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ダウンタウン・松本人志の「絶大な信頼」──バイきんぐ・小峠英二の現在地

「ホームまで行け!」と腕をぐるぐる回したその流れでのサードコーチャーからのラリアット、不可避説ほか…みんなの説SP | TVer

 1日に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、印象的な場面があった。

 この日の企画は、視聴者から寄せられたさまざまな「説」を検証する「みんなの説スペシャル」。プレゼンターにバイきんぐ・小峠英二、サバンナ・高橋茂雄、鬼越トマホークが登場し、スタジオゲストにはメイプル超合金・カズレーザー、麒麟・川島明、みちょぱ(池田美優)と、いつになく豪華なメンバーが揃った。

 その「説」のひとつとして取り上げられたのが、「スピードワゴン井戸田 ヴィブラスラップの音に敏感説」というもの。ヴィブラスラップとは、井戸田潤が演じるキャラクター「ハンバーグ師匠」が、「ハンバーグ!」と叫ぶ前に鳴らすあのビヨ~ンという音の出る楽器だ。井戸田はハンバーグ師匠に扮していないときでも、この音に反応してしまうのかが検証された。

 検証方法は、局の廊下を歩いている井戸田の背後でヴィブラスラップを鳴らすというシンプルなドッキリ。ナレーションは「井戸田はその音に、つい振り返ってしまうのか!?」と煽るが、実際にはただ振り返るどころか、音が聞こえた瞬間に振り返って「ハンバーグ!」と叫び声を上げるという、番組の想定以上の反応だった。

 これには、スタジオも騒然。井戸田自身は、スタッフの直撃に対し「あれ鳴ると(ハンバーグ! と)言うようになっちゃってますよね」と告白。直前にハンバーグ師匠のYouTube収録をしていたといい、「ハンバーグが焼き上がってたんですよ」と師匠独特の表現で釈明している。

 だが、番組はこの井戸田の反応に対し「ドッキリ(の情報)が入っていた」との疑惑を抱き、後日、井戸田を呼び出して取り調べにも似たインタビューを実施。単刀直入に「ドッキリって入ってました?」と問いただすも、井戸田は頑なに否定。結局、疑惑は闇に葬られることになった。

 印象的だったのは、この後のスタジオでの場面だ。VTRの感想を問われた松本人志が、おもむろにしゃべり出した。

「正直、あれ見たときに、小峠と目ぇ合ったよな」(松本)

「ああ、そうですね」(小峠)

「これ、やってるか、って、完全に小峠と目ぇ合ったのよ」(松本)

 一見、なんでもないシーンだが、このやり取りに「ああ、小峠ってここまで来てるのか」と感激してしまった。

 松本はこのVTRを見た瞬間「井戸田の反応が早い、しかも声もでかい」「これ、やってるんじゃないか」「どうなんだこのVTRは」と感じたはずだ。そして、「自分以外はどう思ってるんだ?」と確認したくなったのだろう。

 瞬時のことだ。そのVTRを見ての感触を松本が確認したくなった相手が、小峠だったということだ。

 この説のプレゼンターはサバンナ・高橋であり、小峠のパートはすでに終了している。スタジオには麒麟・川島、カズレーザーというゴールデンMCクラスの芸人が2人もいる。もちろん、相方の浜田雅功もいる。その中で、松本が選んだのが小峠だった。もう一度書くが、瞬時のことだ。瞬時、松本は「俺はおかしいと思うが、小峠、お前はどうだ?」と、その反応を窺ったのだ。この錚々たる顔ぶれの中で、松本がもっともその価値観や評価軸を信頼している芸人が、小峠だったのだ。

『キングオブコント2012』(TBS系)で悲願の優勝を果たしてから10年。小峠はブレークタレントとして多忙な日々を過ごしてきた。その間、松本との共演も数知れない。2人はプライベートでも飲みに行く仲だと聞く。19年の年末には、小峠が所属するSMAの事務所ライブに、松本が審査員としてサプライズ登場したこともあった。小峠の酒席での依頼を松本が快諾し、キャパわずか178の小さなライブハウスをノーギャラで訪れたのだという。

 気に入っている後輩だとか、能力を評価しているだとか、言葉にすればその関係性は、ありふれたものかもしれない。だが、あの瞬間、松本が小峠に送った視線の意味は確かに、小峠英二という芸人のキャリアを証明していた。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2023/11/16 15:13
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