イジリー岡田、『ギルガメ』終了で”エロ”封印から役者としても開眼

「イジリーは伝統芸の領域」封印したエロネタを再開したわけ

――番組終了後、イジリーさんはエロを封印されましたね。それはどうして？

イジリー：『ギルガメ』の視聴率がすごすぎたんです。深夜1時から2時の枠で最高視聴率9.4％ですから。しかも1本の深夜番組が終わっただけで、次の日のスポーツ新聞全紙が「ギルガメさよなら」「ギルガメ最終回」「涙のギルガメ」という見出しをデッカく出すほど。途中でレギュラー陣もコロコロ変わっていったんですけど、そんな中で長く出演していたのが僕だけだったから『ギルガメ』＝イジリー岡田になっちゃったんですよ。そうすると番組終了後もエロのイメージが強すぎて、朝の番組もお昼の番組も出演NG。夜ですらダメ。深夜しか仕事が取れない。もはや生きていくためには、エロを封印するしかなかった。

日刊サイゾー

――生きていくためにエロをやるしかなかったのから、今度は生きていくためにエロを封印せざる得なくなった。

イジリー：でも、良かったんですよ。『テツワン探偵ロボタック』（テレビ朝日系）って子供番組に山茶花三郎という役で出ることができて。イベントに行くと、お母さんとお子さんが「山茶花さんだ！」と言ってくれた。自分の中では「これこれ！こういう風に変わっていきたいんだよ」っていうのがあったんです。それで僕も事務所も「もうエロの仕事は辞めよう」となったのが33歳の頃。

　他にも日テレでお世話になっているプロデューサーさんがいて。そんな僕を、日曜の昼に放送していた堂本光一くんの番組『ピカイチ』（日本テレビ系）に呼んでくれたんです。まだジャニーズJr.だった村上（信五）くんや横（横山裕）とかもいて。ジャニーズとイジリーを合わせることが考えられない時に、機会をくれる方がいた。そうすると、世間のイメージも変わってくるじゃないですか。「すごくいい感じだな」と思ってた時に『アメトーーク！』（テレビ朝日系）出演の話がきたんです。アイドルの楽屋へ行って私物をチェックして、いろんなものを舐めるっていう。

――再びエロの仕事が舞い込んできた。

イジリー：マネージャーさんには「またエロのイメージがついちゃうし、1回きりにしましょう」と言って出演しました。でもね、スタジオの反応がすごかったんですよ。収録後に雨上がり（決死隊）とかチュートリアルの徳井（義実）くんとか、全然交流のない芸人さんたちも、みんなが「最高に面白かったです！」と僕の楽屋に言いに来てくれたんです。嬉しかったけど、心の中では「これ1回限りなんだよ、ごめんなさい」と思っていて。

――決意が固まっていたわけですからね。

イジリー：それから1週間後ぐらいかな？　テレビ局のメイク室で出川（哲朗）さんと会ったんです。出川さんが「イジリーくん、『アメトーーク！』見たよ！面白かったよ！」と声をかけてくれて。「ありがとうございます。でも僕は1回きりって決めたんで。アレが最後なんですよね」と言ったら「何言ってんだよ。駄目だよ、やんなきゃ。イジリーくんはエロのイメージが嫌かもしんないけど、もう一周してるんだから。もはや伝統芸なんだから、やんなきゃ駄目だよ」って。「普通は男も女もリアクションが一緒になるけど、イジリーくんの芸は男がウオーって喜んで、女の子がキャーって引く。違うリアクションが同時に生まれる。そんなこと滅多にないからやんなきゃ駄目だよ」と言われて。そこで納得したんですよね。

――そこでエロ芸を再び始めたと。

イジリー：伝統芸と言ってくれたのが大きかったです。エロいとか気持ち悪いとかって言うんじゃなくて、エロは俺にしかできない伝統芸なんだと。この日本の芸能界でベロだけで仕事をする人そういないよなと思って。あ、それだったらやれるなって思えた。だから、出川さんには救われましたよね。あの1言がなかったらやってなかったです。