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ロシアのウクライナ侵攻に韓国人の憂鬱…中国が国家ぐるみで韓国文化を標的に

ロシアのウクライナ侵攻で韓国人の憂鬱 中国が韓国文化標的と先にある危機の画像1

 ロシアがウクライナに侵攻開始したことを受け、韓国の知識人やメディアの一部からある懸念が発せられている。「仮にロシアがウクライナ侵攻を成功させてしまえば、中国が欧米の対応能力の限界を見極めて、東アジアに対する影響力をさらに拡大してくるのではないか」というものだ。

 中国がここ数年、香港や台湾などに対して影響力を露骨に強化している動きは改めて書く必要もないだろう。ここにきて、今回のロシアのウクライナ進攻。欧米諸国が対応に追われる軍事的・政治的隙間を狙い、中国がさらに同地域に食指を伸ばすかもしれないという分析が、世界と同様に韓国でも登場している。

 そして韓国国内の懸念は、他国の悲劇的なシナリオにとどまらない。いずれ、「自分たちにも火の粉がふりかかるかもしれない」という危機感が、にわかにリアリティを持って醸成されつつある。

 中国国内では「東北工程」など国家による歴史修正主義的な動きに続き、近年では「中国キムチ起源論」や「中国チョゴリ起源論」など、韓国文化を標的にした修正主義がSNSなどを通じて社会に広く浸透し始めている。しかもこれらが中国の一部のネトウヨの活動ではなく、国家プロジェクトの延長にあるということも知られ始めており、韓国社会では中国の露骨な覇権主義に対する懸念が日に日に高まってきた。

 さまざまな韓国知識人の主張をみるに、ウクライナ問題を端緒に「中国が韓国に露骨に影響力を強化することは起きない」という考えが趨勢だ。一方で、「北朝鮮の体制が不安定になれば話は別」という議論が登場している。

 慶煕大のチュ·ジェウ教授は「体制崩壊など北朝鮮で事態が急変すれば、状況が大きく変わる」と警告。現在、北朝鮮で事態が急変した場合、韓国と米国が北進して介入するというシナリオが韓米連合司令部の作戦計画となっているが、それに対して中国が「朝鮮半島に居住する中国人の安全を確保する」という名分を掲げ、介入してくる可能性があるというのだ。なお、韓国国内には、約100万人以上の中国籍者がいる。

 チュ教授は目前に控えた大統領選挙の結果も注視すべきだという。文在寅政権に続き、中国を重視する候補者が当選した場合、より事態が複雑になるからだ。台湾問題などを取り巻き緊張感が高まった場合、軍事的に米国、経済的に中国に依存する韓国は、“踏み絵”を迫られる可能性がとても高い。直接的に進攻はされなくとも、国際政治・経済のなかでより難しい選択を迫られることは避けられないだろう。

 ロシアのウクライナ進攻に関しては、世界の多くの研究者やジャーナリスト、また経済評論家たちは「起きない」と高を括っていた。世界情勢のバランスの変化や、ロシアの自信を見誤った結果だ。そして、コロナ禍やエネルギー問題などを経て、ロシアの進攻開始により、他地域で紛争・戦争が連鎖的に起きる可能性は格段に高まってしまった。

 なお、中国が韓国について積み上げている歴史修正主義的な議論は、ロシアがウクライナに、そして日本に対して行っている口実づくりと酷似している。ウクライナ人評論家のナザレンコ・アンドリー氏は最近、ロシアが「アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する考えを示した」事実を強調した上で、「自国民保護」という名目で北海道に乗り込んでくると警告を鳴らしている。

 そのロシアの議論や氏の言説の正しさは問題ではない。問題はいつでも侵攻できるように、国民を動員するイデオロギーや免罪符をすでに仕込みはじめているということだ。

 韓国の懸念は、日本にとって、また大国から目をつけられた多くの国々にとっても、決して対岸の火事ではないのかもしれない。

与良天悟(芸能ライター)

1984年、千葉県出身のウェブメディア編集者。某カルチャー系メディアで音楽や演劇を中心にインタビューなどを担当するほか、フリーで地元千葉県の企業の記事なども請け負っている。

よらてんご

最終更新:2022/03/02 08:00
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