世界は映画を見ていれば大体わかる #42

『アバター』大丈夫? やっぱり『2』は鬼門! 大ヒット作の大失敗続編たち

文=しばりやトーマス(しばりや・とーます)

『アバター』大丈夫? やっぱり『2』は鬼門! 大ヒット作の失敗大失敗続編たちの画像1
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』20th Century Studios. 公式サイトより

 世界歴代興収ランキングの1位に輝いているジェームズ・キャメロン監督の『アバター』。待望の続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が公開中だ。映画史上空前の予算がかけられているといわれる本作の製作費は、一節には約2億5000万ドル(約347億円)とも言われており(キャメロン監督は否定している)、利益を出すのに興行収入で20億7000万ドル(約2874億円)を超える必要があるとされる。これは世界歴代興収ランキング5位の『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』を上回る必要がある。世界5位以上に入らなくちゃいけないってこと!

 映画製作の現場を描いたマンガ(映画にもなった)、『映画大好きポンポさん』の第2巻には「映画の続編」について語られている部分がある。

「最初の作品は監督やプロデューサーがこの企画を何としても映像化したいぞ!っていう情熱から生み出されることが多いけど」
「続編映画っていうのはなによりもまず観客の要望に応えて……製作される物なんだから」
「総じて続編映画というのは作品というより商品と呼んだ方がいいかもね」
「作品は崇高で続編は俗物……なんて上下をつける話じゃなくて生み出される経緯のことね」
「だからいかに大勢の人に見てもらえるか 如何に大勢の人に楽しんでもらえるかっていうのが続編映画に与えられた使命な訳よ」
「つまり興行収入の高い続編映画が良い正しい続編映画」

 これは「続編映画には大衆性が必要」ということだ。

 昨今の映画作品は一作目の時点でトリロジー(3部作)が想定されているものも多いが、かつて続編というものは一作目が興行的に受けたので、という前提条件の上つくられるものだった。

 映画評論家の故・水野晴郎先生は映画がシリーズ化される条件に「2作目がヒットすること」をあげていた。最初の「続編」がヒットすれば次もある。例えば『エイリアン』『ターミネーター』『インディ・ジョーンズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は2がヒットしたので3、それ以降もつくられた。

 ここではそんなシリーズ化を目論みながらも失敗してしまい、後が続かなかった「続編映画」の一部を紹介したい。

『グレムリン2』「なんでもやっていい」と言われた監督がやったむちゃくちゃ企画

 1984年にヒットした映画『グレムリン』の続編『グレムリン2 新・種・誕・生』(1990)は、アメリカ国内の興行収入で製作費を回収し、お釣りが出る大ヒットを記録。ワーナー・ブラザースはすぐさま続編をつくろうとしたが、監督のジョー・ダンテは続編なんか興味ないよと企画から離れた。ワーナーはダンテ以外の監督を探しつつ、続編の構想を練ったがどれもこれも上手く進まなかった。

 結局、「上映時間2時間以内なら何をやってもいいから」という条件でダンテに監督させることに。ダンテは「何やってもいいんだな?」とやりたい放題の限りを尽くした。

 映画が始まるとワーナーのアニメ『ルーニー・テューンズ』のキャラクター、バッグス・バニーから主役の座を下ろそうとライバルのダフィー・ダックが「君は50年間も主役だったんだから、もういいだろ! これからは僕の時代だ!」とタイトルロゴから引きずり下ろす。ドタバタを繰り広げた後「僕のマンガはもういいって? じゃあ本編だよ!」と映画が始まる。

 1970年代に入るまで、ワーナー映画には前と後ろにルーニー・テューンズの短編アニメがついており、バッグス・バニー好きのダンテは強引にそれを復活させた。

 前作の人間側の主人公、ビリーと恋人のケイトはニューヨークで暮らしている。勤め先は不動産王ダニエル・クランプの超高層ビル、クランプ・タワー。もちろんドナルド・トランプのパロディ。ビリーは会社では無能扱いされて上司から説教の毎日。

 ギズモはチャイナタウンで暮らしていたが、骨董屋の主人ミスター・ウィングが亡くなり、店はクランプの再開発によって取り潰し。タワーに連れ来られたギズモは実験動物にされていたところをビリーに救われるが、うっかり水をかけられてしまって増殖。狂暴なグレムリンたちがクランプ・タワーをパニックに陥れる。

……という、前作の定番をなぞりつつ、グレムリンの設定にも茶々を入れる。

「真夜中すぎにエサをやるとサナギになって狂暴化する」というと「夜の前に何かを食べてカスが歯に詰まってそれが真夜中に取れたら?」「飛行機に乗ってて日付変更線を越えたら? どこかは真夜中だ」と重箱の隅をつつきまくる。

 劇中『ムービー・ポリス』という映画番組が放送されるが、出演している映画評論家が『グレムリン』を徹底的にこき下ろす。

「こんなの見るぐらいなら歯医者の治療にいった方がマシ!」「ブサイクな性悪の小悪魔が人を襲うの、どこが楽しいんです?」

 その瞬間、潜んでいたグレムリンが評論家を襲撃。「ウソウソ!この映画は10点満点だよ!」彼は本物の映画評論家レナード・マーティンで実際に『グレムリン』公開時に同作品をボロクソに貶していたのだった。

『グレムリン』上映中の映画館に忍び込んだグレムリンたちは映写室を乗っ取って、代わりにポルノを上映する。

「なんてこと!パート1りひどいわ!」

 親子連れの抗議を受けた支配人は客席にいるハルク・ホーガンに「なんとかしてください」と頼む。「さっさと『グレムリン2』を再開しろ! そっちに乗り込むぞ!」と一括するとさすがザ・ハルクには勝てないのか、おとなしくなるのだった。

 前作の泣けるところなのか、笑っていいところなのか理解に苦しんだケイトの過去のトラウマ話は今回もあり、それはリンカーン大統領の誕生日に近所の公園にいったらコートを着たリンカーンそっくりのおじさんが声をかけてきて……ってあまりにひどいギャグなのでビリーが「その話は止めとこう」って遮るの。

 ラストは嫌味な上司と女グレムリンが結ばれてハッピーエンド(どこが)。エンドロールの最中にはダフィー・ダックが現れて「長いね」「バカみたい。いつまで見てんの?帰る家ないの?」とグサッとくるひとことでようやくエンドマーク。

 やりたい放題の限りを尽くしたこの続編は、本国だけでは製作費も回収できないほどコケてしまった。ギズモのキャラクターグッズは今も人気だけど、映画のシリーズ化は打ち止められた。ありきたりな続編をやるぐらいなら、自分の好きなことをやりたい放題やって玉砕する道を選んだダンテ、嫌いじゃないよ。

……ところが、来年には前日譚アニメと続編の制作が予定されているとのこと。さすがにダンテはもう関わらないだろうけど……。

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