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話題沸騰!『吉田豪の“最狂”全女伝説』吉田豪インタビュー「秋元康は、現代の松永兄弟か」

撮影=吉岡教雄

 徹底した下調べに基づいたインタビューで知られる、“プロインタビュアー”吉田豪氏。その吉田氏の新刊『吉田豪の“最狂”全女伝説』(白夜書房)が話題を呼んでいる。

 かつて空前のブームを巻き起こした、今はなきプロレス団体「全日本女子プロレス」に焦点を当てて、選手や関係者のロングインタビューを敢行。全女のリングの中と外で何が行なわれていたかに迫った濃厚な1冊だ。

 今回、吉田氏にインタビューし、『全女伝説』を出版したいきさつ、全女は何がスゴかったのか、そして現在の女子プロレスとアイドルの関係などについてまで語っていただいた。

──『吉田豪の“最狂”全女伝説』についての話の前に、タイムリーな話題として、吉田さんも当事者の真木よう子コミケ騒動について語ってほしいというリクエストが編集部からありました。

吉田豪(以下、吉田) それ、もう全然タイムリーじゃないし、全日本女子プロレスと真木さんの話はつなげづらいなあ(苦笑)。まだ日野皓正の体罰騒動とかBiSのプー・ルイさんのダイエット騒動とかのほうが、全女と結びつけやすいですよね。人間関係が成立している中だと暴力だとか理不尽なことがいくらでもアリになっちゃうことがよくあって、そのわかりやすいサンプルが日野皓正の騒動であり、プー・ルイさんの騒動であり、そして『“最狂”全女伝説』だと思うんですよ。明らかにやっちゃいけないようなことが行なわれてるのに、やられた側が誰も怒ってないし、むしろ感謝してたりする。

──相手との関係性があるから、一概に判断できない面もある、と。

吉田 まあ、その関係性=洗脳の可能性もあるってことなんですけど(笑)。ブル中野さんに全女=洗脳説をぶつけたら「この洗脳は解けてほしくない」って言ってましたから。疑似家族的な関係だと、理不尽さを乗り越えることで絆が生まれることも多々ある。全女だけでなく、昭和の新日本プロレスや極真空手もそうだと思うんですよ。まあ、全部ボクの本のテーマなんですけど(笑)。

──善悪は別として、コクのあるエピソードが詰まった1冊だと思います。本が出てからの反響はいかがですか?

吉田 この前、この本でインタビューした志生野温夫さん(全女の実況アナウンサー)にイベントに出てもらったら、控室で「この本で吉田さんが松永兄弟に向けるまなざしが温かいことがうれしかった」って最初に言われたのが感慨深かったですね。

──松永兄弟というのは、全女を経営していた、ハチャメチャな一族ですね。

吉田 現在のルールでジャッジしたら、松永兄弟は完全にアウトなわけじゃないですか。選手に金もちゃんと払わない、スターになっても選手に自我が芽生えてきたら平気で切り捨てるし、そのときにヒドいことも言う。でも、志生野さんみたいに中から見た人にとっては、ただの悪人じゃない。小人プロレスの人たちや選手たちへの人情もあるし、最終的に会社を潰しちゃったことにしても、バブル期にすごい稼いだ全女に銀行とか不動産屋とか証券会社とかが群がって、金を貸したり土地や株を売りつけてきて、会社が傾いたら一気に手を引いた、そういう連中のほうが悪いって言ってました。

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