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『職業としてのAV女優』著者インタビュー

「クラスで上から2~3番目じゃないと、AV女優になれない!?」AV業界、激動の15年史

中村 分岐点となったのが、レンタル最後のアイドルである小室友里と、セル最初のアイドルである森下くるみ。そこで切り替わりましたね。その後も企画単体女優として長瀬愛や桃井望、堤さやかなどが活躍していきます。それまでの単体女優は疑似(挿入せずセックスをしているように見せかける演技)だったのですが、彼女たちは本番でした。レンタル全盛でパッケージだけで売れる時代は、本番であろうが、なかろうが大きくは売上には関係がなかったんですね。クリエイター系の監督が排除されたあと、疑似しかできない単体女優や、プライドが高く協調性に欠ける女優たちが消えていきました。彼女たちより前の世代の単体女優って、とにかくプライドが高くて、性格に難がある人が多かった。理由は、みんながちやほやするから。AV女優をとにかくお姫様扱いするという風潮があって、その環境が人間を腐らせていましたね。僕は人間がダメになっていくのに加担したくなかったから、アイドルAV女優の取材は避けていました(笑)。

――この時代に女優の質も、だんだんと変化していったんですね。

中村 長瀬愛や桃井望は徹底的に働いた。朝から晩まで、毎日のように本番の撮影をしていました。また、レンタル・セル・逆輸入・裏本など、AVにはさまざまなジャンルがあったんですが、彼女たちはジャンルを選ばずに出演した。単体女優だと、イメージを保つためにレンタルしか出演しないというような流れが一瞬あったのですが、長瀬愛などは裏ビデオにもバンバン出演して、知名度をどんどん上げていったんですね。それまでの“アイドルが月に1本疑似で出演”みたいなレンタルビデオ時代の概念が、彼女たちの働きと活躍によって一気に吹き飛んだんです。

――AVのクオリティが圧倒的に上がってきたのも、この頃ですか?

中村 本当にクオリティが上がってきたのは、もっと景気が悪くなってきてから。2003年頃は単体も企画も仕事がまだいっぱいあったんで、ルックスが悪くても、それに見合った活躍できる場があった。04年頃から徐々に売れなくなってきて、メーカーや制作者が試行錯誤をしだして、ダメなものが減っていったんです。不景気や裸に対する意識の変化でAV女優に志願する女の子たちが増えてくれば、供給過剰になる。メーカーや制作側が女の子を厳選できる状況になった。今まで2人に1人を選んでいたものが、15人から1人を選ぶということになって、AV女優クオリティ、それにAVの質が向上したわけです。

――ここ数年の状況については、いかがでしょうか?

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