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ジャニーズ性加害問題、補償額「1人最高500万円」報道で物議…当事者の会は「海外レベル」要求で大きな乖離

ジャニーズ事務所 記者会見/2023年10月2日

 ジャニーズ性加害問題の最大の焦点ともいえる「補償額」について、一部メディアで「一人最高500万円」「総額10億円以内」の予算でSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)が補償を進めていく方針だと報じられた。被害者側の「ジャニーズ性加害問題当事者の会」は海外レベルの高額補償を求めており、あまりに金額が乖離していることから、問題が長期化しそうな気配となっている。

 発売中の「FRIDAY」(講談社)によると、SMILE-UP.側は被害者へ支払う補償金の予算として5億~10億円の拠出を想定。被害状況によって支払額を分け、性行為なしの場合は成人・未成年(当時/以下同)共に50万円、性的な接触やわいせつ行為などがあった場合は成人が150万円、未成年は200万円、性行為があった場合は成人が300万円、未成年が500万円の補償額になるという。あくまで10月中旬時点で判明した金額ということで確定ではないが、日本における強制わいせつ事件の示談金の相場は50万~100万円、強制性交事件は200万~600万円ほどで、おおむねそれに沿った額だとみられる。

 SMILE-UP.の東山紀之社長は「法を超えた救済や補償が必要」としていたが、補償額については判例などを意識した額になるのだろうか。相場通りといえばそうだが、一部では「性行為なしの場合の設定額が安すぎる」「悪質な性犯罪は補償額が1000万円を超えることもあるのに、未成年で最高額500万円はおかしい」といった指摘もある。

 これに対して、被害者側であるジャニーズ性加害問題当事者の会は、副代表の石丸志門氏が今月初めに出演したライブ配信で「これまでの日本の判例に従ったような金額では納得しません、やはりグローバルスタンダード、海外で起こった場合と同じレベルの金額を要求します」と断言。「私たちがお金を得ないと、あとの人たちが(補償の)値段を下げられてしまう。(抑止力として)性犯罪を起こしたらこれだけ痛い目を見るんだ、会社が廃業になるくらいなんだという前例をつくらないと。ここで私たちが手を緩めるわけにはいかない」とし、高額補償を求める方針であると強調した。

 アメリカでは、2018年にミシガン州立大学のスポーツ医だった男が女子体操選手ら300人以上に性的暴行などをしていたとして、大学側が総額5億ドル(約750億円)の損害賠償金を被害者たちに支払うことで合意。一人当たり2億2000万円以上という巨額の賠償金で大きな注目を集めた。

 2020年にはアメリカ最大のボーイスカウト団体が破産申請したが、これは設立以来100年以上にわたって少年らへの性的虐待が繰り返されていたことが明るみになり、訴訟が相次いだことで賠償金を保護するための破産申請だった。資産の売却などによって10億ドル(約1500億円)以上の補償費用を捻出するとしたが、ニューヨーク・タイムズは被害の訴えが計8万件以上、賠償総額は少なくとも24億5000万ドル(約3670億円)にのぼると算出している。

 日本の相場を考えると、アメリカなどのように一人当たりで億単位の補償額というのは現実的でないかもしれないが、当事者の会としては「数百万円レベル」で済ませる気はないだろう。少なくとも1000万円以上、おそらく数千万円クラスの補償額を求める方針とみられる。当事者の会の平本淳也代表は、先日出演したYouTube動画でSMILE-UP.について「総資産3000億円は下らない」と指摘。年間400億~500億円といわれるファンクラブ会費などの莫大な定期収入があり、赤字や借金もないとして、高額補償が可能であると暗に示唆した。当事者の会はSMILE-UP.に対して補償総額の予算を公表するよう求めており、ある意味で両者の間で駆け引きが展開されているともいえそうだ。

 もし被害者の会が求める「海外レベル」の補償額となれば、当然ながら総額10億円どころでは収まらなくなり、最低でもケタがひとつ増えることになるだろう。また、故ジャニー喜多川氏はハワイでも性加害行為をしていたとして、アメリカでの訴訟を検討している被害者もいると伝えられ、そうなれば日本の相場よりはるかに高額の支払い命令が下される可能性がある。

 今回の騒動によって、日本の性加害事件における補償額の相場は適正なのかどうかをめぐって議論が起きるという余波も生まれている。SMILE-UP.側は11月から補償作業をスタートさせるというが、補償額をめぐってまだまだ紛糾しそうだ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/10/25 15:00
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