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カベポスター『ABCお笑いグランプリ』優勝! “インテリ芸人”が大阪で強い理由と弱点

カベポスター『ABCお笑いグランプリ』優勝! インテリ芸人が大阪で強い理由と弱点の画像1
『カーネクスト Presents 第43回ABCお笑いグランプリ』公式Twitter(@abcowaraigp)より

『第43回ABCお笑いグランプリ』の決勝戦が7月11日に開催され、吉本興業大阪所属・カベポスターが優勝した。同大会で過去に2回の準優勝を経験する2人にとっては、まさに悲願の達成だ。さらにカベポスターは、今年3月に開催された『ytv漫才新人賞』でも優勝しており、2冠となる。

「カベポスターが決勝戦で披露した2本は、ともにしゃべくり漫才。比較的抑えたトーンでありながらも、他に類を見ないロジカルな話の展開が持ち味のコンビです。ボケ担当・永見大吾は三重大学工学部卒、ツッコミ担当・浜田順平は大阪市立大学法学部卒と、大卒インテリコンビらしいネタが特徴的ですね」(構成作家)

 今回の『ABCお笑いグランプリ』では、カベポスターのほかに、現役の弁護士でもあるピン芸人・こたけ正義感と、慶応大学出身(中退含)コンビの令和ロマンという、インテリ芸人たちが続々とファイナルステージに進出した。

「最近は、本当に大卒インテリ芸人が増えていて、なおかつ賞レースでいい結果を出しています。というのも、ここ10年ほど前から大学のお笑いサークルの大会が盛り上がっていて、サークル内でネタ作りのシステムが研究されまくっているんです。学生時代にすでにネタのシステムを修得しているお笑いサークル出身芸人は、デビュー時点でかなりのアドバンテージがあるんです。

 また、ネタ作りはいかに基本のシステムを理解して、それを応用させるかが勝負。大学受験に近いと見ることもできる。だから、高学歴芸人のほうがネタ作りを修得する速度が早いとされています。もちろん、センスの部分はまた別の話ですが、テクニックをうまく駆使できるインテリ芸人が増えているのは事実でしょう」(同)

 在阪のお笑い賞レースの場合、インテリ芸人が有利な面も多いというが、『M−1グランプリ』や『キングオブコント』などの全国区のお笑い賞レースの場合は、必ずしもそうではないという。

「在阪の賞レースは、知名度や話題性よりも、純粋にネタのクオリティーで評価して、決勝進出メンバーが選ばれることが多い。だから、バラエティー番組にはあまり出ていない東京のインテリ芸人が、いきなり大阪の賞レースで爪痕を残すというケースもあるんですよ。ナベプロ所属のこたけ正義感などは、まさにその例と言えるでしょう。

 一方、M-1やキングオブコントは、全国ネットのゴールデンタイムに放送されるということもあり、少なからず“テレビ的な要素”が考慮されやすい。世間的な知名度や、大会におけるそれまでの戦績、さらには、そのキャラクターがテレビ的に映えるかどうかなどが審査に加味されることが多いんです。そういう意味では、単純にネタ作りがうまいインテリというだけでは、『M-1』や『キングオブコント』では結果を出せないんですよね。昨年の『キングオブコント』で空気階段が優勝し、M-1で錦鯉が優勝したのも、彼らのキャラクターや話題性が、おもしろさを増幅させたという側面もあるでしょう」(同)

 つまり、ネタ一点突破だけでは勝ち上がれないのが、『M-1』や『キングオブコント』ということだ。では、その点、カベポスターはどうか?

「ネタだけなら、『M-1』の決勝に進出しても遜色ないクオリティーですよ。ただ、キャラクターがまだ広く知られていないということがデメリットになる可能性はある。だから、今回の『ABC』での優勝を足がかりに、東京のネタ番組などにも積極的に出演していくことが重要になるでしょう」(同)

 ミルクボーイのように、全国的な知名度がまったくなくても、一発のネタのおもしろさで優勝したコンビもいるが、それはレアケース。カベポスターが全国区で結果を出し、爆発するためには、ぜひもうワンステップを踏んでほしいところだ。

 

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2022/07/13 20:00
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