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令和ロマン・高比良くるま『M-1』を「見た目だけ」で語る……その実行力の片鱗とは

【令和ロマン】M-1優勝4日後!振り返りトーク【顔色】 – YouTube

 新世代の『M-1』王者は、こんな細部までこだわっているのか。そう感じさせる動画だった。

 18日に公開されたYouTubeチャンネル「売れたら垢抜けるってホント?(以下、ウレアカ)」に、昨年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で優勝を果たした令和ロマンが登場。「見た目」という切り口から『M-1』を振り返った。

「ウレアカ」は吉本興業FANYとファッション誌「VOCE」(講談社)の共同企画。令和ロマン、素敵じゃないか、オフローズという3組の若手が「売れたら、本当に垢抜けるのか」を検証するチャンネルだ。これまで令和ロマンは『M-1』に向けて、さまざまな美容法を学んできている。

 この日公開されたのは、「【令和ロマン】M-1優勝4日後!振り返りトーク【顔色】」というもの。『M-1』からわずか4日後の昨年12月28日の収録だという。

 これまでもさまざまな媒体で『M-1』に向けた戦略について明かしてきた令和ロマン。ネタを4本用意して出順によって変えるつもりだった、ツーマンライブ「ヤレロマ」を通年で行ってきたヤーレンズと「M-1をヤレロマにする」と約束し、実際に最終決戦まで2組で進んだなど、お笑いファン的に痺れるエピソードを披露してきたが、この動画の「見た目だけで『M-1』を振り返る」というテーマでも、そのこだわりを知ることができた。

「コントロールむずかったです。どれくらいメイク濃くするか、けっこう悩んでて」

 そう語り出したのは、高比良くるま。『M-1』では局メイクが入っており、希望者はメイクをしてもらえる段取りだが、くるまは『M-1』のスタジオ照明の強さを目の当たりにして、濃い目に塗り直してもらったのだという。

「出井さんがご自身でメイクされるんですけど、リハのときに『ちょっと白いな』と思って」

 ほかの芸人が局メイクに頼る中、ヤーレンズの出井隼之介だけは自前でメイクしている。出井自身はその理由について自身のYouTubeで「いつも通りを意識したかった」と明かしていたが、同時に「(局メイクは)めちゃくちゃ濃くて、みんなが、きな粉餅みたいになって帰ってきた」と驚いていた。

 その裏でくるまは自前メイクの出井を定点として観測し、普段のステージの見え方と比較。「まだ薄い」と判断して塗りを強めたのだという。

「俺のほうが顔が白いから、あなた(松井ケムリ)と同じくらいに見えたほうがいい」

 画面からは伝わらなかったが、くるまによれば実際には「真っ黒」というくらい塗ったのだそうだ。

 また、くるまはステージでの立ち位置による光量の違いにも気を配っていた。

「マイクスタンドの前は(光量が)低いんですよ。だからさや香の新山さんが『見せ算』で前に出たときはけっこう暗かったんです」

 確かに、さや香の2本目のネタでは新山がマイクの前に出て客席に訴えかける場面があった。これも画面上で違和感を覚えるほどではなかったが、くるまはその違いも気になったということだ。

 令和ロマンの1本目でも、くるまがマイクを離れ、しゃがみこんで客席に語りかける場面があった。マイクより前に出たように見えたが、その所作もコントロールされたものだった。

「あれは前に行ってないんで、僕は。横に出ただけなんです。前に出れないから、上下(の動きで)出すしかなかったんです」

 ほかにも、テレビスタジオと舞台との照明の違いや、顔のテカらせ具合による面白さの変化など、くるまは「見た目」というテーマに対しても明快に言語化していく。その姿は風格さえ漂っていた。

 すべての漫才師がここまでこだわる必要はないだろうし、令和ロマンがここまでこだわったから勝ったというわけでもないだろう。くるまが局メイクのまま登場しても、おそらく結果は変わらない。

 高比良くるまという漫才師の実行力の片鱗を見せられ、ただただ畏怖の念を深めるだけの動画だった。

(文=新越谷ノリヲ)

新越谷ノリヲ(ライター)

東武伊勢崎線新越谷駅周辺をこよなく愛する中年ライター。お笑い、ドラマ、ボクシングなど。現在は23区内在住。

n.shinkoshigaya@gmail.com

最終更新:2024/01/19 19:00
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