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朝倉未来・海とは「次元が違う」──格闘家・渋谷莉孔の“死に場所”を探す旅

見据える先にあるものは――

  2017年に試合をして以来、鳴りを潜めていた格闘家の渋谷莉孔(38)が先頃、アメリカから一時帰国している間に日刊サイゾーのインタビューに応じた。この6年間、一体どこで何をしていたのか? 次の試合を行う予定はあるのか? RIZINやBreaking Downに興味はないのか?

――それらこれらの問いかけに、ポーカーフェイスで答える渋谷。静かな口調で衝撃発言を連発だ。

 インタビューを掲載する前に、渋谷の略歴を紹介しておこう。2008年に前田日明が主催する不良のアマチュア格闘技大会・THE OUTSIDERで格闘家デビュー。2013年には同大会で、現在はRIZINのトップファイターとして活躍する朝倉海を下したことも。その後プロに転向し、ハワイに移住。2015年にはアジア最大級の格闘技大会・ONE Championship(以下、ONE)でフライ級王者(当時)のアドリアーノ・モラエスとタイトルマッチを行い、判定負けながらフルラウンドの死闘を展開し鮮烈なインパクトを残した。

 だが、2017年12月開催のONEで、元ルンピニー王者のデェダムロン・ソー・アミュアイシルチョークをギロチンチョークで下して以来、誰とも試合を行なっておらず、近年はその存在感がすっかり薄れてしまった印象だ。

 負けて消えるならまだしも、勝って消えるとは何事か? 「空白の6年間」の謎に迫ると同時に、今後の展望も聞いてみた。

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――どうしてONEに出なくなってしまったのでしょう?

渋谷莉孔(以下、渋谷) 5年前にフィリピンで行われたONEの決起集会に参加したときに、嫌気が差しちゃって。普通に仲良しこよしの大会だとわかったし、会長のチャトリも鼻につくから嫌いになった。あとアドリアーノ(・モラエス)と喋ったときに、「あ、こいつ、俺と再戦する気はないんだな」というのもわかったので、ここにいても意味がないな、と。

――アドリアーノ選手とは、どんな会話を?

渋谷 「ハワイから絶対出ないでくれ」「リラックスしててくれ」「ずっとサーフィンだけしててくれ」と言われました。さらには、「リクとは再戦したくないよ。俺はリクがとても怖い。なぜならリクはとても強いから」と猫撫で声で何度も言ってきたから、ウンザリしました。おまえ、お笑い芸人かよ、と。

――冗談半分の社交辞令なのでは?

渋谷 それもあるとは思うけど、アドリアーノはチャトリと仲良しこよしなんで、「これは何年待っても(再戦は)組まれないな」と。

――チャトリ会長とは、ソリが合わなかったですか?

渋谷 まあ、鼻につく奴ですよ。なのに他の選手たちは「チャトリさん、チャトリさん、試合お願いします!」と媚びへつらってる。そんな空間に身を置くのが嫌になったので、これはアメリカでやるしかねえな、と思いました。

――そこから現在に至るまで、どこで何をしていたのでしょう?

渋谷 ハワイやアリゾナのジムで、普通にめちゃくちゃ追い込んでました。

――マックス・ホロウェイ(元UFC世界フェザー級王者)らが所属するハワイのグレイシー・テクニクス・ホノルルで練習しているという話は聞いていましたが、アリゾナというのは初耳です。なぜアリゾナへ?

渋谷 アルジャメイン・スターリング(元UFC世界バンタム級王者) やヘンリー・セフード(元UFC世界バンタム級&フライ級王者) 、今だったらショーン・オマリー(現UFC世界バンタム級王者) らがいる、格闘技の盛んな土地なんで。オマリーとは仲がいいっす。 (編注:事実誤認があり修正しました)

――選手との会話は英語ですよね。言葉の壁は感じませんか?

渋谷 ビジネス英語は難しいし、ニューヨーカーの英語は早口すぎて聞き取りづらいけど、格闘技をやる上では何も問題ないですね。ただ、アリゾナはメキシコが近くて、スパニッシュで話しかけてくる選手も多いんで、ゆくゆくはスパニッシュも覚えたいと思ってます。

――今はなぜ日本にいるのでしょう?

渋谷 まず、法事ですね。祖母が亡くなったんで、その関係でやらなきゃいけないことがあったのが一つ。あとは、日本で裁判もあったので。

――裁判の詳細を聞いていいですか?

渋谷 細かくは言いたくないけど、ストーカー被害ですね。でもそれも先日カタがついたので、これからは格闘技だけに集中できそうです。

――では格闘技の話に戻りますが、「6年間、試合をしていない」のはなぜでしょう?

渋谷 普通に試合が決まらなかった、ってだけです。試合を決めるのは本当に難しい。ビザがないし。でも来月、久しぶりに試合することが決まりました。

――それは吉報です! 詳細を教えてください。

渋谷 11月12日にテキサス州のヒューストンで行われるFury FCに出場します。対戦相手はルイス・グルーレというアメリカ人で、これまでの戦績は6勝0敗。年齢は29歳らしいです。

――Fury FCは、どのような大会なのでしょう?

渋谷 そこで勝ちを重ねていけば、UFCにつながっていくような大会です。

――やはり目指すはUFC?

渋谷 はい。最年長で契約してやろうと思ってます。

――年齢は今、おいくつでしたっけ?

