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元芸人が今年もM-1グランプリ全ネタ解説!

山田邦子の批判受ける「おもしろいです」批評の理由とM-1全ネタレビュー

ウエストランド優勝は、事務所の後輩・キュウのおかげ?

10組目 ウエストランド ファーストステージ・ファイナルステージ「あるなしクイズ」

 最後に登場したのは2020年のファイナリストで2年ぶり2度目の決勝戦進出を果たし、今回の「M-1グランプリ2022」の頂点に立ったウエストランド。結構若手の頃からテレビなどに出演し、その実力は広く知られていたがなかなか冠を手にすることが出来なかった。結成14年目にしてとうとう「M-1グランプリ王者」という最高の称号を手に入れた。

 ファイナルステージへ行った芸人の場合、2ネタの感想を書いているのだが、ウエストランドの場合、どちらも同じ「あるなしクイズ」のネタでさらに順番もファーストステージの最後、ファイナルステージの最初だったので続けて行ったので長尺のネタを1本見たと錯覚してしまうほどだった。

 なのでまとめてレビューさせてもらおうと思っているのだが、今回ウエストランドさんが優勝出来た理由はまさに「運」が味方したからだ。

 もちろんウエストランドに優勝するだけの実力があるのは知っている。しかし今大会は決勝戦に進出したどの芸人にも、優勝するチャンスがあったほど実力が拮抗していた。その中でウエストランドが飛びぬけたのは、他の芸人より「運」をもっていたからなのだ。

 本来なら不利な状況にもなりえる大トリという順番も、今回に関しては最高に良い順番だった。ひとつ前のキュウは比較的静かな漫才で、その後にウエストランドのような声を張り上げるようなネタをした場合、声量だけでも面白く感じてしまうものなのだ。さらにキュウの披露した、台本がきっちり決まっている漫才の後に、アドリブが強く見える漫才を披露したのも臨場感が強く出てお客さんが惹きこまれてしまう。

 言い方は悪いが今回に関しては、キュウの後だったことが全て、良い方向へ動いたのだ。

 さらに続けてネタをしたのもラッキーだった。続けてネタをするというのは芸人にとってかなりの負担で、これもマイナスに働いてしまうことがあるのだが、今回の場合はウエストランドがテンションそのままに、入りから笑いを起こし、そしてファイナルステージのネタと変わらない高いクオリティの漫才を披露したことにより、笑いにリセットがかからず、長時間笑っているような印象になるのだ。

 これを1本のネタと考えたときにファイナルステージへ通過した2組に比べると倍くらい長いネタをしていることになる。少しでも長い時間笑わせ続けた方が有利になるのは間違いなく、全ての順番が有利に働いた、というわけだ。

 さらにネタの内容も頭を使わせるようなネタではなく、お客さんも頭の片隅で思っているようなことを羅列していくネタだったので、共感性が高まり仲間意識が強くなる。そうなると笑い声もどんどん大きくなり、会場に一体感が生まれるのだ。

 やはり、笑い声というのは審査するうえで最も重要なポイントで、どれだけネタが優れていようがお客さんの笑い声を生みだせないのなら意味はないのだ。今大会で一番大きな笑い声を巻き起こしたウエストランドの優勝は、当然の結果と言える。ボケもツッコミも大声も展開も裏切りも何もかも一人でこなすという漫才の概念からは程遠い邪道漫才が優勝したのは、彼らの努力してきた結果であり、信念を貫き通した芸人の集大成であった。

 2年前の決勝戦で9位というウエストランドの結果に不満を持っていた僕としては、大満足の結果である。おめでとう。

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