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元芸人が今年もM-1グランプリ全ネタ解説!

山田邦子の批判受ける「おもしろいです」批評の理由とM-1全ネタレビュー

男性ブランコ、漫才師らしからぬ見事な“身体表現力”

5組目 さや香 ファーストステージ「免許返納」

 2017年の決勝戦以来、ネタに改良を重ねて5年ぶりの決勝進出となった。さらに今回はファイナルステージにも勝ち進み、前回の決勝7位と比べてもその実力が上がったことも目に見えてわかる。さや香さんは勢いのあるベタなしゃべくり大阪漫才で、ネタの勢いは今大会随一だった。とくにファーストステージのネタは冒頭からエンジン全開で、その勢いのままネタの最後まで走りぬいたので、漫才の見せ方としては完璧に近かったのではないだろうか。

ファイナルステージ「男女の友情は成立する」

 出だしで少し噛んでしまい、緊張感なのか、疲労感なのか、お客さんが何かしらの違和感を感じてしまい空気が悪い意味で変わってしまった。さらにネタの内容が万人受けするものではなく、嫌悪感を抱く人もいるようなもので、ファイナルステージのネタは出来れば、万人受けするものの方が良かった気がする。

 ファイナルステージのネタも十分面白かったのだが、ファーストステージの漫才が完璧に近かったので「もっと笑わせてくれるんじゃないか」というハードルが上がり切ってしまった気がする。

 さらにボケの質がファーストステージに比べるとボケボケしていないので、笑える人と笑えない人が出てしまうものだったのも惜しい点だ。やはり漫才はボケとツッコミが明瞭な方が見ていて爽快であり、本能で笑う事が出来る。もしファーストステージのネタをファイナルステージでやっていたら果たしてどうなっていたのか。もしもなんて無いのだが、ついそう考えてしまうほど勿体ないという気持ちになってしまった。

6組目 男性ブランコ「音符運びをやってみたい」

 今回M-1グランプリ決勝初出場。「キングオブコント」でもファイナリストになっていることから、こちらもロングコートダディと同じように現代を象徴するハイブリット芸人だ。キングオブコントでの印象が強いのか、初登場なのかと驚いてしまった。

 今回のネタはお客さんの想像力を使うタイプの漫才で、さらにパントマイムの上手さが鍵となるネタ。どことなくバカリズムさんの都道府県の持ちかたを彷彿とさせてしまう部分があるので、ネタの設定としては少々勿体ない気がしたのだが、持ち方だけで遊ぶわけではなく、運ぶ際に必ずハプニングが起きてしまい、その部分がボケの主軸となっていくので、設定を越えていく面白さがあった。

 一番驚いたのは、お2人のパントマイムと表現力だ。多くの漫才師は体の使い方を研究していない。それもそのはずで、漫才というのはセンターマイクを挟んで会話をするという形がスタンダードで、霜降り明星さんのように縦横無尽に暴れまわるスタイルの方が少ない。会話を主体とするので、声の表現力や間の取り方に注視してしまい、体の表現力はおろそかになりがちだ。

 しかし男性ブランコのお2人は大学の演劇サークルで出会っており、演劇を勉強していた。演劇では体の表現力も芝居の重要なファクターだと言われている為、ほかの芸人よりも動きを勉強してきたのではないだろうか。それが活きたネタだった。体を使うネタは雑になればなるほど、笑いが起きにくい。ここまで丁寧に表現できるのは大したものだ。ネタの見せ方がオムニバス形式だったので、これがもっと繋がっているようなネタならば、お客さんのテンションにもリセットがかからず、もっと笑いが増幅したはずだ。

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