深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.538

向理来主演の新感覚BL映画『最短距離は回りくどくて、』

2019/07/05 21:00

文=長野辰次
ピンク映画界の鬼才・山内大輔監督が初挑戦した、新感覚のボーイズラブ映画『最短距離は回りくどくて、』。

 ピンク映画でおなじみ、OP PICTURES(オーピーピクチャーズ)が手掛ける初めてのボーイズラブ映画『最短距離は回りくどくて、』が、一般館である池袋シネマ・ロサにて2週間限定で公開される。これまでもゲイ映画を毎年2本ペースで製作してきたオーピーピクチャーズだが、今回は女子向けに企画された新趣向のものであり、映画界に新しい波を起こしうる可能性を秘めた作品となっている。

 主演俳優は女性向けアダルト作品で人気を集めている向理来(むかい・りく)。ソフトな顔立ちの向が、ミュージカルや舞台で活躍する塩口量平ら2.5次元系のイケメン男優たちと濃厚なラブシーンを演じている。男同士の絡みには興味がないという人もいると思うが、ちょっと待ってほしい。本作を撮ったのは山内大輔監督。川瀬陽太主演の映画『犯(や)る男』(15)や『よみがえりの島』(16)などで、振り切った演出を見せたピンク映画界の鬼才監督なのだ。腐女子だけが楽しむには、もったいないクオリティーに仕上がっている。

 山内監督が脚本も書いた『最短距離—』のストーリーはこんな感じ。序盤はまず学園ドラマとして始まる。高校生の悠斗(向)には友達がおらず、昼休みはいつも校舎の屋上で過ごしていた。ある日、新任の教師・青山(塩口量平)が屋上に現われ、「先生と交換日記しないか」と持ち掛ける。男同士、しかも教師と交換日記をするという意外性に、思わずOKする悠斗だった。

 交換日記の効果もあって、孤独感から解放される悠斗。だが、平穏な日々はそう長くは続かなかった。悠斗が熱を出して寝込んだことから、青山が日記を持って見舞いに訪れる。ベッドで横になっている悠斗に優しくリンゴを食べさせる青山だったが、無防備に寝ている悠斗の唇に、つい自分の唇を重ねてしまう。気づいた悠斗は驚きのあまり、青山を部屋から追い出し、学校にセクハラ教師として訴えることに。その結果、青山は学校を去り、悠斗は誰にも心を開くことはなくなった。

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