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KOHHの元プロデューサーがディレクターに! 60分超の驚愕シングルでバッハの音楽を破壊するARCAの革命

 先頃、次作をもって“引退”することを表明し、リスナーを驚かせたラッパーのKOHH。彼のプロデューサーを務めてきた318こと高橋良は、1年ほど前に音楽ビジネスからすでに“リタイア”していた。……はずなのだが、カニエ・ウェストやビョーク、FKAツイッグスらに楽曲を提供してきたベネズエラ出身の奇才、ARCA(アルカ)のクリエイティブ・ディレクターに就任したという報せと共に、以下のテキストが彼から届けられたーー。

◇ ◇ ◇

 2020年、音楽史において革命的なことが起きた。300年前に“音楽の父”バッハが作った“音楽”をベネズエラ出身のアーティスト、ARCAが完全に破壊してしまったのである。なぜなら、このたび発表した彼女のシングル『@@@@@』(https://arca.ffm.to/atatatatat)は、音楽の3大要素である“ハーモニー”“メロディ”“リズム”を特に使わずに構成されているからである。そして驚くことに、シングル(もはやシングルと呼んでいいのだろうか)は62分20秒で構成されている。今までにこの類の音楽は数々あったが、多くは前衛音楽と定義され、不協和音を用いている。しかし、『@@@@@』は著者の聴く限り、ほぼすべて協和音で成り立っている。これを革命と呼ばずに何と呼ぼう。筆者は今、“これ”が音楽以外の何であるかを説明するのに大変苦戦している。

 ARCAはカニエ・ウェストのアルバム『Yeezus』(13年)のプロデュースを3曲担当したことで広く世の中に知られているが、そのほかにもFKAツイッグス『EP2』(13年)、『LP1』(14年)は全曲彼女のプロデュースである。フランク・オーシャン『Endless』(16年)にプロデューサーとして参加していることも、ここでお伝えしておこう。つまり、以前より彼女は世界のトップ・アーティストから絶大な支持を受けているのだ。

 また、19年9月にニューヨークの新カルチャー・スペース〈ザ・シェッドThe Shed)〉にて3日間にわたり行われた彼女のパフォーマンスには、サプライズ・ゲストとしてビョークが出演している。現存するアーティストで1曲のためにニューヨークまでBjörkを呼べるのは、おそらく世界中を探してもARCAだけではないだろうか。

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