渋谷 この6年間は生きてないのと同じなんで、実質32歳ですね。

――体力や試合勘に対する不安は?

渋谷 ないっす。前と何も変わんないっすよ。6年も経ってる気がしない。2、3ヶ月しか経ってないイメージですね。技術に関してはアメリカで腐るほど学んだので、日本にいる今は週7でジムに通って、主に体力系のトレーニングで追い込んでます。

――気力の衰えは?

渋谷 まったく。俺は格闘技というより、戦場で生きるか死ぬかの勝負をしてる感覚なんですよ。これまで俺、KO負けも一本負けも一度もしてないじゃないですか。KO負けはまだしも、タップして一本負けしてる他の選手たちって、一体なんなのかな? って思うんですよね。まあ競技してるならそれもありかもしれないけど、俺は競技してるわけじゃないから。一本負けするぐらいなら死ねばいい。そういう考えなんです。だからちょっと、日本のバッタモンたちのやってることはよくわからない。

――ゆくゆくは主戦場を日本のRIZINに移して、ホンモノの凄みを見せてやろうという気は?

渋谷 興味ないっすね。日本人にあまり知られなくないっす。

――それはなぜでしょう?

渋谷 日本が嫌いだからです。具体的に言うと、ストーカーがまかり通る日本の法律が嫌いです。

 

――ところで、昨年11月に開催されたBreaking Down6で、同じThe Outsider出身である黒石高大選手のセコンドについたのはなぜでしょう?

渋谷 黒石くんから連絡が来て、「どうしても来て」と頼まれたから。でも、もう行かねえかな。

――Breaking Downをどう見ていますか?

渋谷 “お笑い大会”でいいんじゃないですか。でも一人、プロがいるなと思って。×××って奴。聞いた話だけど、ファンの子が「本当はいい人なんですね」と言ったら、その子のことを×××がブン殴ったらしいです。だからあいつはプロですね。

 あとは、シモミシュランとは仲がいいっす。ハワイで一時期、同じ寮に住んでたんですよ。 俺が日本にいるとわかって、ストーカー女が関西まで訪ねて来たときも、ホテルで守ってくれました。いい奴です。

――Breaking Downの会場で朝倉兄弟と会ったのでは?

渋谷 見かけたけど、喋ってないです。弟が喋りたそうに近づいて来たけど、俺は触れたくもないんで、背中を向けてシカトしました。

――それはなぜ?

渋谷 階級の近い格闘家同士で馴れ合いたくないし、次元が違いすぎて、話も合わないと思うんです。アメリカじゃ、「朝倉兄弟? 誰?」ですから。

――日本にはいつまでいる予定ですか?

渋谷 試合が近いので、そろそろアメリカに帰ります。

――11月の試合に勝つことは当然の願いでしょうが、そのほか、今後の抱負がもしあれば聞かせてください。

渋谷 戦場で死にたいですね。

――嚙み砕いて言うと?

渋谷 武士道という名の戦場で、自分の死に場所を見つけたい。それがUFCだったり、今回の強豪との試合だったりするのかもしれません。

――根っからの戦士なんですね。

渋谷 はい。自殺したとき、“向こう”でも戦ってたんで。

――自殺っ!? それはいつの話ですか?

渋谷 覚えてないけど、本当に死んだと思ってるんで。死んでまた帰って来たイメージ。俺、ネクタイで首を吊って死んで、マノア公園の土に埋めてもらったんですけど、ストーカーが身内のふりして死体を引き取りに来る未来が見えたので、3日後に焦って出てきました。

――ということは、今こうして話している渋谷さんは、亡霊の可能性もあると……?

渋谷 そうですね(真顔で)。

――今後、戦いたい選手の名前を挙げてください。

渋谷 アドリアーノ以外だと、デメトリアス・ジョンソン(現ONE世界フライ級王者)、アレッシャンドリ・パントージャ(現UFC世界フライ級王者)、デイブソン・フィゲイレード(元UFC世界フライ級王者)あたりでしょうか。

――朝倉海選手との再戦を望む声もありますが。

渋谷 勝ち逃げしたと思われるのもシャクなので、機会があればもう一度戦って、力の差をわからせてやりたいですね。

――では最後に伺います。渋谷さんは何のために格闘技をやっているでしょう?

渋谷 いや、だって、“向こう”でもやってるし。死んでもやってるし。やるしかない、ってだけですよ。アドリアーノもそう。生まれて1週間でサンパウロの街中に捨てられて、拾われて、戦うしかなかった。自分にもそういうところがあるんですよ。

11月12日開催のFury FCにフライ級(56.7kg)で参戦。体はすでにバキバキに仕上がっていた

 相変わらずミステリアスな発言が多く、儚さも漂う渋谷だが、その闘志が健在であることは確かなようだ。「亡霊ではない、実在する戦士」が、6年ぶりの復帰戦で暴れてくれることに期待しよう。

(取材・文=岡林敬太)

※YouTube「前田日明チャンネル」にて、渋谷莉孔と前田日明が10年ぶりの再会! そちらにも注目だ!

岡林敬太(ライター)

風俗情報誌の編集、実話誌の暴力団担当記者などを経て、ライターに。瓜田純士のYouTubeチャンネルのカメラマンも務める。

最終更新:2023/10/10 10:20
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