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「モラハラのトリセツ」第7回

モラハラ妻は被害者!? モラハラ問題をこじらせる「ジェンダーバイアス」(後編)

文=中村カズノリ(なかむら・かずのり)

DVやモラハラに至る原因はひとつではない

 実際にグループワークへの参加を始めたNさんは、アイスブレイク(初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法)で他の参加者との対話をするうちに、自分の問題との違いについて、さらに気づいていきます。

 グループワークでは、自分の語りだけでなく、他の参加者の語りを聞くというワークも行われるので、その中でNさんは「他人の話を聞いていない」自分に気づかれたということ。

 おそらく、他人の話を聞く余裕がないほど、自分が受け入れられていないと感じる意識が強いのかもしれません。

 グループワークに繰り返し何度も参加するNさんは徐々に、自分が場に受け入れられているという安心を得るようになり、徐々に他の参加者の話も受け入れられるようになっていきました。Nさんはほかにも、自分の家族観に問題があったことに気づきます。「家族なのだから」話をしっかり聞いて、どんなときでも受け止めなければならない――という強い価値観を持っていたようです。家族という状況に依存していたともいえるでしょう。

 Nさんは、そんな学びを家に帰ってから夫のSさんに話すようになり、SさんもNさんの変化や話の内容の変化に安心しているということです。

 DVやモラハラに至る原因はひとつではなく、複数の小さな問題が複雑に絡み合っています。大きな原因をひとつ見つけたからといって、それさえ解決すれば万事OKとはいきません。

 当事者同士での対話は、なかなか表には出すことができない自分でも安心してさらけ出すことができるので、小さな問題に気づきやすく、回復にも寄与するのでしょう。

 Nさんの変化については、最初はグループワークの中だけだったのが、徐々に家庭や外での人間関係でも自分の語りの量は適切に、人の話も受け止められるようになり始めているとのことです。

 もちろん1~2回の参加で劇的に変化することはまれですが、安心できる場があると、その後の回復への希望は当事者自身だけでなく、周囲の人々も持つことができます。

 Nさんのように、自分の問題に早く気づいてカウンセリングやグループワークにつなげていければ回復も早いのですが、そんな方は実は非常に少ないです。女性の加害者ですとなおさら、前編でお話ししたように女性は自分の問題に気づきにくいという構造が存在しますし、モラハラの加害者である自分を受け止めるということは非常に勇気がいることです。

 モラハラの加害者には男女関係なく、当事者が持っている体験や価値観がタイミング悪く交わってしまえば誰にでもなり得ます。

 自分がそうならないという保証はどこにもないので、もしそんな自分に気づいてしまったときがあったときに、この記事が参考になれば幸いです。

中村カズノリ(なかむら・かずのり)

中村カズノリ(なかむら・かずのり)

1980年生まれ。WEB系開発エンジニアの傍ら、メンズカウンセリングを学び、モラハラ加害者としての経験をもとに、支援を行っている。

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Twitter:@nkmr_kznr

最終更新:2020/03/16 10:20
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