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松本人志の復活は遠くない! 判決を前にすでに出ている「ある結論」

ダウンタウン・松本人志と同じ出身地の尼崎から作家になった沖田臥竜氏は、SNS等で積極的に松本にエールを送り続けてきた。と同時に、週刊誌の報道姿勢を厳しく批判して、賛否を巻き起こしてきた“渦中の人物”だ。そんな沖田氏が、松本裁判がスタートした今、あらためて今回の問題を考察する――。

松本人志は本当にテレビから消えなくてはいけなかったのか

 敬称は省略させていただく。私は、真実か真実でないか明確ではない事案を、十分な裏取りもせずに記事化することに否定的な人間だ。なぜならば、仮に真実でなかった場合でもネット民はそれを騒ぎ立て、ときに暴走し、記事の対象になった人物を社会的に抹殺してしまうような構図が構築されてしまっているからだ。ひいては、それが週刊誌というメディアの信用問題に発展するという危機感を常々抱いている。

 媒体名は伏せるが、私も週刊誌2誌で仕事をさせてもらっている身だ。だからこそ、週刊誌が事実誤認の報道をして、のちに訂正記事を出すことが業界的にどれだけ不名誉なのかも知っている。

 去年末から始まったダウンタウンの松本人志問題について、彼は本当にテレビから消えなければならなかったのだろうか。自身が選んだ道とはいえ、そのように追い込んだのは週刊誌の記事だ。しかも、そこで摘示した記述には「客観的証拠がない」と当事者が認めたのだ。犯罪性を指摘するような記事を作るならば、最低限、動かしがたい確証というものがなければならないのではないか。

 例えば、「女性セブン」が報じた歌舞伎俳優の市川猿之助問題。あれには、猿之助本人の認識も含めて確証があったからこそ、記事化され、その後、思いがけない不幸な事態が起きることになった。それでも、すべてが公にされた訳ではない。なぜだかわかるだろうか。人の弱点を追及し、その人を奈落の底に突き落とすことが、週刊誌ジャーナリズムの使命ではないからだ。

 その観点から考えた場合、媒体側が矛先を向けた記事の対象者が刃向かってくれば、媒体がムキになり、情報提供の窓口を設けて、その人物の弱点を募り、それらを材料に毎週、相手が白旗を上げるまで攻め続けることに公益性などあるのだろうか。

 問題なのは世論、特にネット民の支持(アクセス数もそのひとつだ)さえ得られればよしという思想のもと、丁寧に取材を重ねてから、それが事実か否か、報道するに値するか否かなどを慎重に判断するという当たり前の姿勢が欠落してしまっているところではないか。週刊誌側が設定した枠組にはめられれば、どんな善人とて一瞬で汚名を着せられ、人生を狂わされることもあるだろう。

 言うまでもなく、犯罪性について、本来白黒をつけるべき機関は司法当局である。松本人志のケースは密室での行為だったので、そこで何が行われたかは本人たちしかわからないことだ。ましてや、「実は嫌でした」という告発者側の心の声を数年の時を経て、客観的に立証するなどできるだろうか。できないからこそ、今回の件で当局は動けなかった。そして、それに代わって、週刊誌が正義をかざして動いたわけだが、そんな絶大な権力を週刊誌が持っていいのだろうか。

 私は、この件に関して善悪を決められない。その場にいたわけでもないし、善とも悪とも決めつける材料もないからだ。

 そうした状況で考えたいのは、今回の松本人志問題を報じる際、週刊誌編集部という組織ではなく、フリーランスの書き手が署名で記事化することはできただろうかという点だ。訴えられるリスクが非常に高く、かつ一定層からは強い批判に晒されるであろう案件をフリーランスの記者が一方的な証言だけで記事化できたかというと、無理だったであろうと私は思うのだ。

 逆説的にいえば、本当にジャーナリストとしての気概と良識をもったフリーランスの記者だったら、この問題をあのような一方的な形で報じていただろうか。あくまで、個人が表に出ることなく、組織に守られているから商業媒体だからこそできたのではないか。

 すまないが、私にはそれが卑怯だと感じてしまうのだ。そもそも、松本人志だけでなく、著名人に対する記者たちの直撃取材は、なぜあんなにも高圧的なのだ。あのような傲慢な態度が「たかだか週刊誌風情が」と蔑まれる一因を作っているのではないか。

 私は、小説家である。文芸は、週刊誌よりもさらに売れないので、小説以外の物書きの仕事もしているのだが、原稿を書けば、どれだけ優れた記者にも負けないという自信がある。書き手の最高峰は小説家というプライドもある。そして一方では、表に出ないような情報も扱う、危機管理やコンサルティング、メディアコントロールを行う会社を経営していて、情報収集と分析力は、どれだけ謙遜しても私の会社がトップクラスだと思っている。

 そんな私の今後の見通しだが、松本人志は近く、テレビへと復帰することになるだろう。それは、裁判の勝ち負けを待つ問題ではない。松本人志を悪人として、本当に芸能界から追放しようと思うにも、そう判断しうる材料が足りないのだ。今は自らの意思でテレビから離れている松本人志が現場に戻ろうと思ったとき、その話題性も踏まえて、彼を受け入れるところは出てくるはずだ。

 その時、今回の報道の意義があらためて問われるはずだ。一方の証言のみで形作られた疑惑をめぐり、松本人志側を応援する側と断固糾弾したい側が論争し、分断が生じた。被害を告白した人たちにも誹謗中傷が寄せられた。松本人志という国民的タレントやその周辺にいたタレントたちを社会的に抹殺ようしとした……そんな状況が生まれるのも、報道機関としての使命を果たすためには仕方がないことだと、週刊誌側は胸をはっていえるだろうか。

 私はジャニーズ問題しかり、松本人志問題しかり、マスメディアの報道が社会をより良くしようという姿勢から生まれたものだとは思えない。これ以上、暴露や密告を是認するような空気を醸成して、人々を疑心暗鬼にさせてどうするのだ。堅苦しくして、息苦しくして、その先に社会の繁栄などはないのだぞ。

 松本人志は復活するだろう。世の中が求めた結果であれば、そうなるのは必然である。その上で、芸能人も自分たちは特別であるという認識を捨てて、襟元を糺すべきではないだろうか。

(文=沖田臥竜/作家)

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2024/03/28 17:38
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