つまり、国と万博協会、大阪府市の連携の遅さや情報収集不足などで、こちらのほうの影響が大きい。

 各機関がバラバラに動いていて、意思統一ができていないのです」

 来年は建設業界も働き方改革の波で深刻な人手不足に陥る「2024年問題」も待ち受ける。多くの日本人が関心を持たない大阪万博は失敗することが確実視されている。無駄な金をどこかほかに使った方がいいのではないか。私はそう思う。

 

 札幌ススキノの奇怪な首持ち去り事件は、犯人は逮捕されたが、それでも真相が解明されるのはもっと先になるのだろう。7月24日、北海道警は、札幌市厚別区に住む、職業不詳の田村瑠奈容疑者(29)と、父親で勤務医の修容疑者(59)を死体損壊や死体領得(他人のモノを自分のモノにする)容疑で逮捕し、翌日には母親の浩子容疑者(60)も逮捕した。

 娘が女装趣味の被害者(享年62)とどこで知り合い、なぜ、首を切り落とすまで憎むようになったのか? 真夏の夜に相応しい猟奇的事件である。娘は閉じこもりで、逮捕された時、「自分の中に別の人格が……」と多重人格をほのめかしているようだから、精神鑑定が必要になるのかもしれない。

 だが、父親の修は、札幌市内にある勤医協中央病院に勤務していて、精神科・リエゾン科科長にまでなっていたという。患者にも優しく、看護婦とも分け隔てなく接する評判の医師だったそうだ。

 一家を知る近隣住民にいわせると

 「逮捕された娘の瑠奈さんは、地元の公立小学校に通っていた頃から不登校で、お母さんと一緒に歩いている姿をたまに見ても、表情は暗く笑っているところを見たことがなかった。いつもメガネ姿で地味な色の服を着て、黒い髪を背中まで伸ばしていたのを憶えています。この10年くらい見かけることはなかった」

 だが新潮の取材によると、事件現場に近いススキノの風俗店従業員は、

 「事件後、刑事さんが“『琴音』っていう源氏名で働いている若い女がいる店を知らないか”って尋ねてきたんです。その時は何のことやらと思っていたのですが、逮捕のニュースが流れた後、瑠奈容疑者がその名前で高級ラウンジで働いていたと界隈で耳にしまして。警察は犯人の素性を探ろうとしていたんだと思います」

 夜のススキノで瑠奈容疑者と被害者は出会っていたのだろうか。被害者は女装が趣味の男性だったが、決して女性が嫌いというわけではなく、むしろ好きだったらしい、精力は強い方だったと、札幌市内に住む53歳の女性が新潮にこう話している。

 初めて出逢ったのはススキノの老舗のディスコだったという。いきなりピチピチパンツの女装姿でキメた彼に声をかけられたが、ラブホが満室でその日は別れ1週間後に再び会ったそうだ。

 「彼はちゃんと化粧をしてスカートをはいた姿で現れ、音楽に合わせて陽気に踊っていたんですけどね。(中略)この日は無事にラブホテルに入れたんですが、部屋に入った途端、いきなり抱かれてガンガン突かれて……。こちらのことは配慮してくれないというか、あまりに一方的だったので、もっと一緒にいようと言われたんですが失礼して、連絡を取らなくなりました」

 使者に鞭打つ気はさらさらないが、何か、この事件に関りがあるかもしれない“証言”ではある。新潮は、瑠奈容疑者は精神鑑定をすれば、無罪の可能性があるというが、まだまだ事件は解明されたわけではない。それほど彼女の闇は深そうである。

 

 さて今週の第1位も、文春の木原誠二官房副長官の妻の連続疑惑追及に捧げる。これはすごいというしかない。次々に木原の妻の疑惑に迫っていく記事作りは、私が知る限り、週刊誌史上初ではないか。中には疑惑と状況証拠ばかりで、木原誠二がこの捜査を潰したという証拠を示せていないではないか。木原の妻についても、12年間も捜査が放っておかれたのは、事件性がないからではないか。などなど、まるで新聞記者のような御託を並べる人間もいるが、週刊誌は警察官でも検察官でもない。

 週刊誌の役割は、疑惑の段階から取材を始め、事実を積み重ねていくことだ。犯人が判明しても、逮捕することなどできはしないし、そこまでやる必要はない。読者の前に木原と妻にはこれこれの「疑惑」がありますよと事実で示せばいい。逮捕するのは警察がやることだ。

 私は1984年に文春が報じた「疑惑の銃弾」を思い出している。保険金欲しさに妻を殺したのではないかという疑惑を連続追及したのである。疑惑の主が特異なキャラクターだったため、テレビが連日その人間の動向を逐一報じ、社会現象にもなった。

