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満洲の邦人を置き去りにした日本軍と安倍政権は酷似! “鉄道”から迫った「シベリア抑留」の真実

“加害者”だった時期は話したがらない

――お父様とは戦争の話はあまりできなかったんですか?

清水 子どもの頃から「シベリアはものすごい寒い」とか鉄道連隊にいたという話はしてくれたんです。ただ、僕も10代、20代になると、親父が日中戦争の渦中にいたことに怖さを感じて、避けていたところがあります。「もし、虐殺に絡んでいたら……」と思ったからです。ただ、南京事件について調べだしたときに、やはり自分の父親や祖父がどう戦争に関わっていたのかを知らないのはよくないと思い至り、親父が晩年に入院していた3カ月間、訊きました。今回の本を書くにあたっては、それを思い出しつつ、「中国大陸をどう移動していたのか」といったことをもっと訊いておけばよかったと思うばかりでした。

――私の祖父も戦時中は満州にいて、敗戦後には大連からシベリア抑留になったと言っていましたが、戦時中のことはほとんど話してくれませんでした。数少ない例外が、シベリア抑留時の体験についてでした。

清水 シベリア抑留は日本にとっては被害者の立場なので、まだ話してくれる人はいるんです。ただ、加害の立場にいる時期のことは、みんな話したがらない。でも、そこは両方に目を向けないといけない。

 確かに沖縄戦、原爆、空襲、抑留……日本はひどい目に遭いました。では、なぜそうなったか? 始まりはなんだ? と。多くの人がパッと思い浮かぶのは、真珠湾攻撃や盧溝橋事件ですよね。人によっては、「やむにやまれず日本は戦争を始めた」と言います。しかし、ではなぜ、盧溝橋事件が起きた北京郊外に日本兵がいたのか? なぜ、真珠湾攻撃をする以前、アメリカと交渉しているさなかに日本は、択捉島から連合艦隊をハワイに向け、すでに太平洋のど真ん中まで進めていたのか? こういったことを考えないと、バランスを欠きます。そして、「なぜ」「なぜ」と原因を遡っていくと、朝鮮派兵、日清戦争まで辿る必要が出てきます。

 私も、もともと歴史に詳しかったわけではありませんでした。でも、近現代史の全体像を知らぬまま人生を終えてはよくないという想いから、この年になって高校の歴史教科書を何冊も買い、文献を買って勉強する中で、理解を深めていきました。

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