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『ねほりんぱほりん』マイ宗教で“神様”名乗る母、子の苦労「親を殺す、殺さないのレベルで悩んで」

母親を「めちゃくちゃいいバイト」として吹っ切れた

 治療前、アヤさんは母に反抗することができなかった。つまり、ただただ恨みを溜めている状態である。しかし治療が終わって1年後、アヤさんは母親と大ゲンカを繰り広げた。「母親は人であって神じゃない」と思えるようになったからだ。ある日、母から「あんた、仕事もいいけど結婚ちゃんとしなさいよ」と言われ、アヤさんはブチ切れてしまった。

アヤさん 「一体、誰のせいで結婚できないと思ってるの!? そもそもあなたがいるせいでうちは一家の恥を抱えているようなもので、あなたが霊だのなんだの言うから私は結婚する資格なんてないと思っていて、そんなに結婚してほしいんだったら早よ死ね!」
母 「そんな、そんなひどい。お母さんが、お母さんが悪いって言うの……?」

 今までメチャクチャだったのに、いざ娘が激怒すると母の立場を前面に出して被害者ぶるのは意外だ。いつもだったら「アヤに霊が憑いた、除霊しなければ!」となるところである。母が娘を1人の人間として見た初めて瞬間が、このときのケンカだったのかもしれない。しかし、翌朝起きると母はすべてを忘れ、アヤさんに普通に接してきたという。

「そういえばこの人、そういう一貫性ない人だったわと」(アヤさん)

 自分を変えることはできても、相手を変えることはできない。母はすでに違う世界に住んでおり、考える能力をとうに捨ててしまっている。そう思える境地へ、娘は辿り着いた。

 今のアヤさんにとって、母は“いい取引先”だという。衝動的な不動産購入癖を持つ母は物件を4~5軒所有しており、紛れもなく資産家だ。

「(母が)死ぬまでに何時間会わなきゃいけなくて、それにかかるコストを時給で換算したら『めちゃくちゃいいバイトじゃん! このバイトの時給はすごいぞ』って思えて。だから『私、お母さんいないと今の生活が成り立たな~い!』って、相当おべっかを使えるようになりました」(アヤさん)

「この手の人間からは距離を取ること」が最適解になりがちなのに、「時給のいいバイト!」と発想を転換できたアヤさんは前向きだ。これは、もはやキャバ嬢の考え方。つらさをお金に換算する考え方には邪気がいっぱいで、母の意思に完全に反しているのも痛快である。

「スヌーピーに『配られたカードで勝負するっきゃないのさ。それがどういう意味であれ』っていう台詞があるんですけど、今思うとすごい自分に当てはまるなと感じています」(アヤさん)

 でも、すべての人がアヤさんほどしたたかにはなれるわけではない。

「本当につぶれそうな人は(親と)絶縁したほうが絶対いいと思いますし、私みたいにお金につられてバイトする必要はないので。逃げられる人は逃げちゃったほうがいいと思います」(アヤさん)

「逃げたければ、逃げればいい」という彼女の言葉は、親に苦しめられた人にとって救いになるはずだ。番組冒頭で描かれた「逃げるは恥だが役に立つ」に、まさにつながる。

 今シーズンの『ねほぱほ』は、いつも以上に気合いが入っている。細木数子が亡くなった週にこのテーマが放送されるという巡り合わせも、持っている。コメントのみのゲストとして、大川隆法の長男で現在はYouTuberの大川宏洋氏出演も、実はわずかに期待していた。

(※著者の意向により敬称略としています)

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/11/19 20:00
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