 警察は最初は静観していたが、世論に押される形でその人間を逮捕した。妻殺しの裁判で、一審は無期懲役になったが、件の人間は控訴し、高裁で無罪判決が出たのである。

 私が編集長だった週刊現代で、判決前に「無罪判決が出る」と書いた。それは、文春、テレビなどが報じたのは状況証拠ばかりだったからで、その人間が真っ白だとは思わなかった。件の人間は他の殴打事件では有罪になっている。無罪判決は出たが、私は灰色無罪だったと今でも思っている。

 今回の木原誠二と妻の疑惑も状況証拠ばかりではないかという人がいるだろうが、今回のは政治家、それも大きな権力を行使できる官房副長官である。新聞などでは、「影の総理」「将来の総理候補」といわれている。万が一、木原が総理になれば、妻はファーストレディになる女性なのだ。

 文春擁護論を縷々述べたが、私は、これほど重大な疑惑を、テレビなど論外だが、全く報じない新聞に嫌悪感を抱いている。事件化しないから書けないなどと、新聞は古ぼけた記者倫理を振りかざすが、本音のところでは、岸田文雄首相の懐刀である木原の“権力”に脅えているだけだろう。

 ジャニー喜多川の性加害問題も、文春がいくら報じても沈黙したままだったのに、英国の公共放送BBCが報じると、我先にと書き飛ばすのはおかしくないか。今回も、アメリカの大新聞がちょっとでもこのことに触れれば、「アメリカの◯◯紙によれば」と書きたてるに違いない。政治はもちろんアメリカさんの妾(下品な言葉を使ってごめんなさい)だが、新聞も同じように、アメリカの“下請け”のようなものである。

 と、前書きが長くなったが、このところの動きを見ておきたい。7月17日付で、息子・種雄(享年28)を亡くした両親が、警視庁大塚署長に宛てて上申書を提出した。そこには、「私たちは種雄の死の真相を知るため、捜査を続行していただきますよう、心から望んでおります」と書かれていた。

 しかし、警察は動くどころか、「事件性はない」と否定する。そんな動きに両親は、「事件をなかったことにするつもり」だと批判し嘆く。事実無根だ告訴するといっていた木原側だったが、なぜか、7月22日、木原の“妻”が文藝春秋を相手取り、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てたのである。新聞もようやくこのことを小さく取り上げた。

 しかし、

 「警視庁捜査1課幹部は13日、報道各社の取材に『所要の捜査をした結果、事件性は認められなかった。死因は自殺と考えて矛盾はなかった』と説明。警察庁の露木康浩長官は13日の記者会見で報道を問われ、『警視庁において捜査等の結果、証拠上、事件性が認められない旨を明らかにしている』と述べた」(朝日新聞7月25日付)

 と、事件性はないから改めて捜査はやらないという警察トップのいい分を、そのまま載せただけだった。だがこの発言の後、文春は驚くべき「証言」を掲載したのである。

 警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係、通称「サツイチ」といわれる部署に昨年まで在籍し、木原氏の妻X子を取り調べたことがあるサツイチの「エース」佐藤誠元警部補が実名で反論したのである。

 「警察庁長官のコメントは頭にきた。何が『事件性はない』だ。あの発言は真面目に仕事をしてきた俺たちを馬鹿にしてるよな」

 さらにこうも語る。

 「あのとき捜査に関わった三十人以上のメンバーは誰しも、捜査を全うできなかったことで今も悔しい思いをしている」

 「俺は去年退職して、第一線を退いた。失うものなんてない。職務上知り得た秘密を話すことで地方公務員法に引っかかる可能性がある、だ? そんなことは十分承知の上だ。それより通すべき筋がある。現役の奴らの想いもある。もう腹は括った。俺が知っていること、全部話すよ」

 佐藤が文春に答えた時間は延べ18時間にわたった。捜査は、トクイチ十数名、サツイチ十数名、大塚署を含めて30、40人体制だったという。

 「これは特捜(特別捜査本部)並みの人数だよ。サツイチが入り、『やっぱり事件ではありませんでした』なんて話は、俺が捜査一課にいた十八年間で一度もないよな」(佐藤氏)

 佐藤は、X子が電話で呼んだ当時の不倫相手Yについては、「Yが実行犯であれば時間が合わない。だから最初からあいつはホシではないと俺たちは踏んでいた」という。

 だがYの供述を軸に、捜査は進み、2018年10月9日に、木原邸に踏み込む。木原の妻に任意同行を求めるが、木原が立ちはだかり、「今日は勘弁してくれ」「後から連絡する」と任意同行を拒否。送迎車で2人はその場を後にしてしまったという。

