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『家、ついて行ってイイですか?』35年間一緒だった妻からのLINE「楽に逝かせてほしい」

妻を先月亡くしたばかりの男性は、誰かに話を聞いてほしかった

 今年10月15日、スタッフが千葉・勝田台駅でスタッフが声を掛けたのは飲食店を経営する53歳の男性だった。「テレビ東京でインタビューをさせていただきたいんですけど」と呼び止めると、「いいですよ」と振り返る男性。さらに「家、ついて行ってイイですか?」と申し出たら、驚きつつも「行きますか」と承諾してくれた。御自宅には、男性が運転する自動車で向かうことに。

「これは、母ちゃんの車なんですよ」
――――(奥さんが)通勤で使ってた?
「そう、通勤で。(妻は)ゴルフ場に勤めてて」

 家に到着すると、玄関には2つのゴルフバッグが並べてある。片方は男性の、もう片方は奥さんのものだ。

――――緒にゴルフ行ったり?
「打ちっぱなしとかですよ」

 リビングに着くなり、腰を下ろした男性は仏壇に手を合わせた。

「カミさんが亡くなっちゃいました、先日。明日が月命日。9月16日に亡くなったんで。明日が10月16日ですよね」

 よく取材を受けてくれたと思う。奥さんが亡くなってまだ1カ月しか経っていないのだ。立ち直っているわけがない。いや、彼は誰かに吐き出したかったのかもしれない。男性は特に人に弱音を吐くことができないから。

 子宮頸がんで52歳で亡くなった奥さんは高校時代のクラスメート。高2で交際をスタートし、2人はそれから35年間ずっと一緒だ。

「高校で席が隣になったんですよ。可愛い子だなと思って」
――――じゃあ、一目惚れだったんですか?
「そうだね」

 京都への修学旅行で、男性は奥さんにネックレスを買ってあげた。奥さんの死後、整理していると荷物からそのときのネックレスが出てきた。2人の名前が入ったおそろいの物。若い頃の写真を見ると、いつも2人はこのネックレスを付けているのだ。

「35年くらい、ちゃんと持ってたんだなあって」

 奥さんの携帯電話には、たくさんの思い出が詰まっている。この夫婦の三男の職業は美容師だ。入院前、在宅介護だったときの奥さんは体調が悪くて美容院へ行けず、三男が自宅で母の髪を切っていた。

「子どもがこのために美容師になった気がしちゃって」

 そのときに撮った動画は、まだ妻の携帯に残っている。動く奥さんの姿を撮った最後の動画だ。恐らく、男性はこの携帯を処分しないだろう。彼にとって思い出の画像や動画を残すタイムカプセルのような物なのだから。

 奥さんが子宮頸がんになったのは4年前。がんをとってはまた出ての繰り返しで、その後、直腸と膀胱がつながった。排泄の姿を家族に見せたくない奥さんは、自分から「入院させて」と申し出た。亡くなる1カ月前のことだった。

 食事をとれない奥さんは点滴から栄養を摂っていたが、今度は尿から腸液が出るようになった。半端ではない痛さが伴うそうだ。そして、彼女は夫にLINEを送った。

「(病気のことは)早く終わらせたいと希望しました。(そうすると余命は)あと1~2カ月位かな? と(医者が)教えてくれました。これが今日話したかった事です。とにかく最期は楽に逝かせて欲しいです」

 奥さんは決意を自分の口から直接言えなかった。だから、決意の内容をLINEで夫に伝えることにしたのだ。

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