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週刊誌スクープ大賞

「歴史で大切なのは解釈」「売れることが一番大事」日本を席巻する『日本国紀』“百田尚樹現象”の裏に何が!?

今週の1位は……

 高齢者の自動車事故が多発している。そのほとんどがブレーキとアクセルを踏み間違えたというケースである。

 では、そうした事故を自動車の安全性能でいくらか防ぐことができるのか。ポストの時宜を得た特集である。

 助けとなるのは自動車に搭載されている、予防安全性能だ。前方の障害物を察知して自動的にブレーキがかかったり、衝突回避の警報が鳴ったりするシーンをCMなどで見たことがある人も多いだろう。

 国土交通省所管の独立行政法人「自動車事故対策機構」が、被害軽減ブレーキ対歩行者、被害軽減ブレーキ対車両、車線逸脱抑制、後方視界情報、高機能前照灯、ペダル踏み間違い時加速抑制などの点を採点した。満点が126点である。

 1位はトヨタのカローラスポーツで122.4、2位がスバルのフォレスターで122.3、3位がホンダのインサイトで121.4,4位がN-VAN(軽)で120.6。16位のオデッセイは62.7である。

 自動運転車に行く前に、もっとメーカーは安全性の研究にカネをかけてもらいたいと思う。

 さて、丸山穂高議員の「(国後島の返還は)戦争しないと、どうしようもなくないですか」発言は、どん底まで落ちている議員の質の低さにとどめを刺したといえるだろう。

 この発言は、「北方四島ビザなし訪問団」として国後島を訪れていた一夜、「日本人とロシア人友好の家」で一行がささやかな宴会を開いていた時、したたかに酔った丸山が、大塚小彌太団長に議論を吹っかけた時に出たものであった。

 だが、文春、新潮によれば、丸山の暴言はこれだけではなかった。文春によれば政府関係者がこう話す。

「あの夜、丸山氏は女性蔑視、猥褻な発言を繰り返し、禁じられた外出までしようとした。しかも、その理由は『女を買いたい』という信じられないものでした」

 その他にも「オツパイ! チンチン!」と連呼し、「俺は女の胸を揉みたいんだ~!」と絶叫したというのである。

 団員の中には女性はもちろん、島民三世の女子中学生や高校生がいたというのに。

 その後も、外へ出たいという丸山は、「オレは国会議員だ! ここは日本の領土だろ! 議員だから不逮捕特権があるんだ!」とほざいたそうだ。

 なぜ無用な外出を制限しているのか。新潮によれば、「外出先でトラブルがあり、ロシアの警察に拘束された場合、現地の法律が日本人に適用されてしまうことで、事実上、北方四島がロシアの領土だと認めることに繋がりかねないからである」

 ましてや買春で捕まったりしたら、安倍首相のプーチン大統領への“土下座外交”も水の泡になってしまう。丸山に一番怒っているのは安倍ではないだろうか。

 おまけにこの旅行団には旅費、宿泊代が「北方四島交流北海道推進委員会」から支給されるそうだ。

 ボスの松井一郎維新の会代表が、除名処分とし、「アルコール依存症だ」とSNSで断じ、議員辞職まで促したのに、「このままではこの国の言論の自由が危ぶまれる」などと寝言をいって、議員辞職はしないようだ。最高学府を出た元官僚が「言論の自由」の意味さえ理解していないのである。

 文春の巻頭グラビアに、おバカなことでは丸山にも引けを取らない桜田義孝前オリ・パラ大臣が、睨みつけるように丸山を見て通り過ぎる瞬間が切り取られている。

 こういう連中は選良ではなく選悪である。これまで議員辞職勧告決議が可決されても、辞職した議員は皆無だそうだ。いっそのこと、丸山を議員にしておいていいのかという国民投票でもやったらどうだろう。

 質の悪さでは丸山、桜井と同じ穴の狢は安倍首相であろう。どうやら消費税を10%に増税することを再々凍結して、その信を問うということで衆参同日選を強行するようだ。

 野党も自民党内からも「凍結やむなし」という声が圧倒的なのに、なぜ選挙をやらなければいけないのか。「アベノミクスの失敗で景気が悪化したから、増税を凍結します」でいいはずではないか。

 今週の1位は、久しぶりにニューズウイーク日本版の「百田尚樹」についての記事である。

 日本を席巻するとは大仰だが、百田ばりの面白い記事になっている。書いたはノンフィクション・ライターの石戸諭。

 彼は毎日新聞で10年ほど記者をやっていたというから、日本では数少ないリベラル派のようだ。

 百田の本を全部読み、見城徹幻冬舎社長にもインタビューしている。長いが、これを読めば、百田という人間が何たるかがよくわかる。

 ここでも何度か書いたが、やしきたかじんが亡くなった後、死ぬ少し前にやしきと結婚した女とのことを『殉愛』とタイトルをつけ、「純愛ノンフィクション」と謳って幻冬舎から出した。

 だがその内容たるや女のいい分だけで構成され、女が悪口をいっているたかじんの長女や、元マネージャーのいい分などまったく聞かない呆れたフィクション本であった。

 長女も元マネージャー―も百田と幻冬舎を相手取り訴えを起こした。結果、百田側は敗訴した。

 元マネージャーは『純愛』出版後、社会的な信用を失い、芸能界での職を得ることもできなかった。家族共々、大阪から東京への引っ越しを余儀なくされてしまったという。石戸のいうように、表現は生活を壊すこともできるのである。

 この裁判を傍聴したノンフィクション作家の角岡伸彦が、百田が法廷でこう語ったという。

「確かに、書き方については、もっとこうしたらよかったという思いはありますが、仕方ない。書いてしまったんやから」

 この本を出版したことについて、見城徹はこう答えている。

「名誉棄損については申し訳なかったが、出すべきだと判断したということです。これ以上言うことはない。僕は作家の側に立つ。危険だからやめようと言うことはできた。でも、作家が熱を込めて書いたもの。うちのために書いてくれたのだから訴訟に負けても、作家の側に立つという決断をした」

 先に書いたように、百田の『日本国紀』を批判した作家の津原泰水の文庫本を、出版しないと通告し、ツイッターでこれしか売れなかったと実売部数を公表するという呆れ果てたことをしたのは見城その人である。

 彼にとって売れない作家など守る必要なはない、売れる作家なら身を挺して守るということなのだ。

 これからは、作家が幻冬舎から本を出すと、「よくあんなところから出す気になったな」と揶揄されるようになるだろう。

 出版社の存立を自ら危うくした人間として代々語り継がれるだろう。

 石戸は、百田人気をこう分析する。

「中韓に『怒り』を爆発させ、朝日新聞と言う大マスコミを批判する言葉は、非マイノリティポリティクスと相性が良い。マジョリティーである『ごく普通の人』は多かれ少なかれ、中韓への違和感や疑義を持って、生活している。百田の言葉は『ごく普通の人の感覚』の延長線上にあるのではないか、と」

 百田は自身をトリックスターと表した一文がことのほか気に入っていると話したことがあるそうだ。

「彼の自己認識はこれに近いのではないか。読者の支持がなくなればそれで終わり。物議を醸す発言も自分が思うこと言っているだけで、自分の考えに染めてやろうとは思っていない……」(同)

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