 その時、木原は自民党情報調査局長。相手は国会議員、「捜査のハードルが上がるのは当たり前の話だろ」(佐藤)

 だが、翌日からX子の聴取が始まったという。

 「木原との第二子が生まれたばかりで子育て優先。聴取は午後1時頃から夕方までが多かった。でも、最初は無口で全然喋らないさ。それでも連日、自宅近くの病院まで車で迎えに行き、警視庁本部で聴取する日々が続いた」(佐藤)

 世間話には多少の受け答えをするが、事件のことは全くしゃべらなかったという。DNA採取のための採尿や採血、ポリグラフ(嘘発見器)も拒否したそうだ。木原自身も捜査員と複数回面会し、「女房を信じているから」と語ったが、こんなこともいっていたという。

 「〇六年当時に捜査していたら結婚もしなかったし、子供もいませんでしたよ。どうしてそのときにやってくれなかったんですか」

 だが木原は当初から、「国会の召集日までに取調べを終わらせろ」と捜査幹部に迫っていたそうである。X子は取調べが終わるとタクシーに乗り込み帰宅するが、その際、木原と落ち合って共にタクシーで帰ることがあったという。捜査員は常に彼女の行動確認をしていたのだろう。当該のタクシーを見つけ出し、ドライブレコーダーをつぶさに分析して、こういう会話を掴んでいたのである。

 木原は、「大丈夫だよ。俺が何とかするから」

 そしてこうもいったという。

 「俺が手を回しておいたから心配すんな。刑事の話には乗るなよ。これは絶対言っちゃ駄目だぞ。それは罠なんだから」

 佐藤はこの声を聞いて、「もうX子は絶対に喋らないと思ったな」。

 そして10月下旬、国会が始まる直前、突然、「明日で全て終わり」と上司である佐和田立雄管理官(当時)から告げられたというのである。X子の取り調べが佳境を迎えていた。物証は乏しいが、証拠を積み重ね、これから頑張ろうというとき捜査にストップがかかったのだ。

 佐藤は、X子の夫だった種雄を殺したのは、別にいると考えているそうだ。女性一人で、大柄な被害者を頭の上から刺すことはできない。血の付いたナイフに両面テープを巻き、後から来たYの指紋をつけるよう工作してあった。彼女と親しい別の男、Zがいたとみているというのである。

 文春は、そのZと思しき男を直撃している。Zは文春の取材に激昂した。だが、その中でこういい放っているのだ。

 「もう覚えていないっちゅうの。現場には行ったよ」

 現役時代にX子を取り調べたベテラン刑事が、地方公務員法に引っかかるかもしれない事件の取り調べの内容を文春に話したのは、捜査が佳境に入り、捜査員たちが懸命に「犯人」を追い詰めようとしている時、突然、“上から”潰されてしまった理不尽と無念。政治権力が動いたのではないかという疑念が彼を突き動かしたのであろう。

 7月28日、佐藤は会見を行った。170人近くの記者たちが詰めかけたが、ほとんどの新聞もテレビも報じることはなかった。だが、この事件は次なるフェイズに入ったはずである。警察のトップが何らかの“政治的配慮”をして、有力政治家の妻の殺人疑惑の捜査を恣意的に止めたのではないか。国会で追及されるべき「重大案件」になったのは間違いない。

 岸田首相は次の内閣改造で木原を切り捨てるという観測が流れているが、それで終わりにしていいはずはない。殺人事件に時効はない。警視庁は自殺だと判断し、捜査の終了を命じた根拠を両親に示すべきだ。それができなければ直ちにこの事件の再々捜査を命じるべきだ。そうでなければ、警察全体が国民の信頼をますます失うことになる。(文中敬称略)

 

【巻末付録】

 今週はポストだけ。

 「Special女優撮 小芝風花 進化しつづけるヒロイン」
 「ロコ・ソラーレ藤澤五月の筋肉美 後ろから前から大解剖!!」
 袋とじ「完全新録 令和のエロカセットテープ 涼森れむ」
 やはり袋とじ「十束るう エクスタシーが目覚める」
 「昭和アイドル夏祭りスペシャル 裸足で駆けた真夏の恋人たち」

 フ~ッ。盛りだくさんで迫力のあるシーン満載。このグラビアだけ見るためにポストを買いたくなるはずだ。

元木昌彦(編集者)

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"。

サイト:記事一覧

もときまさひこ

最終更新:2023/08/01 12:00
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『光る君へ』疫病の流行と宮中での火事

──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NH...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真