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『劇場版 ブレイク ブレイド』完成披露試写会レポート

Production I.G×XEBEC ハイクオリティ手描きロボットアニメ『ブレイク ブレイド』起動!!

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 去る4月26日、都内で『劇場版 ブレイク ブレイド 第一章 覚醒ノ刻』の関係者・媒体向け完成披露試写会が行われた。多くの業界人が注視するなか初公開となった映像はProduction I.GとXEBECの作品らしく、緻密で手間のかかったもの。主人公とその搭乗メカが特別な存在である理由や、主人公メカを起動させる経緯の描写など、ロボットアニメのエッセンスを抽出したかのようなストーリーもさることながら、3DCGに頼らず物理的な重みを手描きで表現したビジュアルも、テレビのクオリティを凌駕。劇場用ならでは、という意気込みはひしひしと伝わってきた。

 原作は5月25日に最新第8巻が発売される同名のコミックス(『ブレイク ブレイド』フレックスコミックス刊/吉永裕ノ介・著、『FlexComix ブラッド』連載中)。既刊1~7巻の発行部数が累計70万部を超えるロボットものだ。その面白さに着目したバンダイビジュアルが、Production I.GとXEBECを迎えてアニメ化した。総監督を『マクロス7』のアミノテツロ、監督を『蒼穹のファフナー』の羽原信義が務めている。

bb_sub_.jpg(C)吉永裕ノ介・フレックスコミックス/
「ブレイク ブレイド」製作委員会

 物語の舞台は、魔力を機械の動力源とする独自の文明が発展したクルゾン大陸。そんな世界にあって100万人にひとりとも言われる希少な存在である”魔力を持たぬ者”ライガット・アロー(CV:保志総一朗)は、ある日学生時代の旧友でもある国王ホズル(クリシュナ9世、CV:中村悠一)に召喚され、王都へと赴く。

 なぜ自分が呼ばれたのか──その疑問は、突如として突きつけられた驚愕の事実によって氷解する。そして拡大する戦乱の渦が、ライガット、シギュン、ホズル、ゼス、かつて固い友情で結ばれていたはずの4人を巻き込んでいく。

 上映終了後には監督の羽原信義氏、メカニックデザインの柳瀬敬之氏、Production I.G代表取締役社長の石川光久氏、プロデューサーの大河原健氏が登壇。舞台挨拶を行った。

◆舞台挨拶コメント

羽原信義監督(XEBEC)
「ロボットの描写を、いまCG全盛の時代にあえて手描きにこだわって、重さや肉弾戦をこまかく丁寧に描いています。キャラクターの表情も、通常より多くの枚数を費やして丁寧に。美術に関しても観ていただいたとおり、それがある場所に行って観てきたのではないかというくらい美しい。ぜひ劇場に来て、世界に浸っていただきたいと思います。もうひとつ、ドルビーサラウンド5.1chという音響システムを使っており、銃弾がうしろから前へ飛んでいくようなシーンもありますので、ぜひ劇場で楽しんでいただきたい」

柳瀬敬之メカデザイナー
「原作にあるロボットの雰囲気をいかに(アニメに)持ってこられるかを念頭に置き、原作者である吉永先生と(アニメ制作の)最初のほうでセッションし、先生が今回のロボットでこだわっているところをお聞きして、デザインのやりとりをしました。先生がこだわられたのは、いままでにない設定とバランスで、しかもかっこいい、というところ。従来のロボットとは違う雰囲気を出したいというところのセッションを重ねてデザインしました。ディテール一個一個まで先生はこだわられたので、正直な話、テレビでは絶対にできない線の量を、これでいく、と。劇場に耐えられるディテールをさらに動かしているところがすごい」

大河原健プロデューサー(バンダイビジュアル)
「このご時世、手描きのロボットアクションを毎週テレビで放映するとなると、スタッフの負担になるというのと、個人的にはクオリティをきちっと(高く)やっていくことが、作品がヒットに結びつくことを信じているので、約50分の短編を6本、2~3ヵ月おきに公開するイメージでいます。2章を6月に公開したあと少し期間が空きますが、現場は1年、シナリオ打ちを含めればもっと長い間スタッフには携わってもらっている。そういったチャレンジをやらせていただけるだけの企画である、と思います」

 XEBECとの関わりあいについて、『ブルーシード』と同じく頭とおしりが「ブ」と「ド」で縁起がいい、と珍説を披露したり、「I.Gとしては(XEBECに失礼のないよう)一大決心をして、I.Gのスーパーアニメーターと呼ばれている後藤(隆幸氏)と西尾(鉄也氏)の給料を20%カットした」などと冗談を言って場を和ませた石川氏も、最後は真剣な面持ちでこう語った。

「社運を賭けるということはどういうことか。第1章だけではなく、2章3章4章5章6章と全部観ていただいて、これがほんとうにXEBECとI.Gが社運を賭けた作品だと、観ていただいたみなさんから言われる作品にするつもりで作っています。期待していてください」

 小規模劇場公開のアニメーション作品が激増し、一大ムーブメントとなっている今年、『劇場版 ブレイク ブレイド』も5月29日からの全国順次ロードショーの後、Blu-rayディスクを販売するという発表形態をとっている。ここで注目したいのは上映時間と回数。1章50分、全6章での公開を予定している。これはテレビシリーズのような続き物を意図し、かつ、テレビではなしえない質の高さを実現するための取り組みだ。

 テレビに替わる、シリーズ作品の新しい発表形態へのトライアルを、『劇場版 ブレイク ブレイド』は行なおうとしているのである。

 過去にテレビシリーズ11話+劇場用前後編の『東のエデン』、全7章の『空の境界』などの例はあるが、まだまだ劇場用シリーズ作品という仕組みが確立したとは言い切れない。今年公開される数多くの劇場用アニメーションにしても、殆どは「単品」として成立する長編である。

 その意味でも『劇場版 ブレイク ブレイド』は注目を集めている。メディア環境が激変していくさなか、劇場公開という「お試し」で作品の質に納得したファンがパッケージを購入するというサイクルが確立されれば、今後もアニメを供給していける、あるいは享受できるという確信が得られるかもしれない。

「新しい酒は新しい皮袋に」を地でいく『劇場版ブレイク ブレイド』。5月と6月に公開される1章と2章の完成度に期待が高まる。
(取材・文・写真=後藤勝)

ブレイク ブレイド 8巻

5月25日発売

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最終更新:2010/04/28 21:00
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