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ドラッグを取り締まるための法律──「薬物四法」の中身と成立秘話

文=伊藤 綾

──日本で薬物を取り締まる法律には「薬物四法」があり、薬物ごとに適用される法律が異なる。しかし、覚醒剤の「使用」は罪に問われるものの、大麻の「使用」については罰則がないなど、その中身はあまり知られていない。そこで、これらの法律の中身やその歴史を改めて見ていきたい。(「月刊サイゾー」12月号より一部転載)

ドラッグを取り締まるための法律──「薬物四法」の中身と成立秘話の画像1
(絵/飛永雄大)

 芸能人が薬物事件で捕まると、「覚醒剤単純所持の疑い」や「大麻取締法違反」というワードが報道でよく出てくるが、正直その罪の違いや、法律の中身はよくわからない。そこで巻頭企画として、ここでは基礎的な薬物に関する法律を改めておさらいしていきたい。

 まず、日本国内において薬物の流通や管理の仕方を決めている法律のうち、基本となる4つの法律「大麻取締法」、「覚醒剤取締法」、「麻薬及び向精神薬取締法」、「あへん法」を合わせて「薬物四法」という。

 グラディアトル法律事務所の伊藤琢斗弁護士によれば、薬物の有害性などは物によって性質が大きく異なるため、罪の重さも4つの個別法で一つひとつ細かく規定しているのだという。

「大麻取締法は名前の通り大麻。覚醒剤取締法は覚醒剤、シャブと呼ばれるもの。麻薬及び向精神薬取締法は、ヘロインやコカイン、MDMAなど。あへん法はケシの実と、ケシの実の外側のケシ殻と呼ばれる部分、そしてケシの液汁を固めたり加工したりした『あへん』についての規制です。法律の成り立ちもそれぞれで、大麻には使用罪がないなど細かい違いはありますが、基本的には物が違うだけで目的・内容は同じ。どの法律でも主に輸入・輸出、製造、所持、譲渡などについて規制するものになります」

 また、「麻薬特例法」とも呼ばれる「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」という法律を加えて、「薬物五法」という括り方をすることもある。

 他方で、ひと昔前に社会問題となった、危険ドラッグや脱法ハーブなどに関する規制は、これらの法律とは別に、精神的作用を及ぼす医薬品の流通などについて規制する「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に含まれているという。

「危険ドラッグでは、規制薬物の化学構造式を少しずつ変えていく、規制逃れの手法が問題になりましたが、現在は厚生労働大臣が『指定薬物』に指定すれば迅速に禁止できるようになっています。いちいち法律で制定せずに対応できているため、現状ではちゃんと規制が追いついていると思います。一方で麻薬特例法は、繰り返し薬物を撒く人、譲渡などを行う人に対し、無期または5年以上の懲役、および1000万円以下の罰金と、かなり厳しい処罰を科している点が特徴です。法律用語で“業として”と言いますが、売人のような存在に対する締め付けを厳しくしているんですね。個別法だと薬物の譲渡や譲受については、無期懲役までは設定されていなかったので、これによってかなり加重されています。売人を厳しく処罰することで、薬物の蔓延を阻止したいという考えですね」(同)

 こうした薬物に関する法律で禁止される行為は大きく輸出入、製造、栽培、譲渡・譲受、所持、使用の6種類に分けられるが、薬物によっても禁止される行為は微妙に異なる。基本的には製造や栽培、輸出入の罪がもっとも重くなるようだ。

 ところで冒頭の伊藤氏の発言にもあったが、大麻取締法に使用罪がないのはなぜなのか?

「理由は諸説ありますが、麻布を作ったり、七味に入れたり、生活に密着した植物なので、規制しづらかったという説が有力です。雑な説明となってしまいますが、簡単に言うと、尿検査で成分が出てきたとき、七味を食べすぎた人なのか、大麻を使用した人なのかわからない可能性があるということですね。一般的な認識としても『大麻=葉っぱ』だと思いますが、大麻取締法における大麻の定義では、THC(向精神作用をもたらす主成分)など、麻薬成分の含有量や実用性も考慮し、成熟した茎や種子は規制から除かれています」(同)

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