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横山やすしがもしも現代に生きていたら…?「飲む打つ買う」がTHE芸人だった時代

社会の枠にハマらない芸人が“天才”の枠にハマり…

 横山やすしが楽しそうにしていると、視聴者も楽しい気持ちになってしまう。

 横山やすしが屈託のない笑顔を見せると、視聴者もつられて笑ってしまう。

 これはひとえにやすしさんには良くも悪くも裏表がなく、心から楽しんでいる、心から笑っているというのが視聴者に伝わるからだ。

 彼は良く「天才」と称される。それは漫才が上手いからでも、喋りが達者だからでもなく、子供の心を持ったまま大人になれたからだろう。一般的な人なら社会に溶け込むために、マナーや礼儀を身につけてちょっとずつ大人になる。つまり子供の部分を少しずつ捨てていかなければならない。そして気が付くと悪目立ちしない、周りに溶け込む人間が形成される。

 しかも今のように個性を尊重する時代ではなかったので、余計に個性を抑え込む必要があった。どれだけ怒られようが、どれだけ迷惑をかけようが、横山やすし最大の魅力である子供らしさ、ピュアさを失わないでいられたのが、まさに生まれつき備わった優れた才能、つまり天才の部分だったのではないだろうか。

 ただその純粋さが彼の人生を狂わせたのも事実だ。

 芸人とは「飲む打つ買うの三拍子をしなければならない」という固定観念にとらわれてしまい、決して強くもないお酒を飲み、暴行事件や仕事に穴を開けることもあり、最終的に飲酒運転で人身事故を起こしてしまい事務所を解雇されてしまう。

 解雇された心境をインタビューされている映像が流れていたが、涙をこらえながらインタビューを受けるその姿は、自分への不甲斐なさを悔やんでも悔やみきれないという雰囲気を醸し出していた。

 そんなやすしさんがとある質問で号泣した。

 その質問とは「やっさん、もう漫才はしません? やらない?」というものだった。漫才という言葉を聞いた瞬間に顔を歪め、息を詰まらせ、それまでこらえていた感情が一気に溢れだした。そして一言「やめる」と。やすしきよしはどれだけ売れても舞台に立ち漫才をし、さらにはやすしさんの謹慎後や西川きよしさんの選挙後にも復帰漫才を披露していた。つまり漫才とはやすしきよしの根幹であり根源なのである。それが出来なくなるというのは想像を絶する喪失感に包まれたことだろう。

 やめると言った後、しばらく沈黙があり、涙を拭き「誰が負けるか」と。元来の負けず嫌いが顔を見せた瞬間だが、この負けず嫌いがもっと良い方向へ動いていたら、本能からくる誘惑に乗らず、おそらくもっと漫才を続けられた。ただそんな横山やすしは横山やすしでは無いのかもしれない。

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