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ロフト創始者・平野悠がコロナ問題に直面しつつも世に問うた「壮絶な純愛小説」とは?

文=増田俊樹(ますだ・としき)

檀一雄の再来を彷彿させるパワー

『セルロイドの海』(平野悠)

 『セルロイドの海』を献本して頂いた。

 この小説の内容に関しては数年前、平野さん自身の筆による情報サイト「シミルボン」での連載記事、『ピースボート世界一周航海記』をリアルタイムで読んではいたので、ことの顛末も知ってはいたのだが……。

 上記のルポでも指摘されている通り、孤独と危険が隣り合わせの硬派な旅ばかりしてきたイメージの強い平野さんが、意外にもマラッカ海峡を越えて北極海を目指す船上で、人妻との恋にハマっていくエピソードは、とてつもなく刺激的なものだった。ただ、日本各地を取材する筆者のライフワークでもある『地域批評シリーズ』(マイクロマガジン社刊)や、ルポライターの先達である沢木耕太郎が長年にわたって描き続けてきた、「雑念」を排した紀行文とは一線を画す、異色とも呼べる恋愛航海記を前にして、「シミルボン」連載時より得も言われぬ違和感を憶えたものだった。

 そして、胃が痛くなるような大人の恋愛模様を、献本された小説を通じて再び追体験することになろうとは……。読了した途端に、やるせない気分に陥ってしまったのも偽らざる事実なのだ。

 敬虔なクリスチャンであるハイソな人妻と出逢い、恋に落ちた70歳のライブハウス経営者が体験した、船上の90日間を描く話題の小説。今回の原稿を書くにあたって、この小説のキャッチコピーでもある「イノセントな航海文学」の解説文をと、洒落た注文をいただいてしまったのだが、平野さんの無軌道な行動力を思い知る身としては、そんな上品なものは書ける訳がない。

 ただ一つ言えることは、昭和の作家・檀一雄の再来を彷彿させるほど、私的な恋愛関係を惜しげもなく書き綴ることができる平野さんの尋常ならざるパワーに、改めておそれいるのみであった。

(取材・執筆=増田俊樹/書評=昼間たかし)

■書籍情報
『セルロイドの海』
著者:平野 悠/発行:ロフトブックス/発売:世界書院
四六判/並製/336ページ/定価:本体1,800円+税
https://rooftop.cc/news/2020/05/20111111.php

平野悠:出演 『セルロイドの海』PV
https://www.youtube.com/watch?v=iupv-DWAji4

増田俊樹(ますだ・としき)

最終更新:2020/08/27 16:37
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