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米国発の金融危機が現実に?ビッグマックの店舗ごとの価格がわかる電子地図が登場

米国発の金融危機が現実に?ビッグマックの店舗ごとの価格がわかる電子地図が登場の画像1
ビッグマック(「Wikipedia」より)

 世界を覆うインフレは第2波を迎えていると言われ、長期化の様相を呈してきた。米国では銀行が破綻して金融危機の足音が聞こえ始めたにもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)は3月22日、0.25%のさらなる利上げを決めた。金融の安定という「超重要課題」よりもインフレ対策を優先させなければならないほど、インフレが市民生活にこびりついているということだ。

 身構える米国市民は、より安いものを目指してひた走るが、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの看板商品である「ビッグマック」の店舗ごとの価格がわかる電子地図なるものが登場し、ファストフード好きには欠かせないツールになっているという。

 マクドナルドは米国に約1万3000の店舗がある。商品価格はフランチャイズオーナーによって店舗ごとに決まることになっており、近くの店舗でも「ビッグマック」の価格に違いが出てくることは、かなりの確率である。

 話題の「McCheapest」という地図は、全米の店舗を点で示し、色分けして店舗ごとの価格を記している。緑は価格が安く、緑の色が薄くなってオレンジ、赤になるほど価格は高くなる。極めて高い店舗は深紅だ。データが入るごとに更新され、自宅近隣での価格比較が簡単にできる。

 例えばイリノイ州シカゴのミシガン湖に面したショッピングゾーン、海軍ふ頭にある店舗では3月7日現在、「ビッグマック」は6.49ドル(約863円=1ドル133円で換算)となっているが、西に車で5分ほど行った雑居ビル内の店舗では同日のデータで4.79ドル(約637円)となっている。

 「McCheapest」によると現在、全米で最も高い「ビッグマック」はマサチューセッツ州のリーという町にある高速道路の休憩所の店舗で、8.09ドル(約1076円)だ。最も安いのはオクラホマ州のスティグラーという町にある店舗で3.49ドル(約464円)だ。

 「McCheapest」は英国人の元データアナリストが開発し、2月10日から稼働している。斬新なアイディアが市民の心をつかみ、メディアなどにも取り上げられ始めた。

 「ビッグマック」をめぐっては、米国の金融業者、CashNetUSAが3月14日に明らかにした州ごとの平均価格の調査結果も注目されている。それによると最も高いのはハワイ州で5.31ドル(約706円)、次いでニューヨーク州5.23ドル(約696円)、ニュージャージー州5.19ドル(約690円)、カリフォルニア州5.11ドル(約680円)、メリーランド州5.03ドル(約669円)などとなっている。

 これに対し、最も安いのはミシシッピ州で3.91ドル(約520円)。ハワイ州との価格差は1.4ドル(約186円)にもなる。

 ミシシッピ州以外で3ドル台にとどまっているのは、アーカンソー州3.95ドル(約525円)、アラバマ州、3.99ドル(約531円)、ミズーリ州3.99ドル(約531円)、サウスダコタ州3.99ドル(約531円)。南部や中部の一部は比較的、価格が抑えられているようだ。

 こちらの調査は昨年11月に収集したデータをもとにはじき出したというが、こうしたデータが話題になるのは、「ビッグマック」が他のファストフードの商品以上に米国人の生活に浸透しているからだ。牛肉やパンなどの原材料や輸送費、人件費、地域性などをくみしてはじき出された「ビッグマック」の価格は、その時々の経済状況を映し出す。

 これは米国内に限ったことではなく、世界規模でのことでもある。英国の経済誌エコノミストは各国の「ビッグマック」の価格から通貨の価値を量る「ビッグマック指数」を1986年から発表しており、経済学者やアナリスト、実業家らがチェックする重要な経済指標になっている。

 ちなみに日本マクドナルドの場合、新型コロナの感染拡大前の「ビッグマック」の価格は390円(一部地域を除く)だったが、その後、410円になり、今年1月には450円に値上がりした。昨年以降の急激な円安もあり、日本で「ビッグマック」が買える450円では「McCheapest」が示した米国最安値の「ビッグマック」さえも購入できないということになる。

 「ビッグマック」はペンシルベニア州ピッツバーグ近郊のフランチャイズオーナーが鉄鋼労働者に安く、お腹いっぱい食べてもらいたいという気持ちで開発した。1967年に初めて世に登場し、瞬く間に全米の店に広がった。当初の価格は45セントだった。

 「ビッグマック」はこの10年、米国で40%ほど値上がりしている。インフレの中でさらなる値上がりの可能性は大きく、「ビッグマック」を食べたい人も、そうでない人も、「ビッグマック」の価格から目が離せない。

言問通(フリージャーナリスト)

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆

ことといとおる

最終更新:2023/03/27 07:00
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