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バイデン政権、機密事項を解除して「中国の盗聴施設がキューバに存在」認める失態

バイデン政権、機密事項を解除して「中国の盗聴施設がキューバに存在」認める失態の画像1
バイデン大統領(写真/Getty Imagesより)

 中国軍の脅威を伝えたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の特ダネ記事に、米バイデン政権が振り回されている。米国の膝元に位置するキューバに、中国軍が盗聴基地や訓練センターを設置しようとしているとの内容で、盗聴基地について米政府は、いったん報道を否定したが、その後、政府として把握していたことを認めざるを得なくなった。訓練センターについてはブリンケン国務長官の中国訪問の直後に報じられ、緊張緩和を目指した米中会談に冷や水を浴びせられてしまった。

 ブリンケン国務長官が6月19日(北京時間)に北京で中国の習近平国家主席と会談した翌日の20日(米東部時間)、ウォール・ストリート・ジャーナルは中国とキューバが両国軍の共同訓練センターをキューバに設置する方向で協議しているとの記事を配信した。20日付けの紙面で1面右上に掲載され、事実上、トップの扱いだった。

 報道によると、訓練センターは米国に向いたキューバ北部の沿岸に計画されているという。協議はかなり進展しているが、現時点で正式に決定されていない。

 キューバは米フロリダ州沿岸から、わずか約160キロ(100マイル)の位置にある。訓練センターとはいえ、これが設置されれば、それなりの数の中国人民解放軍の軍人が米本土の目と鼻の先に常駐することとなる。

 訓練センター計画については米国も把握しており、機密情報として扱われていた。米バイデン政権はこの件でキューバ政府に接触し、キューバの主権にも関わる問題だとの理屈で、訓練センターの設置を思いとどまるようキューバ側に伝えているという。

 ブリンケン国務長官が中国に出発したのは6月16日で、中国の次に英国を訪問し21日に帰国した。国務長官の外遊の最中に機密情報がメディアにすっぱ抜かれてしまった。

 ブリンケン国務長官の訪中で米国は、ペロシ前下院議長が昨年8月に台湾を訪問して以降、遮断されている両国軍同士のコミュニケーションの再開を中国に求めた。不測の事態を避けるための提案だったが、中国側は拒否した。習近平国家主席と会談したことは意味があったが、「実」は取れず、内容に乏しい訪問だっただけに、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道で「弱腰外交」というイメージが上塗りされてしまった。

 これに先立つ6月8日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国の電子情報を傍受するための施設を中国がキューバに設置することで、中国とキューバが秘密裏に合意していると報じた。この盗聴施設が設置されれば、中国軍が米南東部全域での電子通信を傍受し、船舶、航空機を監視することが可能になるという。 中国が施設設置の見返りに、数十億ドル規模の施設使用料をキューバ側に支払うことでも合意に達しているという。

 このニュースが報じられた後、米国防総省報道官は「正確ではない。中国とキューバがいかなる種類のスパイ基地をキューバに開発しているかについては認識していない」と語り、報道内容に疑念を呈する形で事実上、否定した。

 ところが2日後、ホワイトハウスは機密事項を解除する形で、この報道を認めた。中国の盗聴施設が2019年からキューバに存在しているという。米議会も、この報道とその後の動きに敏感に反応し、共和党を中心に「バイデン政権は中国のスパイ施設がキューバにあることを知りながら、何もしなかったのか」との批判が強まっている。

 キューバを含め中南米の反米政権は、冷戦時代の流れからロシアとのつながりが強い。「米国の裏庭」から米国をけん制するというやり方はロシアの「お家芸」である。

 ウクライナ侵攻直前の2022年1月には、ロシアの外務次官がキューバやベネズエラにロシア軍の基地を設置すると語り、ウクライナ侵攻の可能性を声高に訴えていた米国の気勢を制する動きを見せていた。それ以前も、ロシア軍はベネズエラやニカラグアにたびたび使節団を派遣しており、米国の情報機関が目を光らせていた。

 そのロシアに次いで中国が、ラテンアメリカで軍事面での影響力を示そうとし始めた。ウォール・ストリート・ジャーナルの2つの特ダネは、その流れを伝える記事だ。

 中国軍は2030年までに、5カ所の海外基地、10カ所の後方支援基地を設置するという計画を立てている。「プロジェクト141」と呼ばれ、すでにアフリカのジブチに人民解放軍の基地がある。

 今回のキューバでの動きも「プロジェクト141」の一環といわれ、西半球では初めての具体的な動きだ。米国にとっての中国の脅威は、もはや経済分野を超え、軍事面でも米国の膝元にまで迫ってきた。

言問通(フリージャーナリスト)

フリージャーナリスト。大手新聞社を経て独立。長年の米国駐在経験を活かして、米国や中南米を中心に国内外の政治、経済、社会ネタを幅広く執筆

ことといとおる

最終更新:2023/06/22 13:24
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