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そこにはネット黎明期の熱気があった! VRイベント「クロスマーケット 2」が示すVRコミュニティの可能性と課題

課題はVR機器が高額なことと著作権問題

支援額が3万円から200万円へ! VRイベント「クロスマーケット 2」が示すVRコミュニティの可能性―課題は著作権問題?の画像4

 ただし、黎明期であるがゆえの課題もある。

 ひとつはVRを始めるためのハードルが高いことだ。基本的にはヘッドマウントディスプレイと比較的高性能なWindows PCを揃えなければならない。スタンドアロン型と呼ばれるヘッドマウントディスプレイのみでVR体験ができる機器もあることはあり、2020年9月に価格・スペックともに革命的といわれた「Oculus Quest 2」が発売されたが、VR空間上のイベントの多くがいまだスタンドアロン型では参加できないなど制約が少なくない(今回取材したクロスマーケット2は、スタンドアロン型でも参加できることが特長のひとつだった)。

 もうひとつの課題が、アバターやアートなどをつくるクリエイターの著作権を守り、利益を還元する仕組みをどうつくるかだ。VRChatにおけるアバターは「もうひとりの自分」であり、だからこそ多くのユーザーが熱心に理想的なアバターを探し求めている。しかし一方で、既存のアニメやマンガ作品のキャラをコピーした「著作権違反」のアバターが闊歩している現実もある。クロスマーケット2の開催意図のひとつは、「ユーザーが著作権に問題のないオリジナルアバターを手に入れ、クリエイターはその対価を受け取れる場所を提供すること」だとぴゅあ吉氏は語った。

 ただ、確かに課題は存在するが、イベント取材を通じて感じたのは、VRコミュニティが秘める可能性の豊かさだ。ぴゅあ吉氏は語る。

「VR空間上でのコミュニケーションはこれまでのものとは全く異なり、自分自身の名前や姿を自由に選択できるので、外見や性別、年齢、社会的立場等に関係なく友達を作って交流したり、バーチャル世界を観光したりすることが出来ます。

 さらに、VR空間では身振り手振りや細かなイントネーションも含めたコミュニケーションが取れます。これは人と人との関係においてとても重要な役割を果たす部分だと私は感じていて、これまでのインターネット上のコミュニケーションではこの部分がどこか抜け落ちてしまうという性質がありました。

支援額が3万円から200万円へ! VRイベント「クロスマーケット 2」が示すVRコミュニティの可能性―課題は著作権問題?の画像5

 その問題のないVR空間上でのコミュニケーションは、外見や性別、年齢に関係なくフラットな関係が築けるというメリットを純粋に活用することができます。これは多くの人にとって魅力的な要素になると思います」

 クロスマーケット2は明日、2021年2月28日(日)までの開催。VRコミュニティの「いま」を知るには格好のイベントだ。

<クロスマーケット2公式ページ>
https://id.pokemori.jp/cross-market2

小神野真弘(大学講師・ジャーナリスト)

ジャーナリスト。日本大学藝術学部、ニューヨーク市立大学ジャーナリズム大学院修了。朝日新聞出版、メイル&ガーディアン紙(南ア)勤務等を経てフリー。貧困や薬物汚染等の社会問題、多文化共生の問題などを中心に取材を行う。著書に「SLUM 世界のスラム街探訪」「アジアの人々が見た太平洋戦争」「ヨハネスブルグ・リポート」(共に彩図社刊)等がある。

Twitter:@zygoku

最終更新:2021/02/27 18:22
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