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『フリースタイルティーチャー』Kダブのパンチラインをサンプリングしたrisano「自分が自分である事を誇る」

‘えいたそが優勝候補筆頭のrisanoを撃破!’

 第2試合は成瀬 VS risanoの一戦。この日のケンザは黄色いスタジャンを着て成瀬とカラーを合わせているし、サ上はオレンジのパーカーを着てrisanoとペアルックだ。スチューデントのイメージカラーに合わせにいく辺り、ティーチャーの優しさが見え隠れする。

 筆者の印象では、今回の優勝候補筆頭はrisanoだ。「Have Fun」をサ上から植え付けられた彼女だが、実は技術的なことは何一つ教わっていない。なのに、うまいのだ。声質とフロウが天下一品。もしかしたら、サ上でもrisanoほどの乗り方はできない気がする。

 ディスり合いを望む成瀬は、Have Funを貫くrisanoに挑発を仕掛けた。

成瀬  「これは楽しいラブバトルじゃないよ
     バチバチのバトルなんだから ファンファン言ってねぇで
     もっとかかって来いや」
risano 「全然 何 言ってるか聞こえないな」
     
 やはり、HAVE FUNを貫いたrisano。バチバチのやり合いをけしかけられても、「聞こえない」とバトルにあるまじきリアクションで捌いたのだ。絶対にrisanoはブレない。この態度もある意味、自己主張だと思う。彼女は自身の信念を言葉にした。

risano 「でも 私は1人しかいない だから 自分で頑張る
     自分が自分である事を誇る そういう奴が最後に残る」

「自分が自分である事を誇る そういう奴が最後に残る」は、Kダブシャインの楽曲「ラストエンペラー」のパンチラインからのサンプリングだ。Kダブの名言を引用したrisanoがMC席に視線をやると、敬礼のポーズでKダブが応えている。

 また「私は1人しかいない」のライムは、アイドルをやりながら様々な分野へチャレンジした成瀬とは反対に「私はアイドルラップ1本で行く!」と高らかに宣言するrisanoの決意表明にも聞こえた。『スター☆トゥインクルプリキュア』(テレビ朝日系)の声優でもある成瀬にrisanoが放ったライム「トゥインクル トゥインクルプリキュア 私 韻踏むフリースタイラー」も同様の意図だ。

 risanoはフロウが秀逸だ。それに対し、成瀬のラップにはメロディがある。声色を変えながら乗り続けるフリースタイルは、もうほとんど歌だ。声色を変え、ターンしながら決めたラップは純正アイドルならでは。ディスを受け流し、フロウとビートの乗り方で勝負しようとするrisanoとのスタイル対決だと言える。

 フリースタイルバトルは自らの悔しさやコンプレックスを武器にしがちだが、2人のバトルは違った。完全に、陽 VS 陽なのだ。2人は見るからに相性が良く、高スキルのrisanoに引っ張られて成瀬からも好ラップがドンドン出てきた。最終的にこのバトルは2-1で成瀬が勝利したが、2人がサイファーをすれば抜群のものが生まれるのでは? と期待感を抱いてしまう。闘った後に両者の中でリスペクトが生まれるバトルだった。

 さて、次回はどうやら成瀬 VS 恋汐りんご(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI)の一戦が行われるようだ。これはエモい! 完全なるアイドル対決だ。アイドルファンからすれば、そわそわさせられるマッチメイクだろう。見どころは、成瀬の表現力と恋汐の実直さである。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/01/12 18:00
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