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J-POP深読みコラム

“演歌界のプリンス”氷川きよしは、いかにして「解き放たれた」のか?

「男花」でT.M.Revolution化!?

 ただ、それでも演歌歌手としての王道の活動……<氷川きよし>名義のシングルに、そうしたジャンルの歌が入ってくることはなかった。彼はこの20年の間に、先ほどの「股旅」「ズンドコ」のほかに「ドドンパ」「ソーラン節」「浪曲」など、やはり演歌~歌謡のマナーにのっとった曲を出してきている。中には歌謡タッチのものもあったが、それも演歌の範疇に入れてもそうおかしくない曲だった。

 そんな中で、ややロックに寄った歌もあった。15年に発表された「男花」は、和な音色が演歌的ではあるものの、パワフルな音作りはロック的。そして注目はこの㎹である。

 海面が迫る険しい岸壁で、風を浴びながら派手な衣装をヒラヒラさせている。そう、どことなくT.M.Revolution度が高いのだ。意識したというほどではない気はするが。

 しかし、この「男花」も、シングルとしてはムード歌謡的な「愛しのテキーロ」のカップリングという立場だった。氷川きよしとして発表するシングルのメインは演歌であるという点は、基本的に今も貫かれている。

 そのバランスが若干変わり始めたのは17年7月、GReeeeNとのコラボ曲「碧し」である。配信シングルという扱いで、CDではリリースされていない。旅立ちにあたっての思いをつづった、いかにもGReeeeNが作ったらしいバラードである。これを氷川は自然体で唄っている。

 そして「シングル盤で出すのは演歌」のルールがついに破られたのが、この記事の最初でライヴ映像を見てもらった「限界突破×サバイバー」である。17年の秋からアニメ『ドラゴンボール超』(フジテレビ系)のテーマソングとして起用されたこの曲への思い入れは、氷川自身も大きかったようだ。

 作詞は歌謡曲とロックの世界で長年活躍してきた森雪之丞で、過去にもこのアニメの曲に関わったことがある。作曲者の岩崎貴文、アレンジャーの籠島裕昌は、どちらもアニメ・特撮の仕事で知られる人物だ。最初から演歌の枠を飛び超えた楽曲だったのだ。

 何より、氷川自身の歌唱が熱い。しかも歌詞には<壁をブチ破る>という示唆的なフレーズがある。ここから彼は振り切れ始めたということか。

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