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『オモウマい店』、グルメ番組の先にある人間ドラマ! 元芸人が見たグルメ番組の裏側とは

ネタが飽和状態で“飽きフェーズ”に入るYouTube動画

 バズりそうな企画に飛び付き、急いで撮影して投稿する。流行りものはアクセス数も稼げるし、新規登録者を増やす絶好のチャンスだ。逆に流行りものをやらないと時代に乗れていないレッテルを貼られる。YouTuberは芸能人ではないが、動画投稿で生計を立てているならば、立派なフリーランスと呼べる。プロ顔負けの機材を使ったり、きちんとアクセス分析やマーケティングをしている人も多くいるだろう。

 しかし不思議なことに”ほかのYouTubeチャンネルとのバランス”を考えているYouTuberがいるようには思えない。もしかしたら皆無なのではないだろうか。

 似たようなコンテンツはよほど奇抜が、群を抜いて長けていない限り誰かのを1度見たら満足だ。

 稀に流行りには乗らず、唯我独尊、我が道を往く! つまり何を言いたいかというと、YouTubeも過去のテレビ同様”飽きられる”という危機に直面しているのだ。

 面白いのはここから。今、逆にテレビが復活しつつある。YouTubeもテレビもオワコンか。そう思った矢先、その思考を覆す番組に出会った。

『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(中京テレビ)だ。過去に「ウマい!安い!面白い!全日本びっくり仰天グランプリ」という特番を2回放送し、高い反響を得てこの春から、タイトルを変更し火曜日のゴールデンタイムに進出した。

 オモウマいとは、オモてなししすぎて、オモしろい、ウマいという意味。段々と注目を集め、今や大人から子供まで人気を博している。

 テレビの復活劇の前に、この番組について少々説明しよう。

 レギュラーはヒロミさんと、バイきんぐ小峠。レギュラーと言ってもVTR見ながらコメントする程度。番組の主役はお店で働く方々だ。

 基本的には関東近郊のお店を取材している為、時には『家の近くにそんな店があったのか!』とびっくりする事もあるとか。

 安いのは当たり前。全定食が500円か600円の2パターンしかない食堂や、ラーメン1杯200円の中華料理屋、さらには300円で天ぷら焼肉弁当を10年利益なしで販売している店まである始末。みんな揃って口にするのは利益よりもお客さんが喜ぶ顔が見たいと。これぞおもてなしの最高峰だと僕は思う。

 どこで何がどうなったのかわからないが、ラーメンを注文すると無料で小ラーメンがついてきたり、定食を頼むとライスお替り自由は当たり前、カレーや小鉢7品がサービスでついてきたり、6品注文して6品おまけしてくれるおでん屋、店で採れた野菜をお土産にくれる店まである。

 ここまで聞いて、さほど目新しい内容ではないと思う人もいるだろう。確かに今までにもユニークなお店を取り上げた番組は、星の数ほどあった。

 ではこの番組の本当の”売り”は何か。

 番組名にもある通り、ヒューマングルメンタリー。つまり造り物ではない、その店の店主や従業員の人間性や笑顔、常識を超越したサービスを始めた理由から垣間見える『人生そのもの』が視聴者の心を惹きつける。観終わる頃には、美味しそうな料理や破格な値段より、個性豊で温かい登場人物の顔が思い出されるのだ。

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