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航空業界がバイオ燃料導入を検討……その影で激化する中国・下水油をめぐる抗争

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 近い将来、中国は世界最大の“産油国”となるかもしれない。

 中国では、下水溝の汚水から採取された脂分が精製され、食用油として流通していることが問題となっているが、その「下水油」をKLMオランダ航空が大量購入することになったのだ。

 かねてより、使い古しの食用油を精製して燃料とする技術の開発を進めてきたKLMは、今年6月、使い古しの食用油から精製したバイオ燃料で、ボーイング777型機をアムステルダムからリオデジャネイロまで飛行させることに成功している。使い古し食用油を再利用したジェット燃料の実用化に一歩近づき、KLMは上海産の下水油2,000トンを原料として購入することを決めた。

 KLMによると、下水油を原料とするジェット燃料が実用化すれば、現在より3割のコスト削減になるといい、ほかの航空会社も注目している。そんな中、にわかに色めき立ち始めているのは中国の下水油業者だ。広東省ブロック紙の社会部記者はこう語る。

「下水油業は、路上のマンホールを勝手に開けて下水から上澄みの脂分を“採取”し、それを精製して安価な飲食店に販売するという、薄利多売の下流ビジネス。しかし、今回のKLMの購入で、原価ゼロの下水油が石油に代わる価値を持つかもしれない、という 期待が下水油業界で広がっている。ここ1カ月ほどでも、下水油業者間の採取エリアの縄張り争いが激化し、広東省では異なる業者同士による流血沙汰に至る抗争も頻発しているほどです」

 今後、世界の航空会社が食用油を再利用したジェット燃料を採用するようになれば、人民が下水油を口にする危険も減ることにつながるかもしれない。しかし、同記者はこう続ける。

「もし、世界の航空会社が中国の下水油を買い上げるようなことになれば、その価格は高騰し、安価な飲食店はさらに安い油を求めざるを得なくなる。結局、今よりも不衛生で毒性の強い下水油が出回るようになるだけの話でしょう」

 共産主義国家でありながら、下水の中にまで市場原理が浸透してしまったとは、なんたる皮肉か……。
(文=牧野源)

最終更新:2012/10/10 20:14
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