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安倍首相“支離滅裂”“実績なし”で辞意表明  アベノミクス終了で金利はどうなる?

アベノミクス終了で金利どうなる?

 アベノミクスで当初、実際に効果があったのは3本の矢のうち「大胆な金融緩和」だが、これも今や“ルビコン川を渡った”ことで、金融政策の正常化に戻れない状況となっている。

 新型コロナウイルス対策で、2020年度予算において2度目の補正予算案を組み、2020年度の新規国債発行額は90.2兆円にまで膨らみ(このうち赤字国債は71.4兆円ののぼる)、公債依存度(一般会計歳出額のうち、国債発行が財源となっている割合)は56.3%、公債等残高の対名目GDP比率は216.4%にまで跳ね上がってしまった。

 こうなると、金利の上昇がすなわち政府債務残高の支払利子の急増に結び付くため、日本銀行には金利上昇を徹底的に抑え込むことが求められることになるため、金融政策の正常化など“夢のまた夢”となった。

 だが、何よりも心配なのは黒田東彦・日銀総裁の去就だろう。3本の矢のうち「大胆な金融緩和」を実現するために“三顧の礼”を持って安倍首相により2013年3月に日銀総裁に迎えられた黒田氏は、安倍首相との“蜜月関係”という強い後ろ盾により、前代未聞の金融緩和策を推し進めてきたわけだが、2023年4月まで任期が残っている黒田総裁は、安倍首相の退陣により“矢面に立たされる”ことになる。

 安倍首相は今回の辞意表明会見で、東京オリンピックの行方について、「準備を進め、開催国としての責任を果たしていかなければならない」と述べたが、前述したように安倍首相の政治的なレガシーとして唯一残されたのが東京オリンピックの開催だったことを考えれば、安倍首相が退陣すれば、「東京オリンピック中止」の可能性は相当に高まったと言えるのではないだろうか。

 結局、第1次安倍政権を含め、安倍晋三氏が首相の座にあった約8年8カ月の間に進められた政策は、安倍首相の後継者や日銀が「容易に“後始末”をすることができない」というレガシーを残したのかも知れない。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2020/08/29 15:30
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