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フジテレビの『まつもtoなかい』は日曜21時の“日本テレビ1強”を崩せるか?

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中居正広

 放送作家の深田憲作です。

 「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。

 今回のテーマは「フジテレビの『まつもtoなかい~マッチングな夜』について」です。

 『まつもtoなかい』はこの4月からレギュラー放送が始まったフジテレビのバラエティ番組。第1回目のゲストが香取慎吾さんで、SMAP解散以来、初めて中居さんと共演したことで大きな話題となりました。

 番組のスタイルはシンプルなトーク番組ですので、企画の視点から論じることは難しいのですが、番組の演出などに対して感じたことを幅広く述べてみたいと思います。

 まずは番組タイトル。『まつもtoなかい』というメイン出演者の名前がそのままタイトルになっているのは、近年のテレビ番組においてはレアケース。これは、番組内容ではなく、2人の組み合わせが企画になっているということです。

 メディアが乱立し、老若男女が認知している国民的スターが生まれにくくなった今の時代には、こういった人の名前を全面に出したタイトルの番組は減っていますし、今後ますます減っていくはずです。

 近年のヒット番組を例にとっても『オモウマい店』『ポツンと一軒家』『池の水ぜんぶ抜く大作戦』といったように、企画内容を表すタイトルが主流になっています。「人(タレント)の力」で多くの人に見てもらうには、人のパワーが必要です。ゴールデンタイムで人の力で勝負できる数少ない存在である松本人志・中居正広がタッグを組むということこそ、この番組の最大の企画性ということであり、フジテレビはそこを全面に押し出したタイトルで勝負しているのだと思います。

 番組内容に関して。番組冒頭、目を引いたのはスタジオセットの美しさ。私は放送作家なのでスタジオセットにどれくらいのお金をかけているのかなど把握していないのですが、パッと見で「これはお金かかってるな~」と感じました。そして、これもあくまで個人的な感想ですが、フジテレビの美術スタッフはレベルが高いと思います。美術に知見があるわけではないので、詳しく解説は出来ないのですが、番組の印象としてスタジオセットのデザイン性の高さや美しさが際立っていると感じました。

 編集に関して感じたのは「シンプルかつスマート」。近年、特にゴールデンタイムの番組では「視聴者に内容を分かりやすくするため」「画面を華やかにするため」「ザッピングした視聴者を捕まえるため」といった理由で、編集で入れるテロップの数が増えています。しかし、この番組のテロップは必要最小限といった感じ。

 例えば、画面の左上・右上に番組の内容を表示する「サイドテロップ」があるのですが、サイドテロップの文字数も必要最小限にしている印象を受けました。テレビマン的に見ると、これはパワーのある番組にだけ許されたシンプルさだと思います。現行のレギュラー番組だと『世界の果てまでイッテQ!』もサイドテロップは必要最小限の文字数で、非常にシンプルな印象です。飲食店などで例えるならば、店前の看板やポップで色々と売り文句を書かなくても、お客さんが入ってきてくれる強いお店だけがこのシンプルさを許される、といった感じです。

 番組内容に関してはまだ1回しか放送していないのでなんとも言えませんが、今後、他の番組にはあまり出ない大物ゲストが登場することが予想されます。なぜなら松本人志さん・中居正広さんというビッグスターの2人だからこそ出ようと思う大物芸能人はたくさんいるはず。

 実際に初回放送でも、香取慎吾さんが「松本さんからの要望ということで出演オファーが来たから断るわけにはいかなかった」という旨を話されていました。「松本人志さんが是非番組に出ていただきたいと言っている」「中居正広さんがあなたの出演を熱望している」という言葉は、大物をキャスティングするうえで強い交渉材料になります。ゆくゆくは矢沢永吉、吉永小百合、イチローといった、バラエティ番組に出ることがほとんどないスーパースターが出演する日も来るかもしれません。

 そして、テレビマン的に注目しているのは民放テレビ局の横並びの戦い。この番組が放送されているのは日曜21時。日曜21時に放送されているバラエティ番組といえば日本テレビの『行列のできる相談所』です。日曜のゴールデンタイムは『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』といった高視聴率番組が縦に並び、長らく「日本テレビ一強時代」が続いてきました。

 一方でフジテレビの日曜21時は、レギュラー番組が長続きせずに辛酸をなめてきた放送枠。『まつもtoなかい』が、日本テレビの日曜の縦の流れの一角を崩してしまうのか? そして、『行列のできる相談所』はどうやって対抗していくのか? ここに多くのテレビマンが注目していると思います。バラエティ以外で言うと、日曜21時のTBSは『半沢直樹』『下町ロケット』などが放送され、「日曜劇場」と名付けられた最強ドラマ枠。これまでもそうでしたが、今後はますます日曜21時のテレビの動向に注目です。それでは今日はこの辺で。

放送作家。松本人志・高須光聖がパーソナリティを務めた東京FMのラジオ「放送室」で行われたオーディションをきっかけに放送作家の高須光聖に師事。以降、テレビやYouTubeでさまざまな番組を担当。主な歴代担当番組は『くりぃむナントカ』『シルシルミシル』『めちゃ×2イケてるッ‼』『ガキの使い 笑ってはいけないシリーズ』『得する人損する人』『激レアさんを連れてきた。』『新しい波24』『1周回って知らない話』『ゴン中山&ザキヤマのキリトルTV』『GET SPORTS』『ヨロシクご検討ください』『青春高校3年C組』『今田×東野のカリギュラ』など。

Twitter:@kikakusouko

企画倉庫

ふかだけんさく

最終更新:2023/05/12 05:20
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