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RIZIN新王者・鈴木千裕「ヤンキーが格闘技の質を下げてる」発言に反響…「朝倉未来に圧勝のケラモフに勝利」で大きな説得力

鈴木千裕Instagram(@suzuki.chihiro0514)

 RIZIN初の海外大会がアゼルバイジャンで現地時間4日に開催され、メインイベントのフェザー級タイトルマッチで鈴木千裕が同国出身の王者ヴガール・ケラモフを破り、新チャンピオンとなった。試合後に「ヤンキーが格闘技の質を下げている」と発言し、今後の格闘技界について「真面目にやっている人が報われる業界にしたい」などと抱負を語ったことで反響を呼んでいる。

 ケラモフは7月にRIZINフェザー級王座決定戦で朝倉未来と対戦し、朝倉にほぼ何もさせないまま1ラウンド2分41秒で文句なしの一本勝ち。対する鈴木は破竹の勢いで連勝中だったが、ケラモフが朝倉戦で圧倒的なフィジカルの強さを見せた上に「祖国での防衛戦」となったため、戦前はケラモフ優勢の声が大きかった。

 実際、試合ではスタンディングでケラモフが優勢に進め、パンチがヒットして鈴木がダウン。グラウンドでケラモフが上になったが、鈴木が下から一瞬のスキを突いて踵でケラモフの顎を打ち抜くという衝撃展開に。ケラモフは失神状態で崩れ落ち、鈴木がそのまま常識破りの「下からのパウンド連打」で1ラウンドKO勝利を果たした。

 新王者となった鈴木は、キックボクシングイベント「KNOCK OUT」の現役王者でもあり、異例となる立ち技と総合格闘技の「二冠」を達成。試合後、鈴木は夢だったという格闘技界の「二刀流」を実現できたことへの喜びを爆発させた。

 さらに、鈴木は今後の目標として、「子どもたちに未来を見せたい。今の日本の格闘技は不良が輝く時代になっちゃっていて、ヤンキーとかそういう人たちが表舞台に出て、格闘技の質を下げてしまっている。そうじゃなくて、本物が本当に格闘技をやって、遊びも全部断ち切って真面目にやっている人が報われる格闘技業界をつくりたい。真剣に格闘技をやっていけば夢をかなえられるという、そういうものを子どもたちに見せていきたい」と語った。
 
 「不良が輝く時代」「ヤンキーが格闘技の質を下げている」という言葉の対象は具体的に明かされてはいないが、誰もが朝倉が社長を務める格闘技イベント「BreakingDown(ブレイキングダウン)」を思い浮かべたことだろう。全国の不良や元アウトロー、喧嘩自慢などが集まり、1分1ラウンドの超短期決戦で闘う人気イベントだ。YouTubeで公開されるオーディション動画などでコワモテの個性的な人物たちの間に因縁が生まれるというドラマ性が人気の秘密で、500万回再生以上もザラというほど試合以上にそちらのほうが注目される。

 実際の試合は1分しか闘わないので技術や駆け引きが入り込む余地があまりなく、実力よりも個性や人気重視でほぼ素人の参加者も少なくないため、以前から格闘技関係者や格闘技ファンからは「あれを格闘技だと思われると困る」「エンタメショーであってプロ格闘技とは別物」といった苦言が相次いでいた。
 
 しかし、そうした批判を跳ね返すほど「BreakingDown」は若年層を中心に絶大な人気があり、ヤンチャな中高生の間ではプロレスごっこならぬ「ブレイキングダウンごっこ」が流行しているともいわれる。最近は豊富な資金力の恩恵か、ボブ・サップ、ジェロム・レ・バンナ、アルバート・クラウスら著名格闘家を招聘したことも話題になった。

 そうした風潮に対して、鈴木が「朝倉に圧勝したケラモフ」を破った上で、「真面目にやっている人が報われる格闘技業界にしたい」と宣言したことは大きな意味を持つ。朝倉についてはYouTuberとしても活動し、企業運営なども手がけていることから「いろんなことやってたら勝てない」「ひとつに専念しないとダメなんて古い考え方」などと賛否を呼んでいたが、ストイックに格闘技に打ち込んでいる鈴木が王者となったのは象徴的ともいえそうだ。

 今回の王座獲得によって、鈴木は試合データなどを基にAIが選手を順位付けする格闘技サイト「FIGHT MATRIX」でフェザー級の世界6位(6日時点)にランクイン。他に日本でおなじみの選手としては金原正徳が48位、ケラモフが53位、クレベル・コイケが57位、朝倉は105位となっており、鈴木の評価はダントツだ。

 単に「BreakingDown」を否定するようなことを言えば「人気に嫉妬してるだけ」「時代遅れ」などと揶揄されかねないが、鈴木の場合は高い実力と評価があった上での「ヤンキーが格闘技の質を下げている」発言だったので説得力があり、ネット上でも共感の声が集まっている。

 これから格闘技界で不良がもてはやされる状況は変わるのか。鈴木はまだ24歳と若く、これからさらに上り調子になっていくとみられ、今後の格闘技界を背負う存在となった彼が業界にどのような革命を起こしていくのかに注目だ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/11/06 18:00
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