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泣くな、岸田君!宏池会の憂鬱(3)

即断即決できない岸田首相、安倍元首相銃殺と日本社会党・浅沼稲次郎刺殺との共通点

即断即決できない岸田首相 全てが後手後手に

 安倍元首相に対する国会での追悼演説も二転三転した。当初、自民党は8月の臨時国会で甘利明前幹事長が行うことで調整を行っていたが、通常、総理大臣経験者に対する追悼演説は野党第一党のリーダーが行うことになっていたから、野党のみならず自民党内からも反発が出て先送りとなった。

 結局、立憲民主党の野田佳彦元首相が今月下旬の衆議院本会議で追悼演説を行うことで落ち着いたがあまりに時間がかかり過ぎた。

 対照的に、浅沼稲次郎が死去してからの池田内閣は電光石火の如く動いた。事件発生から5日後の10月17日に召集された臨時国会で池田首相自らが追悼演説を行うことを決めた。

 翌18日午後から開会された衆議院本会議で、池田は登壇し、「日本社会党中央執行委員長、議員浅沼稲次郎君は、去る十二日、日比谷公会堂での演説のさなか、暴漢の凶刃に倒れられました」と追悼演説を始める。

「君は、また、大衆のために奉仕することを、その政治的信条としておられました。文字通り東奔西走(とうほんせいそう)、比類なき雄弁と情熱をもって直接国民に訴え続けたのであります」と浅沼の政治姿勢を讃えると、「沼は演説百姓よ よごれた服にボロカバン 今日は本所の公会堂 明日は京都の辻の寺」という大正末期の日本労働党(日労党)結成時に浅沼の友人がうたった詩を読み上げた。

「委員長となってからも、この演説百姓の精神は、いささかも衰えをみせませんでした。全国各地で演説を行う君の姿は、いまなおわれわれの眼底にほうふつたるものがあります」。

 会場は静まり返り、池田の演説に涙を拭う社会党議員もいたという。池田の言葉は歴史に残る追悼演説となった。

 歴史に残る追悼演説を残した宏池会の創始者と、追悼演説の段取りすらままならない現在の会長を比べるのは酷かもしれない。しかし、要人殺害という政治的テロに直面した時の対処の有り様は、どちらの宏池会のリーダーが危機に際し、日本を率いる指導者に相応しいのかを如実に語る。

参考文献:『テロルの決算』沢木耕太郎(著)文藝春秋

 

 

会社員兼フリーランス・ジャーナリスト。政治、経済、社会ネタを気の向くままに執筆

みつけたろう

最終更新:2022/10/25 06:00
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