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安倍政権のわかりづらい「緊急経済対策」を解説! 安倍首相は“憲法”を順守せよ

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

安倍晋三首相

 安倍晋三首相は4月7日、7都府県に「緊急事態宣言」を発出し、それにともなって「緊急経済対策」を閣議決定したことを発表した。テレビを中心としたマスメディアでは、休業要請とその補償問題などが議論を呼んでいるが、この緊急経済対策はそれ以外にもさまざまな問題を内包している。ここでは、緊急経済対策を分析し、問題点を洗い出してみよう。

 まず、緊急経済対策の骨格を明らかにしておこう。

 安倍首相はこの緊急経済対策を「GDP(国内総生産)の2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策」と自画自賛した。確かに、事業規模108.2兆円、財政支出は39.5兆円の規模となっている。

 だが、この事業規模の中には、2019年12月に策定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」のうち、今後効果の発現する事業と2月、3月に実施された新型コロナ対策が含まれている。従って、これらを除いた事業規模は86.4兆円、財政支出は29.2兆円ということになる。

 その上、「事業規模」というのは政府が支出する額ではなく、民間金融機関の融資額などの金融措置や、事業の民間負担分も含んでいる。また、「財政支出」には「財政投融資」が含まれており、日本政策金融公庫による融資分などが入っている。融資はあくまでも融資で当然、返済を伴うものだ。従って、今回の政府の新規追加分の財政支出は18.6兆円にとどまる。おおよそ、安倍首相が言う「世界的にも最大級の経済対策」と胸を張れるようなものではない。

 それは以下の理由からも明らかだ。緊急経済対策は感染症拡大の収束に目途がつくまでの間の「緊急支援フェーズ」と、収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会変革の推進「V字回復フェーズ」の2つのフェーズから成り立っている。

◇ ◇ ◇

=緊急経済対策の内容=(財政支出総額39.5兆円)

「緊急支援フェーズ」

<感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発>(財政支出額2.5兆円)

・マスク・消毒液等の確保

・検査体制の強化と感染の早期発見

・医療提供体制の強化

・治療薬・ワクチンの開発加速

・帰国者等の受入れ体制の強化

・情報発信の充実

・感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力

・学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備

<雇用の維持と事業の継続>(財政支出額22.0兆円)

・雇用の維持

・資金繰り対策

・事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援

・生活に困っている世帯や個人への支援

・税制措置

「V字回復フェーズ」

<次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復>(財政支出額3.3兆円)

・観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援

・地域経済の活性化

<強靱な経済構造の構築>(財政支出額10.2兆円)

・サプライチェーン改革

・海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出 力の維持・強化及び国内供給力の強化支援

・リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速

・公共投資の早期執行等

<今後への備え>(財政支出額1.5兆円)

・新型コロナウイルス感染症対策予備費

◇ ◇ ◇

「緊急支援フェーズ」における<雇用の維持と事業の継続>に多くの問題点があることは、テレビなどでも多く取り上げられている。この問題については後述する。

 まず、財政支出総額39.5兆円のうち、新型コロナウイルス収束後の「V字回復フェーズ」に15兆円もの財政支出が盛り込まれていることに注目して欲しい。新型コロナウイルス対策とほぼ同等の財政支出を収束後に使うのだ。

 つまり、この緊急経済対策は「新型コロナウイルスの感染拡大防止や検査・治療、そして新型ウイルスの感染拡大を終息させること」を第一義として作られたのもではないということだ。感染拡大が続き、死亡者が増加を続け、「緊急事態宣言」を発出しなければならない状況にあり、その終息時期すら見えない状況であるが、収束後の景気対策まで盛り込んでいる。

 現状では、感染拡大を防止し、感染者の増加に歯止めを掛けることを第一義とし、そのためには補償による休業を促進することを対策の柱としなければならない時期であり、感染の収束時期が見えてきた時に改めて景気対策を行えばいいはずだ。

 政府がいかに“危機意識”に乏しいのかは明らかだろう。

 何しろ、「V字回復フェーズ」の中には、①生徒やアマチュアを含む地域の文化芸術関係団体・芸術家によるアートキャラバン(文部科学省)②子供たちの自然体験・文化芸術体験・運動機会の創出(文部科学省)③誘客多角化に向けた地域の観光資源等の魅力的な滞在コンテンツへの磨き上げ(国土交通省)④日本政府観光局(JNTO)を通じた訪日外国人旅行客の需要回復のための大規模プロモーション(国土交通省)⑤国立公園等への誘客・ワーケーションの推進(環境省)⑥特定有人国境離島地域等における滞在型観光の促進等(内閣府、国土交通省)などといった、明らかに新型コロナウイルスとは関係ないものまで含まれている。

 さらに、<次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復>における観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援では、「Go Toキャンペーン」の事業費として1兆6794億円が計上されているが、一方で厚生労働省の補正予算案によると「人工呼吸器の確保」には265億円、「検査体制の確保」には49億円しか計上されていないのだ。

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