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世界は映画を見ていれば大体わかる#31

『ハリー・ポッター』20年ぶりの同窓会がU-NEXT配信!ファンに魔法をかけるにくい演出

ハリ―、ハーマイオニー、ロンの再会にもにくい演出が

 ラドクリフ、ワトソン、そしてロン役のルパート・グリントはグリフィンドール談話室で20年ぶりに再会する。

 オーディションでは候補者たちが、3人のチームを組まされスクリーン・テストを受けていた。当然ハリーたち3人組のテストだがワトソンは「この3人の時は何かが違ったし、自然と息があっていた」と振り返る。

 始まった第1作目の現場でコロンバスは、子供たちが楽しく撮影することを心掛けた。子役たちはなかなか撮影に集中してくれなかったが、子役に対する扱いが上手いコロンバスは終始子供たちをリラックスさせ、子供たちの父親のように振る舞った。

「おかげで仕事だと感じずに子供でいられた。働いた記憶がない」(トム・フェルトン)

 コロンバスが1、2作目で監督をして、子役たちを和ませていた功績は重要だ。なにしろ大人の役者たちはみな英国を代表する名優たちなのだから。

 ダンブルドア校長役リチャード・ハリス、グリフィンドール寮監マグゴナガル役マギー・スミス、スネイプ先生役アラン・リックマン……映画ファンなら誰でも知っているような名前が揃い、コロンバスは子役たちが委縮しないよう指導し、役者たちも茶目っ気な態度で子供たちに接したという。

 1,2作目は大成功を収めたが、コロンバスはここで降板。3作目『アズカバンの囚人』はよりダークな物語になるため、メキシコ人のアルフォンソ・キュアロンが起用された。

 本作から登場する重要人物シリウス・ブラックには、クセのある悪役演技で知られるゲイリー・オールドマンがキャストされる。オールドマンは深刻でシリアスな物語に惹かれて出演を決める。キュアロンも3作目の物語を「子供から大人の入り口に差し掛かる」と評し、それに照らし合わせた表現に挑む。この起用はピタリハマっていたと言える。

 ほかにもデイビット・シューリス、ティモシー・スポールといった大物俳優らを演出でき、キュアロンにとってまたとない時間だっただろうが、ラドクリフはどうだったかというとすでにシリーズ2作品を経て14歳になっており、単なる子役ではなく、オールドマンら名優を相手に張り合える仕事をしていた。

 3作目は前2作以上に評価され、キュアロンはこの一本だけで降板するが、後に『トゥモロー・ワールド』でアカデミー賞ノミネート、『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞を受賞。彼が大監督として評価を高めたきっかけは『アズカバンの囚人』だといってもいいのでは。

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