日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 山下達郎インタビュー、番組史上最高の回

山下達郎インタビュー回が『関ジャム』史上最高。なぜ、彼は「売れよう」と思ったのか?

「真面目に考えなくていいの、たかが音楽なんだから!」の真意

――めちゃくちゃ面白い話ですね(笑)。いやあ、ありがとうございます!

「誰も言わないですか、こういう話?」

――ここまでの話は……。歴史の中での作品っていうポイントは、あまり番組では。その曲についての背景の話はありますが。

「ほら、ソロ作品を出して世の中でそういう存在(メジャー)になりたいと思ったことは僕は1度もないんで。いつも言ってますけど、レコードプロデューサーになりたかったんです。レコードを作る1つの法則性にものすごく興味があったんで。あと、『それを使えば人の才能にプラスアルファつけられるだろう』『今のシーンの中でこの音楽がどういうスタンスで、どういう位置づけなのか』っていうね。自分のことに関しても人のことに関しても、常にそういうことしか考えてきませんでしたので。『俺はこの気持ちを歌にして』とか、そういうんじゃないんで(笑)。構築の動機が違うんですよ」

 あえて名前を出すと、長渕剛的な性格のミュージシャンではないということ。山下の楽曲は「俺」「私」が主人公なのではなく、遠くから風景を見るような俯瞰的な感触がある。もちろん、それは音楽家としての立ち位置としても同様。山下はプロデューサー目線で活動するミュージシャンだ。彼がプロデューサーになった世界線も見てみたいと思った……いや、プロデューサー・山下達郎の最高傑作が、竹内まりやだったということか。

――ぶっ通しでお話を聞いてきちゃったんですけど、いったんブレイクします?

「別にいいですよ。大丈夫ですよ。そちらが疲れていなければ」

――いや、僕らは……(笑)。

「……みんな、真面目に考えてんだなと思って(笑)。そんなに真面目に考えなくていいの、たかが音楽なんだから!」

 これだけ理論的に語り、自分はめちゃくちゃ真面目に考えているくせに、「たかが音楽」と言えるカッコ良さ。これは本音なのだろう。「そんな、高尚なモンにされても困る」という意味で、肩肘張るなと彼は伝えたかった。自分が突き詰めるのは、たんに好きだから。達郎が言うから、響く言葉だった。

『関ジャム』史上、1番面白い回だった。『サンデー・ソングブック』でさえ、ここまでまくし立てて話さない。いつもはもっとゆったり話すし、ジョークも頻繁に飛ばす。ぶっ通しで語ってくれた達郎だが、こっちもぶっ通しで聞きたかった。あと、聞き手になったスタッフも良かった。よく引き出していたし、達郎との相性も合っていた。

 本日の『関ジャム』は、山下達郎インタビューの後半戦。この番組でたまにある“当たり回”なので、今夜の放送も楽しみだ。今回はジャニーズ提供曲(KinKi Kids「硝子の少年」など)や、竹内まりやのプロデュースについて語ってくれるらしい。

 Yahoo!ニュースのインタビューで、キンキに「これ(「硝子の少年」)は君たちが40になっても歌える曲だから」と伝えたエピソードはすでに読んだが、それ以外の話も出るだろうか? また、近藤真彦「ハイティーン・ブギ」について触れてほしいと思ったりもする。

 いずれにせよ、テレビではまず流れないような話ばかりである。素直に、いい番組だ。

 

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/06/26 20:00
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