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『ねほりんぱほりん』香港のデモに参加した人「自由とは永遠の警戒心を持つこと」日本も対岸の火事じゃない

元・欅坂46のてちねるは“自由の象徴”

 ここで、話はガラッと変わる。なぜ、アンディさんとレオンさんが日本に来たかというと、それは日本のアイドルが好きだから。

 アンディさんの“推し”は欅坂46(現・櫻坂46)元メンバーの平手友梨奈と長濱ねるの2人だ。すると、「ねるちゃんは譲らないですよ!」と大声で口を挟むレオンさん。彼は、好きな番組に『セブンルール』(フジテレビ系)を挙げるほど筋金入りのねる推しである。推し被りし、同担拒否をする面倒な2人。

 急なドルヲタ告白に、こちらは親近感が湧きまくり。まさか、来日理由がアイドルだったとは! というわけで、欅坂46「二人セゾン」を熱唱し始めたアンディさんとレオンさん。もしや、2人は欅坂で日本語を覚えたのか?

 つまり、普通の青年なのだ。本当はこういう人たちである。でも、アイドルの話ばかりしていられない状況が香港にはあった。エンタメまで統制をう受けるような国で育てば、日本のアイドルが“自由の象徴”に見えてしまうのかもしれない。

「自由というのは永遠の警戒心を持つこと」

 アンディさんは日本への出国を父から反対されたという。世代的に日本へ悪感情があるし、香港の大企業へ就職する息子の将来を期待していた。

「でも、私は『香港でやりたいことなんかないよ。香港でぼくはゴミですよ!』と言ったんですね。そしたら、ビンタされたんです。大人になって初めて叩かれました」(アンディさん)

 研究者の道を目指しているアンディさん。でも、香港は国が学問に介入するため、自由な研究が望めない。全体主義に抗うには故国を捨てる必要があった。岐路に立っている今の香港、どの道に進めば正しいのかは誰もわからない。出発直前、父親はアンディさんに「これからどこでもちゃんと気をつけろよ」と声をかけたという。その声に振り向かず、「わかった」と一言だけ返したアンディさん。今の状況で香港を出ると、もうここに一生戻れないかもしれない。今生の別れだったかもしれないのだ。

 レオンさんには6年交際していた彼女がいた。共にデモに参加したこともあり、「一緒に香港を出よう」と誓い合ったこともあった。しかし、彼女は政府寄りの大企業に就職することが決まった。恋人の将来を案じたレオンさんは、自ら別れを告げたという。

「しょうがないと思う。彼女は政府寄りのエリートの道を選んだから。非難しているわけではなくて、むしろ香港にいる人にとってそれは一番無難な道なんです」(レオンさん)

 まるで、「いちご白書をもう一度」の世界だ。政府寄りのエリートとして自国で裕福になるか、裕福じゃなくても他国で自由に生きるか。弾圧から逃れ、自由があると信じた日本にやって来た彼ら。今の日本を2人はどのように感じているのだろうか? 

「自由というのは、永遠の警戒心を持つことですね。自由が脅かされる前に気付いて、ちゃんと声を上げる」(レオンさん)

 2人の話はまったく他人事じゃない。「おかしい」と感じることが大事だし、無関心になったら終わりである。自由はいつ奪われてもおかしくない。このテーマは1週前倒しにし、選挙前に放送してほしかった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/11/13 12:00
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